6)中山政務官のバックラッシュ発言への抗議文
● 中山政務官のバックラッシュ発言に怒る会
菅直人内閣総理大臣さま
名古屋から「中山政務官のバックラッシュ発言に怒る会」を立ち上げ、ジェンダー問題に関心の深いML等に抗議の呼びかけをした岡田夫佐子と申します。
このたび、「日本女性は家庭で働くことが喜びだ、日本文化だ」と述べた中山発言に怒る女性たちの抗議行動を踏まえた新聞記事が北日本、富山、北国、高知、岐阜等の各紙に掲載されました。ジャパン・トゥデイ他1紙で英文でも報じられています。来週木曜日には、”ウーマンズeニュース”発のさらに詳しい記事が全世界に報じられる、と、当メディアの記者から聞きました。
そこで、民主党政権誕生以来、貴党の発展を祈念してきた有権者の1人として、菅総理に、ご意見申し上げます。
中山政務官の、「日本女性は家庭で働くことが喜びだ、日本文化だ」との発言は、各紙にあるように、10月1日、APECの「女性企業家サミット」でなされました。21カ国300人にのぼる経済界の女性たちを前にした、ホスト国経済産業省を代表する高官による発言なのです。
中山発言に対して、その場でただちに失笑やブーイングが起こり、後、ツイッターなどで批判が湧き起こったということです。この発言は、毎日新聞が日本で報じるより先にアメリカで報道された、とも聞きます。日本から遠く離れたアメリカが先とは、ネット時代のなせる業ですが、それ以上に、「男女平等」への真面目さと、敏感さの違いである、と考えます。
中山氏は共同通信の取材に対し「反省している」と述べたようですが、その場しのぎの弁解にすぎず、それで済むほど事は軽いものではありません。政府高官なのですから、国会の場で正々堂々と謝罪し、二度とこのような発言はしないことを国民に向かって約束すべきです。
菅直人総理、菅政権は、男女共同参画をさらに推し進めるべく、”待機児童ゼロ特命チーム”を立ち上げ、ワークライフバランスの周知と実現に努力されていると思います。そうした政府の方針に、中山発言は全くそぐわない家父長的な性別役割固定を推奨する後ろ向きな発言です。
中山氏は自身のHPで、国会議事録における自身の発言を、「男女共同参画社会の形成の促進に関する件 」として、披露しています。終始一貫、固定的性役割に固執した発言が続いてます。参考までに、ほんの一例を下にあげます。
「男、つまり父親らしさとか、母親らしさ、兄貴らしさ、妹らしさ、お姉さんらしさ、こういうものがあって家族の中はうまくいっていくんじゃないですか。家族の中でしっかりそういうものが行われていれば、性犯罪とかそういうものに巻き込まれない。」「やはり男は男らしく、女は女らしく、そして日本の国は自分たちで守っていく、このくらいの気概を持つことが大切だ。」
http://www.yoshikatsu.com/report/040226-02.html
すなわち、「日本女性は家庭で働くことが喜びだ、日本文化だ」などという発言は、彼の確信的な考えであり、民主党政権運営の一翼を担うには無理があるのではないでしょうか。中山氏を経済産業省大臣政務官に任命した内閣総理大臣として、罷免を含めた厳正な措置を御一考いただきますよう、ここに要望を申し上げます。
岡田ふさ子(「中山政務官のバックラッシュ発言に怒る会」代表)
● 石原都知事の女性差別発言を許さず、公人の性差別をなくす会
2010年10月26日
経済産業省政務官
中山義活 様
石原都知事の女性差別発言を許さず、公人の性差別をなくす会
連絡先:東京都豊島区目白3-13-2-405
野崎方
FAX 03-5988-7286
公 開 質 問 状
私たちは、石原都知事の女性差別発言を告発し、また政治家、政府高官など公人の性差別発言に反対して運動を続けているNGOです。
国内外の第一線で活躍する女性起業家らを招き、岐阜市で10月1日に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の「女性起業家サミット」において、あなたは経済産業省の政務官として挨拶を行い、「日本の女性は家庭で働くのが喜びとしているし、文化になっている」などと発言したと報道されています。
どのようなお考えで発言したものか理解できませんが、APEC開催国として開催の趣旨に反する内容であることは明白です。
日本政府は、1985年国連の「女性差別撤廃条約」を批准し、国内の法整備にむけて努力をしてきました。その趣旨は性別役割分担意識を見直し、男も女も働き、家事労働も分担していくことであり「男女共同参画社会基本法」等として推進されてきております。しかし、日本においてなかなか改善されない女性差別の現状に対して、国連の女性差別撤廃委員会からの多岐にわたる「勧告」が出されているのが現状です。
そうした日本国政府にとって今回のAPECでは、アジア太平洋地域において経済発展を推進する原動力として女性の社会進出と地位向上をめざすとともに、リーダーシップを発揮していくことがきわめて重要な任務であったと考えられます。あなたの発言はそうした任務にそむいた時代遅れの発言です。ましてや国内外の第一線で活躍している女性起業家に対して、女性の家庭役割を強調し、文化とまで断言するとは、日本における後進性を宣言する恥ずべき行為ではないでしょうか。
多くの女性から抗議が殺到しているということですが、あなたはご自身のご見解をきちんと表明すべきであると考え、下記のとおり質問いたします。
記
1. 女性起業家サミットの参加者に対して、あなたがアピールしたかった趣旨は何だったのでしょうか?
2. 女性が職場や社会で働く権利があると考えていますか?
3. 女性が自分で会社などを設立し経営することは、好ましいことだから推進すべきだと考えていますか?
4. 家庭責任(家事や育児・介護など)は主に女性の役割だと考えていますか?男女共同の責任だと考えていますか?
5. 「日本の奥さんは力がある。デパートに行けば、初めに子どものもの、次に奥さんのもの、その次がペットのもの。4番目にご主人のものを買う」とも発言されたそうですが、その趣旨はどういうことですか?日本では、女性の家庭での決定権が強いということを言っているのですか。「日本の女は家庭でしっかりやっているし、それが女の役割なんですよ」と強調したかったのですか?
6. 現在、菅内閣では、今年末に向けて第3次男女共同参画基本計画を策定中ですが、今年7月23日に出された「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的考え方(答申)」を読んだことがありますか?読んでいなかったらぜひ早急に読んでください。
7. 昨年国連男女差別撤廃委員会に提出された日本政府の報告書(第6次レポート)、それに対して委員会から出された「最終見解」を読んだことがありますか?
それには、「29.・・・委員会は、公務員(公人)による性差別的な発言が頻繁に起きていることおよび女性に対する言葉の暴力を防止し処罰する措置が取られていないことに懸念を表明する」と述べられています。
以上の質問に対してAPEC首脳会議が開催される11月13日までに文書にてご返答をお願いいたします。
また、私たちは、あなたご自身の発言が「性別役割分担意識」というステレオタイプそのものの発言であったことを認め、当日集まった「女性起業家」の皆様と私たち日本の女性たちに謝罪し、発言を撤回されるよう要請いたします。
なお、この公開質問状及びご回答は、マスコミに公表させて頂きます。