“DARKMOON”の時にお世話になっている僕や、“RIN‐DOH”の時に松内瑠璃子の件を頼まれた経緯のある新開さんはともかく、少なくとも春樹は宝田社長と面識はない筈だ。

「おぉ、すまんすまん。
そちらの美しい方には初対面だったな。
私がLMEの社長、ローリィ宝田だ。
よろしく頼むよ。
そっちの3人は会った事あるから、自己紹介要らんだろう?」

僕らは黙って頷いた。
この面子が招かれて、更に社さんが呼ばれてるとなれば…どこから洩れたんだろうか。

「…ま、社が来てないが始めちまうか。
じきに来るだろうしな。
緒方君、新開君、黒崎君。
それに…麻生さん、だったな。
な~んか、愉しそうな計画があるらしいじゃないか♪
俺の情報網、なめんなよ?」

なんでばれたんだ!?
真っ青になった僕らの前に、ノックもそこそこに社さんが飛び込んで来た。

「社です、失礼します!遅くなりました!」

「おう、思ったより早かったな。
まぁ座れ。
…んじゃ全員揃ったところで始めるか。
俺が仕入れた情報じゃ、お前さん達全員で何か楽しい事を始めるつもりらしいっていう話なんだが、どうなんだ?その辺りは。」

僕らはお互い顔を見合わせて、頷きあった。

「元々ある程度計画の骨子が定まったところで、社長さんには協力を仰ごうって話にはなってたんですよ?
何処から話しましょうか。」

言い出しっぺの責任は取らないとね。
しらを切るなんて真似は初めからする気もなかった。

「俺が仕入れた情報じゃ、お前さん達が何か楽しい計画を立てようとしている、くらいしかネタが入って来ちゃいねぇよ。
ま、どうせなら初めから頼むよ。」

少し長い話になると踏んだらしい宝田社長は、僕らの前のソファにどっかりと腰を下ろした。