…何故か演技を復讐の道具にしているような気になる。
けれど、私は敦賀さんに合わせているだけだもの、仕方ないかな。
…ショータローの奴、何か悔しそう。
ショータローに敗北感を与えるのは私だ、って思ってきたけど、敦賀さんなら仕方ないのかな?

その場から離れる時、私の背を支えながらショータローを振り返った敦賀さんは、にっこり笑ってトドメを刺してくれた。

「ああ、言い忘れてた。
俺と京子の仲は秘密にしておいてくれよ、不破君。
いずれは発表するけど、今は愛を育んでるところだからね。」

あああ 愛を育むぅ~?
こっちが茹蛸寸前でふらつきかけると、敦賀さんは私の身体を支えながら、その場を後にした。
私はというと、ショータローの後ろで唖然として言葉も無い祥子さんに、小さく会釈するのが精一杯だった。


そんな私達の後ろ姿を、ショータローがどんな目で見詰めていたか知る由も無かった。


集合場所の会議室に行く途中の、小さな空き部屋を見つけた私は、敦賀さんの服の裾を引っ張り、後をついて来ていた社さんともども中へ入り込んで鍵を閉めた。

「もういいですよね。
さっきはありがとうございました。
あの馬鹿の相手をいつまでもしないで済みました。
…それにしても敦賀さん。」

何故か上機嫌な敦賀さんの様子に首を傾げた。
さっきまですごく怒ってたのに…なんで?

「何だい、京子。」

「あの…もうあの馬鹿の目もありませんから、元に戻して下さい。
いつも通りの呼び方で。
何かすごく気恥ずかしいですね。
敦賀さんの事、“蓮さん”なんて。
………敦賀さん?」




将来的には“京子”じゃなく“キョーコ”と呼びたい蓮さんでした。
それにしても、50話までかかってようやく尚にぷちぎゃふん。
一体何話かかるんだか。