「で?これからどーする?」
シャッとカーテンを閉めながら翔ちゃんが言った。
カーテンが閉められたら、少し薄暗かった部屋がもっと暗くなった。
翔ちゃんの顔が、見えない。
ぼやっとは見えるんだけど、ちゃんとは見えない。
...なんでだろう。
自分ではわからないけれど、なんか、
無性に泣きそうになった。
「...しょぉ...ちゃん...?」
少し掠れた声で、翔ちゃんを呼ぶ。
その時、パッと部屋が明るくなった。
いきなりの眩しさに、眉を潜めた。
「雅紀...?どーした?」
顔をあげたら、翔ちゃんの顔。
(...あ、見えた。)
ちょっと心配そうな顔をしている翔ちゃん。
(...あぁ、これだよ。)
これが、俺は見たかった。
アナウンサーでもなく、
なんでもない、
"櫻井翔"
の表情。
俺しか見れない、レアショット。
誰も見られない、俺だけのもの。
さっき泣きそうになったのは、
きっと、
それが無くなってしまうかもしれないと思ったから。
黒くくすんで、消えてしまうんじゃないかと、
そう、思ったから。
「...ふはっ」
「??」
「はははははははっ」
ばかだなぁ。無くなるわけなんてないのに。
そう思ったら、ばからしくなって、
面白くなってきてしまった。
そんな俺を見ている翔ちゃんの不思議そうな顔も、
可愛くて、
おかしくて、
面白い。
「なんで笑ってんだよ??」
「んふふふふっ、なんでもないよ」
「なんでもなくないし。それ。」
その後、納得がいかない顔をしている翔ちゃんに夜ご飯を作ってもらって。
二人で食べて。
翔ちゃんの家にある映画を二人で見て。
カップルみたいに、笑い合って寝た。
幸せで、幸せで。
この先になにか怖いことが待ってるじゃないかってくらい、幸せだった。