「2034年」  (JYJ MAGAZINE 1000日のストーリーからの幻想) | 小鳥のさえずり --永遠のユンジェ--

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ユンジェと5人が大好きです。

小説は①からリンクをたどってね。
たどらないと読めないかもです。

古い記事は「覚え書き倉庫」になってて、
その日に書いた記事ではありません。

ゆっくりしていってね♪
アメンバ申請は、18歳以上です~




2034年1月某日・・・





自社で経営するカフェチェーンのソウル3号店の片隅で、


俺は、左耳に手を当て、


イアモニ型ipodの収まり具合を直してから、


自動ドアの方角をちらりと見た。



右耳の軟骨には、小粒のブラックダイヤのピアスが3つ。


指の先でなんとはなしに触ってみる。




この店は客層が若い。


俺がチェーンの代表だと知る者はお客にはいないだろう。


サングラスを取れば、ハリウッド映画に出た韓国人俳優だと知る人はいるかもしれない。



コアな音楽ファンのお客であれば、「JYJの1人じゃないか?」とわかるかもしれない。


それよりも、昨年のワイドショーで、韓国資産番付NO1だとさんざん騒がれたから、


金持ちの芸能人だ・・と見る人は多いかもしれない。



自分が周りからどう思われるかを、さまざまに思いめぐらす。


ふ・・・・・そういえば、若い時からの癖だな、これは。





ガーッとドアの音。


振り返ると、彼がいた。


俺を見つけて、ニカッとさわやかに笑って近づいてくる。




立ち上がった俺を、無言で抱きしめる。


友情のハグにしては長すぎると、まわりが不審がるよ。




「ジェジュンア・・・もう少し太れよ」



俺を離して、顔をまじまじと見つめる。



「ユノ・・・おまえはもうちょっと痩せたら?」



「僕、太ってないよ~ これは筋肉、筋肉!」



くしゃっと破顔する、その変わらない笑い方を見て、胸がうずいた。



「車を店の前に着けてるんだ、行こう」







ソウルもすっかり様変わりした。



明洞あたりも、若者向けの安価なブランドショップが台頭するようになった。


大きな星のマークに「SMTOWN」と書いてあったビルも、もうない。




運転席のユノがBGMをかける。



「・・・ミドヨか・・・・第1集?」


「うん、最近また1集から全部聞き直してるんだ」


「あ、俺もそうなんだ。同じだね」



ユノの横顔に笑いかけると、ミラー越しに柔らかく笑い返してくれた。





・・・要件を一つ思い出して電話する。



「ジュンスヤ~ 

 ふふ・・・どう?まだ?


 ・・・・あっ!生まれた?

 おめでとう~!!!


 で、どっち? 

 また女の子ぉ!?


 あっは~~~!!!


 ・・・・うん、今、ユノと一緒に向かってる。

 うん、うん、待ってるよ~」



横でユノが「お~っ よし!」と片手でガッツポーズを作る。



「これで4姉妹か・・・まだまだあと4人女の子が続けばいいのに!」



アーハーハーハーッ!



愉快そうだ。



「ふふ、そしたら、ジェホを養子に出す?」



「ええっ?う~ん、いやいや、嫁にもらおう。

 一番ジュンスに似てない可愛い娘で、ジュンスに似て歌のうまい娘を」



「あっは・・・いいね、それ!」






地下駐車場に車を停めて、エレベータで30階まで上がる。


「SME株式会社」とシンプルな文字で書いてある階だ。



広いフロアを2人で並んで歩くと、社員たちが次々と椅子から立ち上がって90度のお辞儀をする。




「社長、ジュンス様以外はお揃いです」



モデルのような秘書がそっと寄ってきてユノに耳打ちする。



「うん、ジュンスもすぐに着くから案内してやって」





応接室に通される。


一番手前の、長髪にひげ面のチャンミンが片手を上げた。



「よう、またひげ伸ばしてるのか?」


「海賊の役だから、しかたがないんですよ~」


「いい男だぞ」



ふっふっふ・・・


チャンミナの照れ笑いは昔のままだ。




「やー、ユノヒョン、ジェジュンヒョン、ひさしぶり・・・」


「ユチョナ・・・!!!」



ユノと俺はユチョンに駆け寄ってハグをする。


3年ぶりか・・・?


すっかり容貌が変わっている。

カナダに渡って現地の奥さんと遅い結婚をし、俳優もしながら


広大な土地を所有して、農業ビジネスで大成功をしたユチョン。



韓国でのハードワークで一度身体を壊したけれど、


カナダの環境が合ったのか、今はすっかり健康そうに日焼けしてる。



3人で抱き合ってると、チャンミンが、ガシっと一番外側から3人を抱いた。



「さっきから言いたかったんだけど、額・・・だいぶ後退したよなぁ・・・ヒョン」



「きっと言うと思ったよ、最強様」



泣き笑いのような、ユチョンの懐かしい顔・・・。


JYJは解散していないが、最後のアルバムはもう何年も前だ。



近況を語り合っているうちにジュンスがにぎやかに到着した。


「また女だよ~!!! 持参金で家がつぶれるよ~!!!」


言葉とは逆で、とても嬉しそうだ。




「さあ、さあ、そろそろ東方神起再結成の本題に入るぞ!」


俺たちのリーダーで、SMEの剛腕CEOが、手を叩く。



「まず今年の前半はレコーディングを進めて、夏前にアルバムを出す!

 秋以降は韓国でのツアー!年末からアジアツアー!春には日本ツアーだ!」


わーーー!!!やーーーー!!!いいぞーーー!!! ピーー!ピーー!


5人でひとしきり大騒ぎをする。



「総合企画は、SMEで。コンサートの舞台監督は、ジェジュンのところで、頼むよ」


「OK!まかせて」


わが社の不動産事業を除いたメイン事業は、舞台プロデュースだ。




「ツアー企画はうちでやってね?」


と、ジュンス。



「もちろんだよ。 あ、でも頼むからさ、日本人向けのツアーアンケートのポイント、必ず上げてね」


「わかってるよ~。日本の大手とタイアップしたから大丈夫だって」




ひととおり大枠のうち合わせをしてから、ユノが言った。




「20年以上前に、僕が言ったアレ、覚えてる?」



「アレ・・・だね?」



俺はすぐわかった。




「もしも東方神起が解散したら、僕がリーダーとしてまたみんなを呼び戻すって言った。」



「うん・・・ユノ、言った。そして俺はね、東方神起の最高のボーカリストになるって言った」



「俺は、東方神起の曲を作ってるって言った」とユチョン。



「僕は、メンバーとサッカーして遊ぶって言ったかな?」とジュンス。



笑い声が上がる。



「僕は・・・末っ子だから、メンバーについて行くって言いました・・・

 みんな、よく覚えていましたね」




さざめく笑い声の中に、涙声が混じった。



ユノが涙をこらえながら天に向かって話す。

「僕は・・・今日はまだ泣くのを我慢します、お祖父さん…。お父さん・・・。

 来春、このツアーの最後の最後、東京ドームで、泣かせてください・・・」



ユノは涙を拭いて泣き止もうとするのだが、次々と涙があふれてくるようだ。



「ジェジュン、HAGからまた歌ってくれ、僕たちの曲を」


「うん、歌うよ、俺」

俺の頬にも温かいものが伝っていた。


「ユチョン、新しいアルバムのために曲を作ってくれる?」


「もちろんだよ、ヒョン」


ユチョンも、ジュンスも、チャンミンの頬にも涙が光った・・・・。






扉が開いて、騒がしい子供の声が入って来た。


ジェホだ!



「パパー!!! ジェジュンオッパー!!!」



続いて腰を折った乳母が続いて入ってくる。


「すみません!旦那様!坊ちゃんがどうしてもってエレベータに乗ってしまわれて・・・!」



「ジェホ! 今日は学校はないの?」


ユノによく似た少年を膝に抱いて頭をなでる。



「ジェジュンー!!! 今日はね、もう帰って来たんだよ!宿題も終わったよ!

 ジェジュンに会いたかったよー!!!」


「よしよし、じゃあ、あとで一緒に遊ぼう。乳母やと一緒に先に帰っててな?」


「うん、必ずだよ!!!」


「うん、オッパは約束破ったことないだろう?」



じゃ、あとでね!とジェホはおりこうに、乳母やに手を引かれて出て行った。











SMEビルの最上階のユノの自宅で、ジェホと3人でご飯を食べ、


勉強も見てやって、たっぷり遊んでやって、眠ってしまったジェホを寝室に運んだ。


この子の母親は、忙しすぎるユノに愛想をつかして何年も前に出てしまっている。


赤くいい匂いのほっぺにキスをした。




リビングに戻った俺の腰に手をまわして、ユノが顔を寄せてくる。


色々なことが起きた日なので、2人ともまだくちびるが冷えている。



「ジェジュンア・・・僕はこの日を夢見て今日まで生きて来た」


「・・・うん。わかってる。」


「20年も経ってしまった・・・僕はすっかりアジョシさ」


「韓国一かっこいいアジョシだよ」


「ジェジュンア、君こそ、あいかわらず世界一美しい男だよ」


「老けてしまったよ…俺(///)」


「老けてもかわいいよ」



また唇を合わせる。


ユノが大好きだという俺の鎖骨に舌を這わせる。


俺はユノの耳たぶをやさしく噛んで、ささやく。



「ユノ・・・20年前、お前が犠牲を払ってくれたおかげで

 俺は自由を手に入れた。


 お前の専属契約の長期更新の見返りとして、

 俺たちの裁判が終わったことは、忘れないよ。」



「それは、いいんだよ、ジェジュンア・・・言っただろう?

 僕は組織の中で活きる人間なんだから。

 犠牲でも何でもないよ。


 ただ、僕たちの再結成に、こんなに時間がかかるとは

 予想してなかったけど・・・それも、今はもういい。」



「カシオペアやビギストには情報が漏れてて

 再結成があるらしいって騒がれてるよ」



「どこから漏れるのかな?情報管理課にカツを入れなきゃ」



「ふふ・・・いいよ、うれしいニュースだから、漏れたって」




ユノのイタリア製のシャツを脱がせ始める。


ユノも俺のプライベートブランドのセーターの中に手を入れる。



「ジェホの名前を彫ったって? 見せて」



「・・・ここだよ」



ジーンズを下げて見せた。



一番最初に入れた右腰の模様と対称に、


左腰にJAEHOと飾り文字が入っている。



俺たちの名前を1文字ずつ取って息子に名付けたユノを、


当時はあきれたものだ。



でも、あの時、ユノの犠牲があって、裁判に勝ったのだと知った時、


生涯をユノにささげると誓って、ペ,ニ.スにユノの名前を刻んだ俺こそ、


あきれたものだ・・・。



インタビューで「しばらくは結婚は考えません」と言ったが、


あの時俺はもう独身を通すと決めていたんだ。



「ジェジュンア、続きはベッドで・・・」



「うん、ユノ・・・愛してるよ」



「愛してる・・・信念を持って、生涯かけて」



「うん、信念を持って、生涯かけて・・・」



「永遠に愛してる」



「永遠に」





ユノに肩を抱かれ、


ユノの腰に手をまわして、


俺たちは微笑みを交わしながら、


窓に映るソウルの夜景に


背を向けた。








fine...





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