「小さな巨人」を見た元刑事の解説~第一話 | 刑事塾 詐欺、採用面接、営業で騙されない、ウソや人間心理の見抜き方講座

刑事塾 詐欺、採用面接、営業で騙されない、ウソや人間心理の見抜き方講座

刑事塾は刑事力を学ぶ場です。元刑事が刑事のスキルであるウソや人間心理の見抜き方を教えます。

 

4月にスタートしたTBSドラマ日曜劇場「小さな巨人」

 

このドラマは警視庁捜査第一課を舞台にして、ある出来事で所轄に飛ばされた香坂真一郎刑事(長谷川博己)が小野田義信警視庁捜査一課長(香川照之)に嚙みついて本来の刑事としての反乱を起こすドラマです。

 

第一話を興味深く見させて頂きました。一言で言うと「おもしろい!」よくできた刑事ドラマだなぁと感心しました。

 

なんせ「刑事あるある」がふんだんに盛り込まれているので現職の刑事からかなり研究したのは間違いないでしょう。

 

ただ実際の現場とはちょっと違うかなーという点もありましたので幾つか解説します。

 

その1  所轄と本部はあんなに仲が悪いのか?

 

これねー、よく聞かれるんですけども仲が悪いということはありません。何故かというと同じ刑事ですし、一緒に仕事をする機会も多いからです。刑事というのは最初から本部に行くことはまずないので所轄からスタートします。その仕事ぶりが認められると本部に栄転するわけです。

 

そして本部で昇任試験に合格するとまた所轄に出ます。そして数年を経てまた本部に戻ります。いわゆるデキる刑事はこの繰り返しなんですね。ですから一生本部と縁のない所轄回りの刑事もいます。つまりこんな方はそれなりの実力というわけです。

 

 このように所轄と本部は行き来するものなので知っている刑事も結構いますし、露骨に喧嘩するということはまずありえないということなんですよね。ただ大事件が発生して本部を受け入れる所轄があまりにも気が利かないと「なにやってんだ、この署は」ということはありますね(笑)

 

その2  所轄の刑事はデキが悪いのか?

 

ドラマを見ると所轄の刑事はデキが悪いように描かれています。所轄が独自捜査をしてミスをすると「所轄黙ってろ!!」みたいなことを言われてましたよね。これは所轄の刑事がすべてデキが悪いのかというとそうではありません。

 

ただ本部は選ばれたものしかいけませんので全体的に見ると本部の刑事の方が優秀だというのは間違いないと思います。本部は所轄を指導する立場でもあるので所轄を下に見ている点はあるとは思いますが、あそこまで露骨に批判したりすることはないかなと思いますね。

 

ちなみに私も所轄➡本部➡所轄➡本部➡所轄と繰り返して階級を上げて異動しておりました。

 

その3  一度失敗したら警察では出世できないのか?

 

主役の香坂真一郎刑事(長谷川博己)は元捜査一課長、現捜査一課長との宴席の後、不審者を職務質問をしてその際に車に傷をつけたということで監察に取調べを受け、その後、所轄に飛ばされました。飲酒した上での職務質問が規律違反だというわけです。これを見た時に「ありがちな話だなぁ」と思いましたね。

 

とにかく警察は建前を気にする組織です。規律違反、法律違反は絶対に許されません。ですからいくらエリートでもそんなミスを犯すと飛ばされます。そしてその後はどうなるのかというと出世ルートを一度外れると元に戻るのはまず無理でしょう。ドラマの場合、所轄という刑事に戻れたからいいですが刑事の世界から飛ばされる場合もあります。つまり交番だったり、パトカーを管轄する地域課などに飛ばされるわけです。こうなるとまず刑事には戻れないでしょうね。

 

ちなみに香坂真一郎刑事(長谷川博己)は元上司である小野田義信警視庁捜査一課長(香川照之)に反抗するような態度、行動をとっていますよね。これは警察社会では絶対にやってはいけませんし、まずやる人はいません。警察は絶対的な階級社会なので上位の階級に反抗したら、特に所属長クラスに反抗したら間違いなく飛ばされます。そして「上司に反抗の癖あり」ということで勤務評定に赤字で書かれ、一生浮かばれない警察人生を歩むことになるでしょうね。

 

 

さて第二話も楽しみです。このドラマについては警察社会を知って頂く上でも参考になると思いますのでまたブログで解説したいと思います。

また読んでくださいね。