弛緩出血 | ハートライフ病院で ハートフルなお産

弛緩出血

皆さんはお産の時にどれ位の出血があるかご存知ですか?

大体300ml~400mlです。

100ml台はすごく少ないです(良いことですよ)




500ml以上は多すぎで、

弛緩出血になります。


お産の時の出血は

主に会陰切開や裂傷からの出血と、胎盤が出た後のはがれた所からの出血で

構成されますが、その殆どは、

胎盤剥離後のものが
メインになります。




胎盤がはがれた後の子宮壁は

さっきまで胎盤とくっついていた血管が剥き出しになっています。

そこからたくさん出血するのです。




では、なぜ、
その出血が自然に
止血するのでしょうか?




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赤ちゃんや胎盤が出た後の子宮は急速にその大きさを

新生児の頭部ほどの大きさに収縮させていきます。

ほんの数十秒から数分の出来事です。

腹壁の上からも触れるくらい、

ゴリゴリに硬く子宮は収縮し、硬いボールのようになります。



その時に筋肉の収縮とともに、

剥き出しの血管も、「キュッ!!」と絞められて自然に止血するのです。




ですので、この

胎盤娩出後の収縮が
上手く行かないと大出血
を起こすわけです。

これが弛緩出血です。




子宮がちゃんと収縮できず、ゆるゆるに柔らかい、

そんな状況で弛緩出血は起こるのです。



ひどいときは膣から、蛇口の水をひねったように、

ジャバジャバとめどなく出血します。



この時、医師や周りのスタッフは必死です。(;°皿°)



なんとか子宮の収縮を良くし、出血を止めようと、

子宮をぐいぐいマッサージ(子宮は物理的刺激でも収縮します)、

点滴からは、子宮収縮剤を混注、高速で点滴を落とします。

ちょっと焦ります。


ひどいときはものの数分もしないうちに、

1000mlも2000mlも、あっという間に出血してしまうからです。

Σ(゚д゚;)

止めないことには命に関わります。

コレが産科出血の怖いところです。



大体は収縮剤の投与とマッサージや子宮をアイスノンで冷やすことで

止まりますので、

事なきをえますが、ごくまれに運が悪いと止まらず、

子宮に行く血管をせき止めたり、

それでも止まらなければ開腹、子宮全摘出という最悪のケースも

あります。







どうして子宮が収縮しずらくなるか

というと、

①子宮が疲れている

②子宮が伸びきっている

③子宮が縮むのを邪魔をする何かがある


などです。




①は回旋以上や巨大児や肥満などで分娩時間が長くかかり、

  子宮自体が疲れているケース、
  
  お母さんが寝不足、疲労などで
 
  れてスタミナが残っていないケースなどがあります。




②は巨大児、多胎妊娠、多産婦(何度も妊娠出産している)
  
  などで子宮の筋肉自体が薄く引き延ばされ、

  筋力が弱くなっている。






③は筋腫や、不完全な胎盤娩出で一部がちぎれて子宮内に残っている、

  血の大きな塊が子宮口を塞いでいて、オロが外へ出るのを邪魔

  しているケースなど。




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ある程度、

起こしやすい人は予想できますが、

予想もしない人が起こしたりもするので、

いつも産科スタッフは出血が止まるかどうかが気がかりです。



なので、分娩後すぐにお部屋へ帰さず、

2時間はナプキンをスタッフがチェックし、たまにおなかを押し、

観察するのです。






前回弛緩出血を起こした方は、

次回も一応要注意ですので、

母子手帳の出血量が「多量」に○されていた方は

次回妊娠時、スタッフにお知らせくださいね。





出血が多かった後の産後はふらふらするし、ハアハアするし、

気分が悪くて赤ちゃんの面倒どころはなくなることもあり、

大変です。





予防できるものと出来ない場合とがありますが、

事前に知っているのと知らないのとじゃ、

心構えが違います(;^_^A




あと、もともと貧血の方は、

ちゃんと鉄剤を飲んで、食事も改善して

分娩までに貧血を直しておきましょうね。



貯金が少ないとちょっと出血が多目でもかなり答えます。

逆に貯金が多いと結構出血しても、

平気な人もいますよ!ヾ(@^(∞)^@)ノ



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