黄色にまつわる西と東(2) | クリスチャン・カラーリストの色でワクワクするブログ

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東洋における黄色を見てみると、

まず、中国において、黄色は皇帝の色として、

畏敬されていた。




明朝や清朝の皇帝の正装は、黄色い地に、色々

文様がカラフルに刺繍されたものだった。




Color Impression

そして、皇帝以外は、黄色を身につけるのが禁じ

られた。




中国の皇帝の居城だった紫禁城のかわらの色が

黄色に彩られているのも、「天子の住む家」を

象徴している。



Color Impression



紫禁城




文明の源である河は、黄河。

「ここを見ずして山を見たというなかれ」と

言われる景勝は、黄山。



中国で大切なところの名前には、よく「黄」が

使われている。



これは、中国独自の祖神論がルーツとされる。


「祖神である天帝は、天の紫微垣にいる。

(紫微垣:今の小熊座にあたる星座)

 地の天子は、大地にいる。」

という思想である。




天子の象徴色は、大地の色、すなわち、中国の

大地の黄色である。




また、中国の思想・哲学に大きな影響を与えて

いる陰陽五行説においても、黄色は中央に位置

するである。




Color Impression




中国だけでなく、仏教、儒教、ヒンズー教の

国では、黄色が大変尊ばれている。



タイやチベット、ベトナムでは、僧侶が黄色い袈裟

をまとっている。



Color Impression


*タイのワット・マタハート

 仏像に着せられた黄色い袈裟



インドのヒンズー教の寺院でも、大理石の建物に

橙と黄の彩色がなされている。




この風習は、日本にも伝えられ、

820年に即位した嵯峨天皇以来、

天皇の正装には、

黄櫨染御袍 (こうろぜんごぼう)

と呼ばれる、黄色の渋い色をした衣装をまとう

伝統がある。




この衣装は、重要な儀式に限って着用されるもの

で、普段は見られないが、最近では、平成二年の

即位式に、今上天皇がお召しになっていた。


Color Impression

上の写真は、それを再現したお内裏さまである。



このように、東洋においては、黄色は最上位の

として君臨しているのである。



簡単な比較ではあったが、黄色という色一つをとっ

ても、西洋と東洋では、色彩感情にこれだけ違い

がある。




インターネットが発達し、簡単にさまざまな国の

人たちとつながりを持てるようになった。




そういう時代だからこそ、自分達の文化や歴史

を知り、またつながろうとする相手の国の文化や

歴史を知ることが、これまでよりもずっと大切に

なってくるのではないか。




黄色は、その思いを喚起させてくれる

ありがたい色である。