「Number」701 | 手当たり次第の読書日記

手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。

この1週間の私的スポーツ状況は、ファイターズ4勝2敗と勝ち越しにコンサドーレ2勝目しかもホーム初勝利と、なかなか喜ばしい日々でした。対ジュビロ戦初勝利を伝えるUHB土屋アナったら、実況の途中で声かれちゃってましたよ……まるで「マイアミの小さな奇跡」の時の松木安太郎さんのようでした(笑)。

ファイターズファンの中には2連続サヨナラ負けにご不満の向きも多々いらっしゃるだろうなーとは思うのですが、しかし先方とこちらの先発ローテーションからいって、手も足も出ない3タテを食らう可能性は非常に高いなと思って覚悟していたため、接戦で1勝2敗は上出来!という気分です(満足のハードルが低い奴/笑)。藤井投手がやっぱりやれば出来る子なんだと判ったというのも大収穫。今まで「おいおい」とか思ってて御免ね藤井さん。札幌ドームでお立ち台に上って下さい。

基本的に私、3連戦は3タテさえされなきゃいいやという発想なんですよ(笑)。その連戦が始まる前から見て、1勝2敗なら事実上1敗分しかダメージは増えてない訳で。札幌ドームで負けた訳でもありませんしねえ。

前ヘッドコーチ白井さんも「週刊ベースボール」の連載で、開幕ダッシュに特に意味は無い、早々と首位に立ってしまうと追われる立場で非常に苦しい、と言っていましたし。今はとにかく故障者だらけの現状を、頑張って乗り切っていくことが第一、だと思う訳ですね。(小田君、もしかしたら君にはこれがラストチャンスかも、だぞ!)

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2008年 4/24号 [雑誌]
¥530
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昨春に続いて今年もまた、2年連続で「Number」今シーズンのプロ野球特集第1弾の表紙を飾ったダルビッシュ有です。

去年の写真は、椅子に坐ってこちらを見返す表情がミョーに上から目線を感じさせて見る者を微妙にイラつかせるという(笑)、「生意気でふてぶてしい若造」という世間が見るイメージを本人にわざわざ体現させたかのようなものでした。また実際、夕刊紙だったか「活躍したっていってもまだ若手、なのに実績ある選手をさしおいて表紙かい」みたいなことを書かれたりもしましたし(苦笑)。

しかし今年は余計な演出なし、マウンド上の雄姿です。この1年で、彼は誰にも何にも言わせないまでの投手になりましたね。

さてこの号、ファイターズ公式サイトの事前情報で彼と中田翔君が取り上げられているのを知り、楽しみにしていたのですが、単に「プロ野球開幕特集」だとばっかり思ってました。

「あっちゃん」さんがコメント欄で教えて下さったのを見てびっくり。パ・リーグ特集だったんですね。しかも金子誠選手会長まで記事になっているというではありませんか!

慌てふためいて最寄りの書店に駆けつけました(雑誌の入荷数が少ないらしく、ファイターズやコンサドーレが載ってる場合売り切れのおそれあり)。

表紙に躍る文字は「熱パを揺らせ!」……おおさすがはその昔「純パの会」を生んだ「Number」ですね、で納得したくなってしまいますが(笑)、勿論そんな簡単な話ではないでしょう。


セ・リーグはなんか知らんけど余裕がありすぎるんですよ。パ・リーグを見て、なにかを感じなきゃイカンのに……。

(本誌66頁・川藤幸三×達川光男対談「セ・リーグに喝」より 達川発言)


パ・リーグが面白い。

ではなくて。

パ・リーグのほうが面白い。

そう言っている訳です。

その主張の根拠は、誌面に登場する選手や監督の人選にあらわれています。ダルビッシュ有。西岡剛。田中将大。清原和博。野村克也……。

〈こんなエース、こんなスターが、こんな監督が、セのチームにはいますか?〉

行間からそういう声が聞こえてくる。

今年春のプロ野球を語るのに、セ・リーグに話題がない訳では全くありません。鉄人金本2000本安打、まず間違いなく日本最後のシーズンとなるであろう上原投手の先発復帰、いつにも増して(苦笑)豪華布陣のジャイアンツ……どれもこれも、連日スポーツ新聞を賑わせてきた話題です。

しかしその全てをあっさりと無視。セ・リーグの話題はかろうじて囲みコラムでひとつだけ。それはスワローズ予想外の好発進についてです。

ただ単にパ・リーグが盛り上がっているから勝ち馬に乗った訳ではない、はっきりとした「意思」が見てとれる誌面。

自分はこれだからこの雑誌が好きなんだよなあ、と改めて再確認させてくれる特集でした。


さて特集全体への感想とは別に、1ファイターズファンとして特に読むべき記事が3つあった訳ですが。

絶対的エース&ゴールデンルーキーについては、まあある意味予想通りでした。この2人、もう去年の秋冬の時点からオフ一杯騒がれ続けて今日に至ってますからねえ。殊更に新機軸がある訳もなく(ただ、中田少年が先輩達の身体をよく見て、筋肉の鍛え方に気づくことができている、という指摘は今まで読んだことのないものでした)。

特筆すべきは、金子誠選手会長!

マリーンズのサブロー、ライオンズのG・G・佐藤と3人合わせて「いぶし銀の輝き 静かなる仕事師たち」という記事です。

「試合を分ける場面に、なぜか打席が回ってきたり、打球が飛んできたりということが多い」と本人が感じているというサブロー選手。その「場面を引き寄せる力」ゆえに4番を任されもしたけれど、常に失敗がない訳ではない。


 去年のCS、対ファイターズ第1戦では、外野飛球の目測を誤り、決定的な1点を与えてしまった。


 サブローが痛恨の判断ミスを犯した飛球を打ったのはファイターズの金子誠である。金子もまた、「場面を引き寄せる力」の強い選手だ。


この文章構成、うまい!

彼の打席の際に札幌ドームでは、新選組の「誠」旗を使った応援がなされている訳ですが、何と記事ではこのことに触れてくれていました。そしてこんな一文まで。


 新撰組になぞらえれば、金子のキャラクターはやはり副長の土方歳三に近いだろう。冷静沈着、時には非情にチームを引っ張る。


そうなんです! やはりそう見えるんですねえ。土方さん&会長兼任ファンの贔屓目だけじゃなかったんだ(笑)。

という感慨を噛み締めながら、記事に添えられた写真を見るというと……これがまたそんなファンごころの琴線に思いっきり触れてくるものでした。金子ファンはこの写真1枚のためだけに530円出す価値がありますよ! 拡大してポスターにして部屋の壁に貼りたいくらい。

淡い墨絵のようなセピアの写真。右手にバットを持ち、逆光に髪を光らせて端正な横顔を見せている綺麗な立ち姿。

まるで、愛刀和泉守兼定を手にした土方歳三のような肖像です。