ウルトラセブン V3から来た男(三) | 俺の命はウルトラ・アイ

ウルトラセブン V3から来た男(三)

放映日/1967年12月24日



監修/円谷英二



脚本/市川森一

音楽/冬木透


出演/
中山昭二(キリヤマ隊長)



森次浩司(モロボシ・ダン)



石井伊吉(フルハシ・シゲル、偽フルハシ)
阿知波信介(ソガ)
古谷敏(アマギ、偽アマギ)  


荒垣輝男(アイロス星人、スーツアクター)
矢田耕司(アイロス星人、声の出演)


南廣(クラタ隊長)
宮川洋一(マナベ参謀)


上西弘次(ウルトラセブン、スーツアクター)
浦野光(ナレーター)


特殊技術/高野宏一



監督/鈴木俊継



森次浩司→森次晃嗣

石井伊吉→毒蝮三太夫



☆苦難の突破☆


『ウルトラセブン V3から来た男』

http://amba.to/S89zaq

『ウルトラセブン V3から来た男』(二)

http://ameblo.jp/ameblojp-blog777/entry-10063167526.html


 満田 どんな話が印象に残っています

 


 中山 南さんと共演した話ですね。自分で
      みてもかっこいいなあと思いました
      からね(1)
  


 昭和六十二年(1987年)の「ウルトラセブン座談

会」において、満田かずほ監督の問いを聞いた、

中山昭二氏は、本第13話「V3から来た男」を選

ばれた。


 キリヤマとクラタの絆は、熱く、深い。視聴者

に、「男が、男に惚れるとは」という問いを呼び

かける。


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 南廣氏演ずるクラタ隊長は、「義」に生きる
男である。強く逞しく、友の為にいのちを捨て
て、生きる心が、視聴者の胸を打つ。

 「士は己を知る者の為に死す」という格言が
ある。自分自身の真の価を熟知して、認めてく
れた師や友の為ならば、その知遇に応えて命

を捧げる、ということだが、クラタとキリヤマは
まさにこの関係にある、と言える。


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 中山昭二と南廣は、私生活でも友人で、その

ことが、オーンバーラップして、「演技であって演

技を超えた友情」が深く画面に溢れるのである。


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 キリヤマ役の中山昭二は、1928年2月26日生まれ。
1942年5月少年水測兵として横須賀海兵団に入団し、
1945年小笠原諸島の父島で終戦を迎え、同年11月
に復員、1947年益田隆舞踊団に入り、1952年に映
画に出演した。

 中山昭二が、海軍軍人であったことが、キリヤマ
隊長の武士道精神にも反映している。


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 南廣は、1928年3月15日生まれ。1948年渡辺晋と
シックスジョーンズのメンバーとなりドラムスを担当、

1958年映画『点と線』に主演した。

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 内田吐夢が、その命の全てを挙げて演出した、
永遠不滅の映画『宮本武蔵』「五部作」(1961年
―1965年、東映京都)において、第二部「般若坂
の決斗」(1962年)、第三部「二刀流開眼」(1963

年)で、吉岡一門のしたたかな門弟祇園藤次を
粘り強く演じている。

 
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二人は昭和三年生まれの同年の友人である。
  
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 脚本の市川森一は、「ウルトラシリーズ」を支
えた重鎮の脚本家だが、今回が『ウルトラセブン』
担当の記念すべき第一作である。恐らく役者の姿
を想定しながらホンを書き進めたと思われる。


 隊員も好きで好きで、彼らの個性をどれくらい
  うまく引き出すかに終始してました。「V3―」
  ではキリヤマ、「北へ還れ!」ではフルハシ、
  「ひとり―」ではソガといった具合にね。(2)




 中山昭二・南廣の名演は、その繊細・雄渾な脚

本の心に完璧に応えている。



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中山昭二が、海軍軍人であったことが、キリヤマ
隊長の武士道精神にも反映している。



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 昭和一桁生まれの中山・南は、敬礼も重厚で、そ
こには「本物」の風格があり、侍の精神が生き生き
と流れていることを仰ぐ。

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 戦争の時代に青春を歩まれたお二人のご苦労

がそのまま名演に反映していることを思う。

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 キリヤマ・クラタの風格・貫録は戦前生まれの

俳優さんと出ないのではないかとも思う。



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 二人が協力するシーンに、男と男の義のドラマ

が熱く燃える。


 アイロス星人の侵略に苦しむ二人が力を合わせ

て危機を突破する道にも、市川森一氏が問うた「

夢見る力」の大きさを思う。



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 アイロス星人は、「夢見ること」を押し潰す存在や

働きを現しているのかもしれない。


 アイロス自身も傷ついて地球に着陸した訳だが

他の星でもしたたかに燃料を要求し、地球人を裏

切るあたりに老獪さとしぶとさがある。


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 ウルトラセブンにとってもアイロス星人は強敵

である。


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 バトルも凄まじい迫力がある。

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 一本背負いでセブンを投げ飛ばすアイロス。


 怪力の持ち主でもある。


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市川森一脚本は、バトルでアイロスにはねのけ

られるセブンを描いている。


 厳しいバトルを描かれる。セブンにとっても、ア

イロス星人を倒すことは、苦難を突破する道でも

あったと思う。

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アイロス星人は運動神経も抜群で跳躍にも優れ

セブンを翻弄する。
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 セブンのエメリウム光線はアイロス星人に

制されてしまう。


 強大なアイロス星人の力にセブンは苦悩す

る。
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セブンにとってこれまで強敵を倒してきた

アイスラッガーが効かない。


アイロスの回転技の前に跳ね飛ばされてしま

う。
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 アイロス星人が光線を放とうとする。


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 セブンのワイドショットが一瞬早かった。


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 ワイドショットの力は強い。
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 ついに強大な壁であったアイロス星人は

倒れた。


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 アイロス星人が倒れた光景を見つめる

セブン。
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 上西弘次氏の名演は深い。セブンが強敵アイ

ロス星人に敬意も表したようにも思えた。

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 クラタが「部下に見せたかった」と語る台詞が

切ない。


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 第13話において、市川森一は、深い悲しみの

中に在っても、夢見ることを忘れてはいけない

ことを強調していると思う。

 
 クラタとキリヤマが友情の力で度重なる苦難

を超えていく道は感動的だ。

 

 セブンが強敵アイロス星人に投げられ、跳ね

飛ばされながら、兆戦し、倒すところにも、「道」

があると思った。


 昭和四十二年(一九六七年)最後の放映作品

となったのがこの第13話である。


 セブンのバトルも厳しい苦闘であった。この

苦闘を制したセブンの無言の表情にも、「もの

のふ」の心があるようにも思えた。  

 中山さん、南さん、森次さん、暖かくてカッコ

いいです!

           


 ラストのクラタの表情に男の魅力が光り輝い

ていますね。
                  


                    文中一部敬称略
        



註・出典
 (1)「ウルトラセブン座談会」
 『ウルトラマン大全集』(1987年 講談社)212頁

 (2)「空想特撮シリーズ創世譚」
  『ウルトラマン大全集』(1987年 講談社)248頁




参考資料
『ウルトラセブン』 DVD vol.3

『ウルトラマン大全集』(1987年 講談社)



 ☆この記事は2012年10月29日に大幅に加筆しま

した☆


           

                          合掌