司法試験の受験勉強は主に図書館か、予備校の自習室でやっていた。
図書館は相変わらず高校生がいっぱいいるので嫌だったのと、5年以上一か所のところで他人との会話も全くせず勉強していると気がおかしくなってしまいそうだったからである。
ただ、外界との接触がほとんどないため。このころの自分は頭の中が法律(というか司法試験ネタ)とエロしかなかった。
会話も司法試験ネタ、いわゆる論証ブロックがああだこうだというような、一般の人が聞いても何がなんやらまったくわからないような話しかできなかったため、他人と会話することもなくなっていた。
家に帰れば官能小説(主にSM秘小説を愛読していた)をむさぼり読み、オナニーに耽っていた。
性的嗜好は、周りには秘密にしていたので、そんなこと話題にできないため、他人と会話の糸口となるような話題のネタはどんどん減っていった。
ただ、予備校に行くと、現役合格者の写真があちこちに飾られており、合格体験記も一緒に貼ってあってこれが大きなモチベーションとなった。
それらを読んでいると、「論証ブロックさえ押さえておけば大丈夫!」「基本書は一切読まずに、学校のテキストだけで大丈夫!」といったような予備校の宣伝的なものが多く、何も考えず書いてあることをそのまま鵜呑みにしてた。
そして次第に予備校の講座で勉強していれば間違いなく合格すると洗脳されるようになった。
すると、大学の法律の授業など、ばかばかしく感じるようになり、いつも「あんな非効率的な勉強では学力は身につかない」と思い込み、予備校の授業以外は一切受けないようにしていた。
3年生になるころには出席とる授業以外は一切出席しなかった。
しかし、これが大きな誤りだった。
自分では勉強していたと思ったが、全然できなかった。
そもそも予備校講義をひたすら何回も聞くだけでは何も頭に残らず、講師の言ったフレーズのみが断片的に残っているだけで、まったく力にはなってなかったのだ。
おまけに勉強を始めて3年目くらいまで、六法をほとんど引くこともなかった体たらくである。
これが仇となり、専門科目をほとんど落とし、1回目の留年を経験する。