ブログの書籍化 | 書籍編集者の裏ブログ

ブログの書籍化

井戸です。今回はブログ等の書籍化について書こうと思います。


その前に前回の持込についての補足。

アメリカなどでは代理人を通して出版社に作品を持ち込むのが一般的です。

著者から作品を預かった代理人が各出版社と交渉をするわけです。

最近は日本でも代理人が増えてきましたが、このシステムのメリットは、

文章を書くこととはまた別の能力を要求される出版交渉を、その道のプロがやってくれることです。

また、多数の出版社にあたることができるという点です。


さてブログですが、ブログのメリットは、

代理人に任せるより、さらに多くの編集者にダイレクトにアクセスできることでしょう。

そのメソッドについては中原さんが触れていますので、ご参照下さい。

ともかく、持ち込みよりかなり確実に編集者の目に触れることは確かです。

しかも、ブログは原稿と違って画面上で読まれることを前提としたレイアウトなので、

細切れの時間しかなくても、内容を把握することができます。

もう一つのメリットは読者の存在です。

書き手にとっては直接意見を言ってくれる読者が存在することによって、

思考が深化し、書く内容が「開かれた」状態になることです。

編集者にとってもブログの読者数やコメントを見て、

市場での反応を予想することができるメリットがあります。

かつて文芸編集者はさまざまな同人誌に目を通し、有望な新人作家をさがしていたものですが、

ブログがその役割をはたしているのかもしれません。


また『電車男』『実録鬼嫁日記』などのネット発の書籍がヒットしたことにより、

出版界全体が掲示板やブログの書籍化を模索している状態です。

このブログを主宰しているアメーバーブックスはまさにそのための出版社ですし、

チャンスは広がっていると思います。

ついでに言えば前回書いたような社内ネゴにかかる労力も比較的軽いです。

「上司」は概ね、新しいメディアのことをよく知りません。

「それは売れるのか」と聞かれた際、「そりゃあもう、『電車男』なみですぜ。ぐふふふ」

と答えると、「そうか。わかった、すぐやれ、今やれ、とっととやれ」といいます。

役員なども「うちでも『鬼嫁日記』のようなものはできないのか?」などと口走っていたりします。

ま、2,3冊うまくいかなかったら、すぐに彼らは豹変するでしょうが、とりあえず今なら大丈夫。

企画通りやすいです。


さて、ブログは編集者の目にとまりやすく、しかも出版されやすい状況である、というわけですが、

では、どんなブログが書籍化されるのでしょうか? 

またデメリットはないのでしょうか?

それについては次回書きます。