プロケーブルさんのHPには、「音の焦点」という概念が出てくる。それは、アンプとスピーカーとを繋ぐケーブルの長さによって、音が変わり、それぞれのオーディオシステム・ケーブルの種類・環境・聴く人の組み合わせに対して、ひとつの「焦点」、つまりは「適切なケーブルの長さ」がある、というのである。

一番大切なところを引用しておこう。

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■音の焦点の合わせかた

これは、非常に、簡単です。方法は一つだけです。スピーカーケーブルで行います。「フラットな特性」のスピーカーケーブルを使って、その長さの調整と、太さの変更によって行うだけの、非常に簡単なことです。これは公式にしてしまったほうがいいですから、公式化します。たった二つの公式にできるほど、簡単なことです。

●公式、その1 メッキ線材の場合(銅にメッキされていて銀色の線材)
ベルデンやWEなどのメッキされている線材は、短くすると、音が柔らかくなります。長くすると、音は、よりシャープになります。細くすると音はシャープになります。太くすると音はマイルドになります。

●公式、その2 非メッキ線材の場合(銅そのままであり、銅色の線材)

非メッキ線材は、長くすると音が柔らかくなります。短くすると、音がシャープになります。太くすると、一般的には、音は柔らかくなります。細くすると、これも音はシャープになる傾向を見せます。
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ということである。つまり、アンプとスピーカーとを繋ぐケーブルの長さによって音が変ってくるので、それを自分の耳で聞きながら調整しないといけない、というのである。 「知らんかったー!」と驚いたが、以下のように、実はオーディオ好きの人でも知らないらしいのである。

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なぜ私がこのような基本中の基本とも思われることについて、いまさら書かねばならないのか、

音の焦点・・、

このような「基本事項」は、今までオーディオ雑誌なりオーディオメーカーが、とうの昔に発表すべきだったことであり、オーディオファンを指導すべきだったことであり、すでに世の中で常識化していてしかるべきほど、それほどに重要で、かつ、簡単なことだからです。

しかし結果としては、この事実は、闇に封じられたまま、いまだ据え置かれている状態にあり、オーディオマニアのかたがたを、オーディオ地獄に突き落としてしまう、「最もやっかいな問題」として、今もそのまま残っているのが、実態です。
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私が色々な本で指摘したように、経済学にはその大前提に大きな矛盾があるのに、今日に至るまで関係者全員がその矛盾から目を背けており、そのために経済学全体が荒唐無稽になっている。マイケル・ジャクソンだって、プロの音楽家やプロの評論家と称する人々の多くが、彼の思想や音楽の本質から目を背けていることは、このブログをご覧いただければおわかりだと思う。こういうことが起きているので、オーディオで同じようなことが起きても全く不思議はない。

それで、おすすめのケーブルを購入して実験のつもりで「焦点合せ」をやってみた。まず2.1mのものを購入して、繋いでみたところ、確かに音がシャープすぎてうるさい。つまり、世界最高峰のケーブルであるというのに、コンポ付属のケーブルより音が悪くなったのである。しかし、良く聞いてみると、元々のケーブルでは、マイケルの声と色々な楽器とが混ざって聞こえていたのに、新しいケーブルではそれらがクッキリと分かれている。

それで意を決っして「焦点合せ」に挑んだ。まず10センチ切ってみる。ケーブルの絹のカバーを挟みで削って剥すなど、ちょっと面倒くさい。つなぐと、グッと柔らかくなった気がした。それでもう10センチ、もう10センチと切っていき、40センチほど切ったところでかなり良くなった。そこでもう3センチほど切った。すると、まだちょっと固いかなぁと思わなくもないのだが、室内楽をかけると、弦楽器の音が非常にきれいなので、ここでやめることにした。本当は1cm とか 5mm とかの単位で肉薄せねばならないらしいが、まぁ私はそんなに音にうるさいわけではないので、これで十分である。また気が向いたらやってみたい。

それでマイケルの曲を色々聞いてみた。Jam の出だしとかたまらないワクワク感である。Unbreakable のキツいビートが以前の状態では我慢できなかったので、これを参照基準にしているが、これも合格である。もっとケーブルを切ればもっと柔くなるのだろうが、それでは弦楽器の方がぬるくなる恐れがある。極めつけは、Fall Again で、これは柔らかい声とキツめのビートの組み合わせで再生が難しいと思うのだが、それが両者非常にバランス良く聞こえる。やっとこの曲の本当の姿を知った、という気分であった。

こうやって書くと、面倒に思えるので、自分でやるのはなぁ、と思われるかもしれない。確かにお仕着せの機械をボタンひとつで操作するのに比べれば面倒であるが、それによって生じる違いは、恐ろしいくらいである。

焦点合わせをして、本当のマイケルの姿に出会おう!!!

と申し上げたいのが、今の私の気分である。まぁ、マックを持っている方なら「機器セット」をするだけで世界最高峰の音を楽しめるのだから、こんなことすらしなくて良いのだが。


ちなみに、「そのへんで売っているマックが世界最高のオーディオだということなら、何も売れないので、商売あがったりではないですか」とメールで店長さんにお伺いしたら、

当店の商売があがったりになっても、かまわないのです。
オーディオ業界を改革するのが私の仕事だと思っています。


という気高い御言葉が返ってきた。