掌の中 | 人生をピンセットでつまむ

掌の中

掌の上に変革があるんだが

握ったまま放す事が出来ない

潰さない為に軽く握った手で

外に出ない様そっと包囲する

ただちょっと怖いんだ

放たれる事が

自分の意思では制御出来なくなる事が

手からすり抜けてしまうかも知れないから

やがて手の中の変革は狭い世界で

暴れだす

外に出せ外に出せと

そのエネルギーを手の中で回転させる

やがて手は開かれ

変革は飛び出そうとする

その時ぼくはどうするのだろう

握りつぶしてしまう

いや手を開いて飛び立たせる事を願う

雲がたゆたうあの青い空へ

変革の手を放ちたい

無事に目的の地へたどり着く事を願う

ただ願う


ぼくは掌を空に向かって放り出した

変革がぼくを離れ飛び出す

そうしてどこかへと消えたんだ


きみが横で微笑んでいた

だからぼくもつられて笑ったんだ

きっとあの鳥は目的の地へたどり着くだろう

何だかそんな気がする

あの青い空で鳥は優雅に飛んでいる事だろう

強い上昇気流を捕らえ

高くどこまでも高く高く