福島原発:気になること+真宗大谷派の英断という21日に書いた記事に、以下のように書いた。

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(1)2号機になんだか穴が空いていて、白煙が出ていること。
(2)既に述べたように、アメリカが4号機のプールが破損していると言っていること。
(3)3号機の格納容器の圧力が一時期上がっていたこと。
(4)1号機が何の音沙汰もないこと。
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その後、事態はどうなったかというと、

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(1)2号機は配電盤が残っているから一番可能性がある、と言っていたのに、実際には一番、壊れていた。
(2)4号機のプールの話が出なくなった。
(3)3号機の格納容器はなんとか持ったが、冷却系の起動は一進一退。
(4)1号機の中央制御室が回復したら、最も危険な状態であることが判明。
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というわけで、外部電源が回復した以外は、事態が改善していない。特に、1号機の音沙汰が無くなっていたことが、予想通りに悪い知らせだったことは、非常に不愉快である。私がなぜこういうことを言ったかというと、こういう連中の行動パターンとして、

都合の悪いことは無視する

というのがあるからだ。これは典型的な東大話法でもある。それゆえ、報道が無くなったことが非常に不気味だったのであるが、図星だった。

1号機は燃料棒が相当に壊れているようである。圧力容器が上も下も400度というのは、怖い。というのも、海水注入を続けて冷却していたのだから、下の方には水が溜まって、上よりも温度が低いはずだからである。それが両方400度というのは、水がない状態がずっと続いていたことを意味する。水を入れたら260度程度になったと言うが、今度は、上と下の温度が出ていない。これも感じが悪い。

いずれにせよ、1~3号機で燃料棒の崩壊は進んでいる。これが圧力容器の下に落ちてきて、容器を直接熱する状態になると、容器が壊れることになる。そうすると、格納容器も壊れる。それが非常に危険な事態であるが、その状態が接近している。

下の記事で、近畿大学原子力研究所の伊藤哲夫所長は「原子炉本来の冷却機能を早く稼働させることが不可欠」と言っている。この困難な課題を、炉心が圧力容器を壊してしまうまで達成できるかどうか。際どい勝負である。

ひとつの希望は、さすがに「原子力安全欺瞞言語」を平然と使う人が、徐々に減ってきたことだ。はやく撲滅しないと間に合わない。


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福島第1 遅れる冷却機能復旧 3号機、真水注入が難航
1号機、温度抑制に不安
2011/3/24 15:27 日経新聞

 東京電力の福島第1原子力発電所では予断を許さない状況が続いている。1号機の圧力容器の温度が一時、高くなり、注水量を増やしたため、今度は格納容器の圧力が上昇した。専門家は燃料の一部が溶けている可能性もあるとみている。外部電源を使った「補給水系」による真水の注水を計画していた3号機では23日夕に再び原因不明の黒煙が上がり、作業が長時間、中断した。1~4号機すべてが通電可能になったが、東日本大震災で失った冷却機能の本格的な回復は遅れそうだ。

 地震時の津波による影響を最も受けたとされる1号機は、多くの専門家が危険な状態と指摘している。近畿大学原子力研究所の伊藤哲夫所長は「(地震後、海水注入を継続してきたが)圧力容器内の温度制御がうまくいっていない可能性が高い」と話す。燃料棒の一部が溶融し、原形をとどめていない公算もあるという。

 1号機では23日、一時的に圧力容器の上部と下部でセ氏約400度まで温度が上昇した。通常の運転時の温度より100度以上高く、設計温度を大きく上回る。高橋実・東京工業大学准教授は「水がほとんどなくなって、水蒸気が大量にたまっている可能性が高い」という。

 東電などは圧力容器内に注水する量を8~9倍に増やし、急速に温度を下げた。24日朝には230度前後まで下がった。ただ、海水注水時には圧力容器の圧力を逃がす弁は開いており、注水によって大量に発生した水蒸気は格納容器にどんどん出ている。圧力容器の温度は下がるが、格納容器の圧力が上がるというジレンマに陥る。

 エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は「原子炉の状態が不安定な場合、消防ポンプによる注水の冷却では限度がある。原子炉本来の冷却機能を早く稼働させることが不可欠」と指摘する。

 3号機は22日夜に中央制御室の照明が点灯し、本格的な復旧作業が進むと期待されていた。安定的な冷却に向けて原子炉に真水を入れて冷却するシステムである補給水系を復旧する計画だったが、23日夕の黒煙の発生で作業が中断し、遅れている。

 補給水系は原子炉や使用済み核燃料プールを冷やすために備わっている冷却システムで、圧力抑制室の水などを出し入れするポンプを使い炉心に真水を入れる。

 これまでは緊急手段として、非常用ポンプで海水を注入して冷却していた。ただ、海水は塩分を含んでおり、ポンプなどに悪影響を及ぼす恐れがある。今後、本格的な冷却機能の復旧を目指す上で、真水に切り替えなければならない。