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映画「本流」 より拝借。同じことやってきました。



学校を卒業してよかったぁ。
自分で自分の人生を進める自由さを手に入れられてよかったぁ。

と再認識したのが、今回、OBSに参加した直後の、正直な感想。

学校・・・。価値観の押しつけの場所。
道徳の時間が最たるものだ。得意だったが嫌いだった科目。道徳の教科書って、善意と良心の押し売りだった。教科書が、先生が導こうとしている答えは、行間から透けて見える。でも、そうじゃない、っていう意見を許してくれない。答えが「良心」だからこそ、よけいに否定しづらい。ガキンチョの頃から小賢しかった私は、自分の本心を曲げても、「花丸をもらえる答え」を回答して、内心ストレス貯めていた。


さて、OBSの二日目の課題は、「アラスカの鮭も登るのを躊躇うだろう激流・滝登り」。
滝・・・、本当に、高さ10mくらいの、滝だ。笑えるほどに、水の勢いがすごい。そこに、トップロープで登らされる。正面から。直上して。

楽で安全で楽しく登れそうな横の岩に手を伸ばすと、「本流に戻れ~」とインストラクターに叫ばれて、それは私にとって、とても違和感をもたらす言葉だったのだ。


多分、OBSが考えているのは、

1.自分にはちょっと無理・・・というギリギリラインの事象に、思い切って、自分を信頼し、120%くらいの力を出して、正面からチャレンジしてみる

2.体力・精神力がいっぱいいっぱいになり、自分の限界点と弱さを見せつけられる
2’.でも、同時に、無理だと思っていたことが、何とか達成できたことで、自分への信頼と自信を深める

3.2のふたつの相反する気持ちをバネにし、「より高い目標値」を定め、それに向かって日々の生活に緊張感を持たせる。

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という流れを、自然をツールにして、分かりやすく体験させてくれるっていうところなんだろうが・・・。

でも、横にいいホールドの岩があるのに、わざわざ危険すら感じるすごい水量の激流に顔を突っ込んで苦しむ理由が、私には見つからない!


そういえば、学生時代は、こんな風に、すべてが上からの押しつけで、強制で、頑張らなくてはいけない世界だった。(そして、どうしてもまじめな私は、気を抜かずに、その通りに頑張ってしまった。)そこから抜け出せた今は、幸せだ。

社会に出たら、何を選ぶかは自分自身だ。もう誰にも強制されないから、楽な方に落ちていくことはカンタンだ。人生に緊張感がなかったら、どこまでも弛緩していくのかもしれないが、でも、自分の強い意志で、自分の好きなように緊張感をつくっていく自由もある。自由は、厳しくて、そして楽しい。


***


根性とか忍耐とか気合いって言葉を、人から言われるのは、あんまり好きじゃない。

探検隊が提供するキャンプで、ロッククライミングで、山登りで、

「仲間の大切さを知った」り、「一人じゃできないこともチームワークで乗り越えられた」り、「自然の驚異と自分のちっぽけさを知った」り、「でも、思っていないような底力が発揮できて、自分を見直した」り・・・といった意見をもらうこと、自分がそう感じることは、今までも沢山あった。でも、それは結果論であって、こちらが意図したわけではない。

5月に、自ら進んでカナダでやってきた「20キロ背負って1週間キャンプ」は、今回のOBSが与えようとした冒険より、よっぽど精神的・体力的にきつかったが・・・。別に、精神修行しにいったわけじゃない。車では入っていくことのできない、より深い自然の懐にたどり着くためには、どうしても避けられない課題だったから、仕方なくこなしたまでだ。自然と遊ぶおまけとして、結果的に手に入れたのは、実は、チームワークと友情と自分への自信と達成感と、次の目標だったけど。


地球は、一番偉大な学校だ。
謙虚に向き合えば、彼が教えてくれることは沢山ある。

自然はときに優しいが、ときに厳しいから、実際、歯をくいしばる場面も多々ある。歯を食いしばって乗り越えて強くなる自分、という流れも、よくわかる。・・・でも、その状況を意図的に作り、意図的に歯を食いしばらせることに、どれだけの意味があるだろう。


自然が教えてくれる「何か」は、自主的に気づかなくては、あまり意味も効果もないんじゃないかなー。自然を人間の都合で利用して、根性入れさせる道具として使うのは、地球への冒涜ですらあると、思ってしまう。


それに、人生は、毎日は、自分で選んだ時間なのだから、どんなに苦しくても、同時に楽しくなくちゃいけない。自然と向き合うときは、謙虚に、そして同時に楽しむ気持ちを、持っていないといけない。苦しい気合いだけじゃ、ダメだ。



私の目指すスタンスは、楽しく笑ってスキップしながら、でも自ら目標を設定し、「一人静かに」高みに登っていく、っていう毎日。誰かに強制されず。


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で、結論。

OBSのプログラムに参加すると「逃げずにチャレンジを!」と、1日10000回くらいたたき込まれる。地球探検隊も、その接頭語にあるのは、「あなたのチャレンジ精神を応援する」だ。でも、両者には明確な違いがあります。


地球探検隊は、みなさんの「チャレンジ精神」は応援しますが、絶対に押しつけはしません。ちょっとドキドキするような旅を提案・提供しますが、それに参加して、何を得るか得ないかは、個人の裁量にお任せします。「楽しかった!」でも「英語勉強しよう!」でも「体力もっとつけよう」でも、そんなのナシで普通に日常生活に戻っても、何でもありだし、全てが正解です。

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かなり強い調子で書いてしまいました。OBS関係者がもし読んでいたら・・・その方、過去OBSに参加されたことのある方、反論のある方、コメント楽しみにお待ちしております。

そしてこの夏、今から参加される方、これは私の偏った一意見として軽く聞き流し、自分で確かめてきてください。プログラムから得られる前向きなことも、もちろん沢山あったから。(←私のマラソンイヤイヤ病が治って、MTBを買いたくなったみたいに)。


最後に、今回出会った、インストラクターの方々、そして一緒に歯を食いしばった7人の同志には、出会えたことに、一緒に過ごした3日間に、深く感謝します。ありがとう!


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