心的外傷後ストレス障害/PTSDの定義

自分自身や他人が死に直面するような危険な出来事を経験することによって心に傷を負います(トラウマ)そして、この心の傷が安全な環境で生活しててもその人の生活を脅かし続けます。
例えば、昔大規模な交通事故を目撃し、大怪我を負った人々を間近で見てしまったとします。
その光景が頭から離れずに、夢に同じ光景が出てきて苦しんだり、フラッシュバックしたり、このような出来事を思い出さないために車に乗ることを避けたり、人によっては車が視界に入るのすら避けます。

トラウマは心の傷(心的外傷)のことであり、心の傷を負うような体験や出来事ではありませんが、
なぜかこちらの出来事の方がトラウマと呼ばれるようになりました。

心的外傷後ストレス障害/PTSDと言う名前がついたのは最近のことですが、この障害自体の歴史は古く南北戦争の時に「Da Costa's Syndrome」という症候群が誕生しました。
この症候群が心的外傷後ストレス障害/PTSDと極めて似ており、
この時既に心的外傷後ストレス障害/PTSDの概念は出来上がっていました。

「Da Costa Syndrome(ダコスタ症候群)」とは、Arthur Bowen Richards Myersが初めて言及した症候群ですが、なぜか J. M. Da Costaという人物からの名前を取った症候群です。
南北戦争に行った兵士達の多くが、安全な環境に帰ってきても過呼吸や動悸に苦しみ、彼らに見られる共通の症状をダコスタ症候群と呼びました。

心的外傷後ストレス障害/PTSDなる言葉を誕生させた出来事はベトナム戦争です。
ベトナム戦争帰還兵士に社会生活に適応できない人が続出しその原因が研究されました。
そして、その結果1980年に心的外傷後ストレス障害/PTSDが誕生。
瞬く間に、最も有名な心の病の1つとして認知されるようになりました。

トラウマ体験をした人々が心的外傷ストレス障害になる可能性は非常に高いです。
男性にとってのトラウマ体験はレイプ、戦争、育児放棄、身体的虐待が多く、
女性にとってのトラウマ体験はレイプ、性的虐待、身体的暴力、凶器による脅迫、子供虐待が多いです
(注:これはアメリカでの統計です)


心的外傷後ストレス障害の診断基準は以下の通りです。

A. 以下の2つが共に認められる心的外傷となる出来事にさらされた経験がある。
(1) 死や死の脅威、または深刻な負傷、もしくはそれらの生じる恐れ、あるいは自分自身もしくは他者の身体的保全に対して脅威となるよう出来事を体験、目撃、またははそのような事態に直面した。
(2) その人の反応が、極度の恐怖、無力感、絶望などを含んでいた。

B. 心的外傷となった出来事は、以下の一つ以上の形で再体験され続けている。
(1) 出来事の反復的、侵入的で苦痛を伴った想起でそれらはイメージ、思考または知覚のかたちをとる。
(2) その出来事に関係した苦痛を伴った夢の反復。
(3) 心的外傷となった出来事が再び起こっているかのような行動や感情が生じる。
 (その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚、解離性フラッシュバックのエピソードを含む)
(4) 心的外傷となった出来事の1つの局面に類似してたり、その出来事を象徴するような内的・外的なきっかけに直面した場合に生じる強い心理的苦痛。
(5) 心的外傷となった出来事の1つの局面に類似してたり、その出来事を象徴するような内的・外的なきっかけに直面した場合に生じる生理的反応。

C. 以下の3つ(またはそれ以上)によって示される、(心的外傷以前には存在していなかった)トラウマと関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺。
(1) 心的外傷と関連した思考、感情、会話を回避しようとする努力。
(2) 心的外傷を想起させる活動、場所、人物を避けようとする努力。
(3) 心的の重要な側面の想起不能。
(4) 重要な活動への関心または参加の著しい減退。
(5) 他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚。
(6) 感情の範囲の縮小(例: 愛の感情を持つことができない)。
(7) 未来が短縮した感覚(例: 仕事、結婚、子ども、正常な一生を期待しない)。


D. (心的外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進状態で、以下の2つ以上によって示される。
(1) 入眠または睡眠維持の困難。
(2) 易刺激性または怒りの爆発
(3) 集中困難
(4) 過度の警戒心
(5) 過剰な驚愕反応

E. 上のB,C,Dが1ヶ月以上持続する。

F. 臨床的に著しい苦痛または、社会的・職業的・その他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

心的外傷後ストレス障害/PTSDを引き起こす原因

上で書いたように、心的外傷を負うような体験(レイプ、戦争、交通事故etc..)がPTSDを引き起こすのですが、
なぜ人によってPTSDまで発展したり、出現するまでの期間が違うのか等の根本的なことに関しては不明です。

心的外傷後ストレス障害/PTSDの治療

認知行動療法、薬物療法、Eye Movement Desensitization and Reprocessing/EMDR、Brief psychodynamic psychotherapy、グループセラピーが一般的な療法です。

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