「…私、一応“不破尚”のプロデューサーなんだけど…。」

春樹の立場もあるのは重々承知している。
だから無理強いはできないけど。

「解ってるよ春樹。
だから参加してくれなんて無理は言わないよ?
ただ黙っててくれるかな。
これは僕らからのちょっとした意趣返しみたいな物だしね。」

僕がそう言って新開さん達に目を向けると、笑って頷いてくれた。

「俺も不破尚に会った事がないからな、本当に参加するかは会ってから決めるつもりだし。
ちょっと調べりゃ会って話すくらいの事は出来るだろう。
もし良ければ、麻生さんにアポ取って貰おうかな、と。」

黒崎さんの言葉に、新開さんも頷いて続けた。

「そうそう、一方の話だけで結論付けちゃってもまずいだろう?
とにかく人となりは知りたいんだ。
先ずは麻生さんから見た不破尚って男は、どんな人物かな。」

戸惑いを浮かべた瞳で僕の方を見詰めた春樹は、意を決した、という風に話し始めた。

「どんな人物か…って聞かれましたけど、率直に言いますと、音楽については並々ならぬこだわりがある子です。
プライベートの彼は…そうですね、少し子供っぽいというか甘ったれな所がありますね。
我が儘だし、いいとこのお坊ちゃんって感じかしら。」

春樹はそこで言葉を切ると、少し考え込んでから口を開いた。

「…やっぱり、お2人には直接会って頂いた方がいいと思います。
私自身、実際に尚がした事実がどんな意図を持ってしたのか、知りたいので。
そうですね…、お2人とも?
明後日の午後4時頃、何かご予定あります?」

いきなり予定を聞かれた2人は、慌ててスケジュールの確認を始めた。




さあどんな判定が出るか。
加筆&修正しました。