原子力は、非常に危険なものであって、一旦、大事故が起きると、人間の手では止められないものとなります。今回の事故でそれは明らかになっていますが、原子炉を止めても、核燃料は放射能を出して崩壊しつづけ、発熱を続けます。ですから、ずっと冷やし続けないと、大人しくしてくれないのです。放置すると、どんどん熱くなって、活動が活発化して、大事故を起こします。

ガソリンなどはそういうことはなく、閉じ込めておけば大人しくしてくれます。この違いが決定的で、これはどこをどうやっても変わりません。

ところが原子力産業は、この当たり前の事実を隠蔽するところからスタートしています。ですから、全ての言葉がおかしくなります。

この番組は見ておりませんでしたが、小出裕章氏をはじめとする京都大学原子炉実験所の「熊取六人組」の皆さんは、普通の言葉を使う研究者です。言葉を普通に使うと、異端になってしまうのです。

原子力関係で普通の言葉が通用しないことを明瞭に示しています。報道などの全ての原子力関係の言葉は歪んでしまっています。これでは、危機は乗り越えられません。普通の言葉を使うこと。これが今、目の前の危機から脱するための、第一歩でもあります。