初妄想な二次創作ですが、まとまりがない…っていうか何書きたいんだ私。

誰が一番?(1)

「--あれ、緒方君?」

掛けられた声に振り返ると、そこには新開監督の姿があった。しかも友人と思しき男と一緒に。
ここは業界人の馴染みのバーだから、出くわしても何の違和感もない。こちらも春樹と一緒だし?

「ああ、新開さん、こんばんは。ご無沙汰しています。見せていただきましたよ。ヒット作ですね、“RIN-DOH”。松内瑠璃子さん…でしたっけ、いい演技でしたし。敦賀君がうまく引っ張った感じですか?」

「あぁ、まあね。…お邪魔じゃないかい?」

苦笑いしながら横にいる春樹をちらっと見て聞いて来た。

「構いませんよ。彼女は僕の幼なじみで、麻生春樹といいます。音楽プロデューサーをしてましてね、アカトキの不破尚君の担当なんです。春樹、こちらは新開誠士監督。さっき話した、“RIN-DOH”の監督さんだよ。」

軽く紹介すると、春樹も新開さんに会釈して、同席を勧めた。

「はじめまして、新開監督。ご高名は以前から伺っています。麻生春樹です。…宜しければ少しご一緒しませんか?そちらの…方も。」

春樹も新開監督の後ろにいる男に目を向けた。

「あぁ、彼は黒崎潮。飲み友達なんだ。CM業界じゃそこそこ知られてる男だよ。キュララのCMはこいつの作品だから、見た事あるだろ?」

キュララと聞いて、春樹は即座に反応した。

「えっ、あのキュララの監督さん?京子ちゃんが出てた、あの?」

「ええ、あのキュララの監督ですよ。よろしく。」

ニヤッと笑って、黒崎監督も手を差し出した。

「よろしく。さ、どうぞ。」

春樹は立ち上がると、黒崎さんと握手を交わして席を勧め、二人が席に腰を下ろすのを待って、口を開いた。

「あのキュララの監督さんなら、是非一度お会いしたかったんです。貴方のCMがきっかけで、うちの尚のプロモもいいのが出来ましたから。」

「…といいますと?」

「あのCMに出てた二人をプロモに使うつもりだったんです。…でもロングの子からは断られちゃって、結局京子ちゃんだけ採用する事になったんですけど、意外なほどいい演技をしてくれましたから、話題性も高くって。」

何か色々と複雑な表情を浮かべながら、春樹が話すのを継いで、僕も続けた。

「その春樹が作ったプロモのお陰で僕も京子さんを見つけたんですよ。あ、申し遅れました。僕は緒方啓文といいます。今は冨士の“DARKMOON”を作ってます。」

「…成る程、京子君繋がりか。この業界、何かしら繋がりが出来るもんだなぁ。」

注文したグラスに口を付けようとしていた手を止めて差し上げ、新開さんは乾杯の音頭を取って笑う。

「じゃ、京子君繋がりの会に乾杯、ってとこかな?」

「何言ってんだ?お前は京子と繋がりがないだろが。」

黒崎さんがツッコミを入れると、にんまりして自慢げに応える。

「それがあるんだなぁ。それもお前より前だぞ?」

「俺よりも前って…キュララがデビューだろう?どこに接点があるんだよ。」

全員に縁があるとは、意外だなぁ。京子さん。それにしても新開さんとの接点が気になる。

「そうですね。デビュー前の京子さんと仕事したって事でしょう?どんな仕事だったんですか?」

僕の言葉に、他の2人も同意して頷く。しかし、新開さんはぽりぽりと頭を掻くと、言い難そうな顔をした。



ご指摘を頂戴しましたので、修正してみました。