タ〇ラジェンヌもどきの一団に連れて来られたのは、予想通りの場所だった。

「失礼♪いたしまぁ~すぅ~♪」

…そこまでやらなくてもいいと思うんだけどなぁ…。
ため息をついてる間に開けられた扉の向こうに、見知った顔が並んでいた。

「春樹。無事で何よりだったね。新開さんも黒崎さんも、大丈夫でしたか?」

些かぐったりした様子の3人に声を掛けると、首をふるふると横に振って新開さんが応えてくれた。

「…いや、えらい目に遭ったよ。
君んとこはタ〇ラジェンヌもどきだったのか。
さっきのメール送った直後に、麻生さんを巻き込んだサンバダンサーズに見つかっちゃってな。
一緒にここまで連れて来られたって訳さ。
で、潮は…。」

「俺の所には阿波踊りダンサーズだったよ…。男女合わせて50人はいた気がするぞ。」

未知との遭遇をリアルにやらされた3人は、半分魂が抜かれたみたいになっていた。
春樹に至っては言葉も出ない。

「面子が1人足りませんよ?」

一番奥に座っていた人物に話し掛けると悠然と立ち上がり、にやりと笑った。

「あいつは今呼び戻してるよ。
何しろ“敦賀蓮”のマネージャーだからな。
比例して忙しいんだ。
社が来てから話をしようや。
それまで茶でも飲んで待っててくれ。」

そう言って、控えていた秘書らしき人物にお茶の用意を頼んだ奇抜な恰好の宝田社長に、僕は怯む事なく頼んだ。

「その前に、彼らに自己紹介をお願いします。宝田社長。
半分拉致して来たみたいなものですから、せめて名乗らないと、本当に犯罪者扱いされますよ?」

…半分以上犯罪行為な気がするけどね。
本人に悪気はないし、ただの悪戯なんだろうけど。




奇抜なご招待、こんな感じでいかがですか?