(自分で言っておいてなんだけど‥奥ゆか式って何かしら(汗))


敦賀さんの見せる男性の顔に動揺し、思い切り失礼な態度で敦賀さんの自宅から逃げ帰って来てしまい、私は下宿先のだるま屋で、一人落ち込んでいた。


(だって‥ラブミー部の卒業は嬉しかったけど‥その‥聖らガールからの卒業は私にはまだ無理よ//)


例えば、体型とか。色気とか。仕草とか。センスとか。

そして、役者としてもまだまだ未発達なのに(自分で言ってて矢が刺さる(泣))

ただ恋人同士というだけで、甘やかされたくないし‥それに、そういう男女っぽいことは苦手だった。

いや、正しくは‥意味合いが違うのだけれど。


(だから、嫌なの。だから‥ごめんなさい‥敦賀さん。もう少し私を聖らガールで居させて下さい)

私は、ギュッと祈るようにアイオライトを握り締める。

流石に、一生逃げ回るつもりは無いが‥あと何年経ったら決心が付くのかと言われれば‥正直答えられないのだけれど(汗)

でも、それを素直に伝えればなんとなく自分の行く末が想像出来て告げることが出来ない。

けれど‥私の本心や本音などおこがましくて言える筈も無く。

(今、私に出来ることはお仕事をいっぱい頑張るだけ。ごめんなさい‥敦賀さん。貴方に見合う私に辿り着くまで‥許して下さい)


しかし、この私の決心が‥彼を更なる苦境に立たせることになる事を‥私はこの時知る由もなかった。

そしてそれが‥私自身に降りかかってくることに‥この時の私が気付くことはなかった。


◆◆◆


(兎に角、今の私はお仕事頑張って敦賀さんに見合う女になるだけよ!)

私は、ドラマの収録の為訪れたスタジオの控え室で‥主役の『アキ』のメイクを施す。

今の私の大切なお仕事の一つ、『ラバーズ』は、恋に愛に奔放な少女アキと、アキに振り回されながらも、女の弱さと強さを秘めたアキを憎めずに‥求め続ける男達との物語だった。

寂しいから、男に依存して愛を求める。けれど、捨てられるのが怖いから、そうされる前に相手を捨てる。

そして、追いかけられることに安堵を覚えて‥でもまだ不安だからアキは男性を求め続けてしまう。

そんなアキは不純だと最初は言われた。私も最初はそう思った。

でも‥演じていく内に私もアキが憎めなくなっていた。

アキの中に見えた‥小さな女の子を垣間見てから。