金融危機に端を発した、生活の危機は、会社、地域、家庭など

 広く被い、新型インフルエンザも、今そこにある危機として私たち

 の生活を脅かしています。


  こんな有事においてどうあるべきか、アメリカの陸軍士官学校

 ウェスト・ポイントで、学生の必読書とされている『カディケット』

 という「士官候補生心得」の大著には、紳士たるべき軍人の心得と
 
 して、

 「平時のアフター・ユー、有事のフォロー・ミー」

 ということが教えられているそうです。



 「アフター・ユー」とは「お先にどうぞ」ということで、

 平時においては目上の人を敬い、弱者を助け、謙虚に相手

 の立場を尊重し、道を譲るのが洗練された紳士の嗜み。


  一方、有事には先頭に立ち、部下を率いて、勇敢な指揮官

 である「フォロー・ミー」(ついてこい)の精神が必要である。



  ところがこの反対が「ペンギン・シンドローム」といわれる

 ものです。

  
 海面に浮かぶ巨大な流氷の縁の上で、ペンギンたちがひしめき

 あって奇妙な押しくら饅頭をやっていることがある。

 今から魚を漁りに海中に飛び込む前に、毎回そうするのだという。

 なぜかというと、流氷の下には往々にしてペンギンの天敵、

 アラザシが隠れていて、最初に飛び込んできた一匹を捕らえて

 食おうと待ち構えているのだそうだ。

  ペンギンたちは長年の経験でこのことを知っていて、水際で
 
 押合いをやって、まずためしに一匹仲間を落としてみる。

  そのペンギンが無事かどうか確かめてから、彼らは長い行列

 を作って、正確にその安全であることが証明された地点から、

 次々と海中に飛び込むのだ。
             (『平時の指揮官・有事の指揮官』)
   
 

  平時は「オレが、オレが」で、人を掻き分けて先頭に立ちたがり、

 「フォロー・ミー」なのに、何か嫌なこと、危ないこと、難しい

 ことが起こると身を引いて「アフター・ユー」と譲り合う。

  こんな姿を「ペンギン・シンドローム」というそうです。

  こんな人間の本性の逆の行動をとらなければいけないのだと、

  反省した次第です。