※なんか視点がころころ代わるようになってしまったので、ちゃんと誰視点か書くようにします。
それこそ初歩のミスで、すみません。<(__)>



Side kyoko


敦賀さんが去った後のラブミー部の部室で、空になって片付けられた弁当箱を前に、私はしばらく固まったまま動けなくなっていた。

「…恋人役…敦賀さんの…?
ていうか恋する役ぅ?
ありえないありえない、なんで…。
こ、断りたい…!」

そこまで独り言で愚痴って、はっと我に返った。

(ダメよ!先生だって言ってらしたじゃない!
“役所偏食症候郡のままでいたら、今までの好演が嘘のように干からびた大根のような演技しかできないぞ、治すには好き嫌いしないでありとあらゆる役をこなしなさい”って!)

かつてナツ役で困っていた自分に、叱咤してくれたクー・ヒズリの言葉が甦る。

(ででででも、あの敦賀さんの恋人役…!
前に社さんが言ってたじゃない!
“蓮は恋人役なら必ず相手に恋をさせる”って。
……怖い……!!!)


どのくらい考え込んでいたのか、奏江が仕事を終えて帰り支度をするために部室に戻って来ていた。
午後に仕事がなかった事が幸運としか言いようがない。
そのくらいキョーコの思考回路はぐるぐると同じ所を巡っていた。
頭を抱えてうーうー言ってたキョーコを見るに耐え兼ねて、ついに奏江が声を掛けた。
「何やってんのよ、あんた。
さっきから頭抱えてうーうー言って。」

着替えも済んでロッカーから鞄を取り出した、キョーコの美しき親友は唸っているキョーコの頭をコンコン、とノックした。
堂々巡りなキョーコは、頭をノックされるまで奏江の存在にも気付かない程悩んでいたが、奏江が目に入った途端、天女か女神か天使でも見たようにきらきらした目でそれは嬉しそうに笑った。




キョーコちゃんをゲットしたい野郎共が見せて欲しい笑顔は、モー子さんが独り占め♪