さて、本編に戻りましょう。
誰が一番?(56)
‐side Kyoko‐
「…ほら、前にも言ったろう?
芸能人の、それも若い女の子がそんな怖い顔をするんじゃないよ。
少しだけ映画のキャストやスタッフにも協力して貰うんだ。」
大きくて優しい手に宥められて、どうにか落ち着いた私に、にっこり笑って計画を話してくれた。
「協力って…何をですか?」
「詳細を話す必要はないと思うよ。
ただ、いちいち突っ掛かって来て欝陶しい不破に、俺と君が恋人だって言ったから、邪魔しないように協力して下さいって言うだけだよ。
それでいいだろう?」
さらっと言ってのけてきらきらした笑顔の敦賀さんに、もう反論する事は出来なかった。
結局、社さんから新開監督を通して通達が行き渡り、撮影現場では常に敦賀さんと一緒、いない時でも別のキャストやスタッフが常に私に張り付き、ショータローはリハーサルと本番の時以外は決して2人きりにならないように手配がなされた。
それから1ヶ月後、いよいよクランクインを迎えた。
舞台は時代劇。江戸の下町に父親と貧乏長屋に二人暮らしの十五歳の仕立て内職の娘、りょうが私の役。
りょうに想いを寄せるが、全く相手にされず力ずくで自分のものにしようとする呉服屋のばか旦那…もとい若旦那、正太役がショータロー。
名前もばか旦那なところもそっくりだわ。
ま、私に想いを寄せるなんて天地がひっくり返っても有り得ないけど。
そして敦賀さんの役は小藩ながら豊かな国を作り上げた名君と謳われる檜原藩藩主の四男。檜原永遠(とわ)役。
父親の背中を見て育った文武両道の青年ながら、優秀な兄を持つが故に俗に言う“冷や飯食い”の立場にあるが、兄弟仲は悪くない上、近々長兄に家督の相続も恙無く行われる予定の為、臣下に加えて貰おうかと身近な者達に話すような気性の持ち主。
…なんか魔王の入ってない敦賀さんみたい。
キャラクター紹介しちゃいましたよ。
誰が一番?(56)
‐side Kyoko‐
「…ほら、前にも言ったろう?
芸能人の、それも若い女の子がそんな怖い顔をするんじゃないよ。
少しだけ映画のキャストやスタッフにも協力して貰うんだ。」
大きくて優しい手に宥められて、どうにか落ち着いた私に、にっこり笑って計画を話してくれた。
「協力って…何をですか?」
「詳細を話す必要はないと思うよ。
ただ、いちいち突っ掛かって来て欝陶しい不破に、俺と君が恋人だって言ったから、邪魔しないように協力して下さいって言うだけだよ。
それでいいだろう?」
さらっと言ってのけてきらきらした笑顔の敦賀さんに、もう反論する事は出来なかった。
結局、社さんから新開監督を通して通達が行き渡り、撮影現場では常に敦賀さんと一緒、いない時でも別のキャストやスタッフが常に私に張り付き、ショータローはリハーサルと本番の時以外は決して2人きりにならないように手配がなされた。
それから1ヶ月後、いよいよクランクインを迎えた。
舞台は時代劇。江戸の下町に父親と貧乏長屋に二人暮らしの十五歳の仕立て内職の娘、りょうが私の役。
りょうに想いを寄せるが、全く相手にされず力ずくで自分のものにしようとする呉服屋のばか旦那…もとい若旦那、正太役がショータロー。
名前もばか旦那なところもそっくりだわ。
ま、私に想いを寄せるなんて天地がひっくり返っても有り得ないけど。
そして敦賀さんの役は小藩ながら豊かな国を作り上げた名君と謳われる檜原藩藩主の四男。檜原永遠(とわ)役。
父親の背中を見て育った文武両道の青年ながら、優秀な兄を持つが故に俗に言う“冷や飯食い”の立場にあるが、兄弟仲は悪くない上、近々長兄に家督の相続も恙無く行われる予定の為、臣下に加えて貰おうかと身近な者達に話すような気性の持ち主。
…なんか魔王の入ってない敦賀さんみたい。
キャラクター紹介しちゃいましたよ。