琉球新報の一面コラム
「金口木舌」
に載りました。
ありがとうございました。
休日、ゆらぎの音色に癒やされた。
県立芸大で7日に開かれた
宮古島市ジュニアオーケストラの公演。
小さな音楽家たちの
真剣なまなざしが印象的だった
▼宮古島の小中高生約40人でつくる楽団は
2008年に結成された。
以来、毎年夏に演奏ツアーをし、
昨年は東京の舞台にも立った。
名だたる奏者とも共演し、
刺激を受けている
▼人口5万の島でオーケストラができたのは、
指導する天野誠さん、智美さん夫妻の力が大きい。
東京で25年間バイオリンを教えていた夫妻が、
宮古島の人と自然にほれ込んだのは02年。
07年には移住し、
日本最南端のバイオリン教室を開いた。
学校や公民館でもボランティアで教えている
▼「宮古島の子は集中力が違う」と天野さん。
「素直で心根が優しい」
「お互いの良さを認め合う」とも。
優しさが音楽に深みを生み、
心に響く演奏をつくると強調する
▼目指すのは技術の向上だけではない。
「音楽を通して子どもたちの強く生きる力を育てたい」
が天野さんの口癖だ。
演奏会で島の外を知ることで、
故郷の良さに誇りを感じ、
自信を持って夢へ歩んでほしいと願う
▼一人一人の感性を
最大限に引き出す楽団。
それを周りの大人たちがしっかりと支える風土。
地域と奏でる交響曲は、
子どもたちの人生に、
より豊かな旋律をもたらすに違いない。
今から来夏の公演が待ち遠しい。