いよいよ、デート商法の女と直接対決だ!


俺の姿は上はジーンズメイトで買ったジャンバーでズボンはジャージである。80s生まれにはたまらないダサかっこいい姿で表参道到着だ。


暗黒黙示録

さっそく指定された場所まで歩き昨日の女に電話をかけると近くのファミリーマートで待っててと言われ待つ。


店は正面なのになかなか来ない…!どっか遠くでどんな奴が来たのかと、見てるのだろうか?まるでテレクラで待つ女の気分だ。

10分経過しようやく20代の若い女がニコニコしながらやってき、開口一番「ジャージっすか?」と先制パンチだ。

まああまりに金を持ってない競馬場のオッサンスタイルで来たからな!


俺をエレベーターに乗せる。

駅のすぐ一等地にあり、全部持ちビルだそうだ。1Fではロング金髪の外国人女性がニッコリと俺に微笑む。

2Fに到着すると、1つのテーブルに着席し対面上になってまずアンケートを記入させられる。


女はイメージと違った、優しそう、安心した、テンションあがってきた、とおおよそ俺が女に言われたことのないセリフを惜しみなく言う。

ここで気の弱いメガネくんなら鼻の下を伸ばしてニヤニヤと喜ぶのだろうが、これも買わせる作戦の一環だろう。

なぜなら全部友達感覚&恋人感覚だからだ。異性を上手に利用したハニートラップに近い。


なぜなら友達のように仲良くなっとけば頼みを断り辛くなるからな。

まるで友達感覚なのだ。目は笑ってるがその黒目の奥底では俺という人間の値打ちを会話の中でゆっくりと鑑定してるんだろうなと邪推が働いた。




まるで無駄な時間だ。まったく営業商売とは関係のない無駄話、雑談、をふりかけてくる。

あまりに俺がテンションも会話も乗らないんで、ついに俺の口から「あの、あんまり無駄な時間すごしたくないんで早く説明を始めてもらえませんか?」と中日守護神、与田剛並みの直球ストレートに言ってしまった。

明らかに楽しくしゃべってた女の顔色が変わり、「商品を説明する前に私はまだ新人だから第三者の方にわかりやすく説明してもらうことになってるから今から呼んでくる」とか言い始めその場を去ったのだ。



おい!お前が説明するんじゃなかったのか!?

やはりここでピンときた。この女はあくまで釣り餌なのだ。

下心まるだしな繁殖期のオス魚をおびき寄せて油断させ網で一気に「あらっよっと!」すくい上げる戦法なのだ。


どれくらい待ったのだろうか、きっと待ってる間に俺を吟味した報告が別部屋の上司になされてるのだろう。

やがてタバコの匂いが服に染み付いた安室奈美恵が好きそうなギャルサーのボス女(20代後半)がやってきた。

とても気が強そうだ。

てっきりごっつい黒服が数人やってきて囲まれるのと思ってたのだが以外であった。

ただその女はやたら上から目線だ。とにかく笑顔はないが、ズケズケと物を言う。

「お客様も真剣な気持ちがあってここまで来たのですよね?」

「いづれいる物だから今買って持っていても損ではない」

「買っていただいたお客様はずっと私たちがサポートするので安心してほしい」


といった感じか、とにかく説明かなんか分からなかったが後から「詐欺だ」と言われない為の確認なのだろう。俺は説明を受けた「はい」に○を打った。


しばらくしてまた電話をしてきた最初の女とチェンジだ。

女は上司に叱られたかしらないがようやく宝石の説明をしはじめた。

A4の紙とペンを取り出し、絵を描きはじめた。俺の似顔絵まで書きやがって!

女「ではー今回担当になります、あっ、名前なんていうか覚えてるー?」

俺「○○さん?」

女「すごーい、覚えてたんだーパチパチ(拍手)」


保育園の子供か!俺は!


やり口は簡単な質問をし、答えると褒める

ダイヤモンドはランクごとで値段もちがってくる、色、カット、大きさなど、結婚にかかる準備費用などを説明され俺の収入の確認作業だ。

ちなみに「株取引をやってる」と言った。

実際に顕微鏡でダイヤをのぞかせて綺麗でしょーと言われたがそりゃそうだ。


でも高そうなダイヤばっかで、全部3~5カラット以上だ。ちなみに俺が買った0.3カラットで20万強な。

俺が「でもなー、生活もあるし、今は必要ないかもしれない」というとちょっとしたお色気作戦をしてきたのである。


俺の横に椅子をもっていき後ろに回りネックレスをおれの首スジにゆっくりとかけたのだ。それで鏡を見せて「似合あうねー!」とこのかたアクセサリーに無縁な俺にだ!

だがこんな低級のお色気に俺がひっかかるはずもなく、攻防が続いた。

でも、あくまでダイヤの値段は言わないのだ。

俺の給料を聞き、毎月使うお金を聞いてさらに毎月いくらならローンを毎月払えるかという闇金ウシジマくんの奴隷クン状態だ。これじゃあ鬱ブログでお馴染みの宇津井くんもローンを組むはずだ!


終いには上司のタバコ臭いアムラー女もいつの間にか参戦して2対1の3P田中くん状態で囲われてしまった。

俺は金がない、生活もあるし今すぐに必要とは思わないとソフトに購買を拒否してるがここまで3時間費やした相手もそう簡単には引き下がれない。


緑「でも今回は今は余裕もないし仕事しなきゃいけないしいいです」

上司「私たちも遊びじゃないし、営業しますってことは電話でお伝えしましたよね?」

おやおや、だんだん好戦的になってきたぞ。

緑「それに彼女の両親からも反対されてるし、今買ってもまだ必要ない」

上司「反対されてても今やなくても将来サプライズで渡す時が必ず来るでしょ?可能性は0ではないじゃない、もっと意欲的にならないと」

緑「んー、でも今すぐには・・・」

上司の女「だから結婚を彼女さんも考えるようになっちゃたんじゃないですか」


ここまで言うか!


まったく拉致があかない水掛け論だ。

やがて、上司の女は去ってどこかに電話をしにいって戻ってきてこう言われた。

「今回はもういいですから」



もう俺がもうテコを入れても動かないと思ったのだろうか、きっと幹部に「時間の無駄、金無しのどスケベ野朗はもう相手にするな」と言われたのだろう。

あとは満潮の満ち潮が引くようにすんなり終わった。


ここまで4時間、窓から外を見るとすっかり暗くなってた。かつての親友ジェイユーケーイーさんに3時間の拷問電話はるかに超えるレコードタイムをたたき出した。


これでようやく終わった、と安堵してると女上司が

「実は、この会社の別で近くに会員制のサロンも経営してるんですよー。会社帰りのお客さんも利用していてるんですがよかったら今なら無料でためしてみませんか?予約制なのでこのあと予約する日を決めていきません」

サロンだと?ピンのほうじゃないだろうな?


俺は初回無という言葉を信じてまだ、追求する必要があるようだ。





次回は初回無料の高級会員制サロンを調べてやる。


次回に続く…!


暗黒黙示録
緑            撮影者  知らんカップル