宮本武蔵 般若坂の決斗(三)宮本姓 | 俺の命はウルトラ・アイ

宮本武蔵 般若坂の決斗(三)宮本姓





 『宮本武蔵 般若坂の決斗』

 映画 トーキー 106分

 イーストマンカラー

 昭和三十七年(1962年)十一月十七日公開

 製作国 日本

 製作  東映京都

 製作 大川博

 企画 辻野公晴

     小川貴也

     翁長孝雄

 

 

 原作 吉川英治

 

 

 


 脚本 鈴木尚之

     内田吐夢

 


 撮影 坪井誠

 照明 和多田弘

 録音 野津裕方

 美術 鈴木孝俊

 音楽 小杉太一郎

 編集 宮本信太郎


 出演

 

 中村錦之助(新免武蔵後に宮本武蔵)


 佐々木孝丸(池田輝政)


 三国連太郎(沢庵)

 監督 内田吐夢

 ☆☆☆

 1999年6月5日 新世界東映にて鑑賞

 ☆☆☆

  「この輝政に仕えんか?」

 池田輝政から家臣として召し抱えたいと

いう言葉を武蔵は賜った。だが、彼の心は

諸国を旅し武者修行をしたいという希望が

熱く燃えていた。

 祖先赤松一族の眠るこの姫路城で勤め

を果たさぬかと輝政は重ねて誘った。


 だが、武蔵は過去の怨霊よりも現在を重視

する。


 その心を讃えた輝政は何処にいても故郷を

忘れぬようにと教え、宮本を姓とするようにと

語った。


 武蔵(たけぞう)はここに宮本を苗字とする

青年となった。

 

 ☆☆☆故郷を忘れざること☆☆☆


 池田輝政は光明と暗黒のあかずの間で祖先

の亡霊の言葉を心で聞きながら書に学び、命の

尊さに目覚めた若者武蔵に感動し、召し抱えた

いという望みを感じ誘った。

 仕官すれば、生活面では収入が入り、かなり

助かり、敗残兵の暮らしから一変することは間違

いない。失敗すれば切腹するという厳しさに晒され

ているとはいえ、池田家家臣となれば暮らし向き

の事は大きく助かる。


 だが、武蔵は武者として剣の道を歩みたいとい

う志願に燃えていた。敢えて輝政公の有難い勧誘

を断って、自らを剣と剣の戦いの場に置くことを願い

出た。


 その生真面目な闘魂に感動した輝政は、何処にい

ても故郷を忘れぬようにして欲しいという心から、宮

本村の「宮本」を姓とするようにせよと説いた。


 武蔵は感動を以てその命を聞き、此処に宮本武

蔵(みやもとたけぞう)として新生したのである。

 初代中村錦之助の清新さが光っている。




                            合掌