十三人の刺客(五) 「事の理非は問わん」 | 俺の命はウルトラ・アイ

十三人の刺客(五) 「事の理非は問わん」

『十三人の刺客』

 映画 トーキー 125分

 白黒 シネマスコープ

 昭和三十八年(1963年)十二月七日公開

 製作国 日本

 製作言語 日本語

 制作 東映京都

 企画    玉木潤一郎

        天尾完次

 脚本    池上金男

 

 撮影    鈴木重平
 照明    増田悦章

 録音    小金井輝貴

 美術    井川徳道

 音楽    伊福部昭

 編集    宮本信太郎



 出演者

 片岡千恵蔵(島田新左衛門)

 

 加賀邦男(樋口源内)

 

 阿部九州男(三橋軍次郎)

 春日俊二(日置八十吉)

 片岡栄二郎(大竹茂助)

 汐路章(堀井弥八)


 嵐寛寿郎(倉永左平太)

 西村晃(平山九十郎)

 

 監督 工藤栄一

 

 ☆

 池上金男=池宮彰一郎

 

 片岡千恵蔵=植木進=片岡十八郎

        =片岡千栄蔵

 

 嵐寛寿郎=嵐徳太郎=嵐和歌太夫

       =嵐長三郎

 ☆

 平成十四年(2002年)十一月十日

 高槻松竹セントラルにて鑑賞

 ☆

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  倉永は、新左衛門と平山に配下の侍三

橋軍内・大竹茂助・日置八十吉・樋口源内・

堀井弥八を引き合せる。

 

 この五人は、倉永が大事を託すに足る真

の侍と見込んだ者達で、熱い信頼関係を築

いている。

 

  倉永「役に立つ侍が少なすぎます。」

 

 

 新左衛門は、倉永が推す五人の侍と平山

に、共に命を挙げて大事を為す仲間と確かめ、

共に行動したいという気持ちを覚える。

 

  新左衛門「お主達、儂に命を預けること承

        知だろうな?」

 

 

  六人は首肯する。

 

 

  「申すまでもございません」

 

 

  新左衛門「ならば言おう。この度、ご老中土

        井大炊守様の御内意により、明石

        十万石松平斉韶様の御命を頂戴

        することに相成った。

        今事の理非は問わん!

        お主達の命。この新三が命ずるま

        まに使い捨てに致す!」

 

 新三は「松平斉韶様の御命を頂戴する」という

使命を語り、「事の理非は問わん」と宣言する。

 

 これは刺客の勤めを受けた新三にとって、「理

非についての迷い」が多いから出た言葉である

と言えよう。

 

 苦悩があるからこそ、使命を宣言する。

 

 

  「お主達の命、この新三が命ずるままに使い

   捨てに致す」

 

 

 池上金男は、新三の仲間に対する熱き信頼と

愛情を「命使い捨て」の言葉で表す。

 

  厳しい表現の中に無限の心がある。

 

 

 「男が男に惚れた」というこころを、「お主達の

命、使い捨てに致す」と語る。

 

 

 ここに東映時代劇の深さがあるのだ。

 

 新三と倉永・平山・三橋軍内・大竹茂助・日置

八十吉・樋口源内・堀井弥八の八人は、刺客の

「仲間」として集いを形成した。

 

 八人の命は、事の理非を問うことなく、一つの

営みに捧げられることになった。

 

 池上金男・工藤栄一の脚本・演出は、静かで厳

かなリズムで、一つの集団の熱き絆を語った。

 

 

                      文中敬称略

 

 

 
   
 
 
                          合掌
 
                    南無阿弥陀仏
 
 
                        セブン