コンサート前夜・関西大学の深井先生 | アマノバイオリンスクール

いよいよ、明日コンサートです。


今回も、本当にたくさんの人たちに助けてもらいました。


そして今日は、本当にたくさんの方々から、


「明日、聴きに行くよ」


「明後日、聴きに行くよ」


と、お電話や、メールをいただきました。


本当にありがとうございます。


関西大学教授のの深井先生が、


宮古毎日新聞に投稿してくれました。




宮古毎日新聞寄稿原稿






           関西大学教授 深井麗雄


 高名なチェリストと島の子供たちのジュニアオーケストラが織り成す名曲。8月6日のサマーコンサートに、私が「おやっ?」と引っかかったのは、次の一言だった。


 「ポイントは、たった1回しかない直前リハーサル、それも最初の一瞬です。コンサートの出来はそれで決まります。生きる力の強いもの同士が、どう真剣勝負するかです」。

 そう話すバイオリン指導者の天野誠さんは、私に音楽の隠れた面白さを教えてくれた。


 この御仁は相当変わっている。五十の坂にさしかかった五年前。観光で訪れたこの島に、妻の智美さんがはまってしまった。「私はこの島で暮らします」。ずっと東京で活動していた天野氏にとっては、青天の霹靂だったにちがいない。  

しかし氏はあわてなかった。何度も東京と島を往復し、慎重に移住作戦を練った。そして五年前。ついに引っ越し、夫婦でバイオリン教室を開き、宮古島ジュニアオーケストラを創設し、と矢継ぎ早に子供たちと「協奏」してきた。


しかしこのことで「相当な変人」と書いたのではない。プロの音楽家なのに、「真剣勝負」の舞台裏をあけすけに話してくれたからだ。

氏によるとこうだ。ソリスト(独演奏者)とバックのオーケストラ、その両者をコントロールする指揮者の関係は実に微妙だ。ソリストが「ここはゆっくり弾こう」と思っても、オーケストラがついてきてくれないと、音がずれる。これはまずい。

が、普通の聴衆はこのずれが誰の責任かまではわからない。そこで指揮者は考える。「ソリストを裏切ってもオーケストラを助けよう。ここで貸しを作ったら、また、お呼びがかかるかも」

ふむ、芸術の世界とはいえど、人間の生臭い計算は縦横にはたらいているようだ。


今回のコンサートで子供たちと共演する林峰男さんは、日本の代表的なチェロ奏者だ。前日の五日の最終便で羽田から那覇入り。翌朝便で昼前に宮古島着。開演まで一時間だけ、真剣勝負のリハーサルをする。

林さんは子供のころはガキ大将で個性の豊かな人だという。一方の島の子供たちも、都会の子供に比べ、実に伸び伸びと演奏する。両者がぶつかりあってどうなるのか。天野さんにも読めないらしい。


▽日時 8月6日午後6時


▽場所 宮古島マティダ市民劇場


▽演奏は宮古島市ジュニアオーケストラ、

    チェロの林峰男さん、バイオリンの岡田光樹さん、

    指揮は天野誠さん


▽曲目はチェロ協奏曲ハ長調(ハイドン)沖縄行進曲など。


▽入場料は大人999円、高校生以下無料






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