息子が3歳前の夏に、図書館で見つけてきました。
ちょうど、おむつがはずれてくれたらいいな~と思っていた頃に、出会った絵本です。
ひとりでパンツをはくことができない、たつくん。
立ったままパンツをはこうとすると、どでん!
ひっくりかえってしまい、何回挑戦しても、パンツがはけないんです。
たつくんは、とうとうパンツをはくことが面倒になり、ノーパンで外に飛び出します
そこに、いろいろな動物たちがやってきて、“ノーパンたつくん”を笑うんです。
そんな中、さぎ(鳥)に出会います。
さぎは、一本足で上手に立っています。さぎの片足立ちを真似しようとした、たつくん。
しりもちついちゃって、お尻は真っ黒。
汚れたお尻を、お母さんが丁寧に洗ってくれて、お母さんお手製のパンツをはくことに。
やっぱりしりもちついて、たつくん。
「めんどくさいなあ。」と言いながら、半ば惰性で、ある体勢ではいてみたら・・・
あらら、ひとりでパンツがはけちゃったよ。
パンツをはいた姿を、先ほどの動物たちに見せに行ったら、それはもう、羨望のまなざしを集めてしまった。
ってなお話なんですね。
息子の幼稚園では、定期的に本の貸し出しを行っています。
「ママ、これ借りてきた~」
そう言って園から借りてきた絵本が、またまたこれでした。
幼稚園の絵本の蔵書数はそこそこに豊富で、数ある絵本の中から、またこの絵本にめぐりあった。
そんなことから、この本と息子の、“縁”のようなものを感じていました(^-^)
絵本を返してしばらく経ったある朝。
幼稚園に行く前のトイレを済ませたあと、息子が突然、「どでん!」と言って、ひっくり返ったんです。
何!?!?
びっくりして息子を見たら、右手にはパンツを握りしめているわけです。
それで私、ピンッときたんですね。
あぁ、この子、たつくんのマネをしたんだ!!!ってね。
絵本を通して、息子は、このたつくんの姿を自分に重ね合わせていたんだなぁ。
たつくんを思い出して、「どでん!」ってやってみたくなったんだなぁ。
笑いながら、「たつくんのマネしたの?」と聞いたら、
「そうだよ、ふふ~ん」と言いながら、立ち上がってパンツをはいていたのでした。
この絵本は、その後購入し、いつも手が届くところに置いてあります。
ふと思いついたときに絵本をめくると、
おそらく息子と同じくらいの年頃のたつくんが、ノーパンで飛び出して→現実的には、いろんな意味で危険すぎる
出かけた先で、いろんな動物に出会って→普通はそんなこと、起こらないから
と、現実を生きすぎている大人にとっては、つっこみどころ満載なこの絵本。
大人目線でつっこみながら読むのも、また愉し。
現実とファンタジーの世界の境界があいまいで、二つの世界を自由に行き来するこどもにとっては、ごくごく自然に受け入れられる世界なんだなぁ。私ももう一度、こどもだった頃の目線で世の中を見てみたいな~
初めてのトイレトレーニングは、初めて子を育てる親にとって、ハードルが高く感じませんか?
少なくとも私はそうでした。
いつはずれるんだろう?私がもっと積極的に導いていかないとダメなのかな?
いろいろ考えたり、あえて考えないようにしたこともあったけど、
過ぎてみれば、「なんとかなっちゃった」っていう通り道。
この絵本を手に取るたびに、
トイレトレーニングってどうしたらいいの?と、子と向き合おうと一生懸命だった自分自身。
それから、
たつくんに影響をうけた息子が、パンツ片手に「どでん!」とひっくり返ったあの日、あの時。
1つ1つを手にとるように、思い出すことができるんです。
もしかすると、
絵本を買うということは、こどもたちと一緒に絵本を読んだという
“思い出”を、買うことなのかもしれません。
もう二度と戻れない、
流れ過ぎ去る時間の中で、
かわいいこどもたちと、こんなにも密に過ごせるやさしい時間。
決して、思い出に生きるわけじゃないけれど、
いつかおばあちゃんになっても、きっと、思い出すことでしょう。
そばにこの絵本がある限り、ね。