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司法書士事務所尼崎リーガルオフィスのブログ

このブログは司法書士業務に関しての内容を中心にしたものとなります。 

不動産物件での自殺や事件などは心理的瑕疵と言われ、売主・賃貸人に告知義務が課せられます。


高齢化社会により不動産物件に居住していた方が高齢者で、周囲と生活上の交流のない場合には室内でお亡くなりになり、発見が遅れる事例も多く見受けられるようになりました。いわゆる孤独死です。孤独死の場合は高齢者に関わらず単身者でも起こります。


孤独死は告知義務のある心理的瑕疵なのか? については明確な基準が示されていませんでしたが、今年3月に全国宅地建物取引業協会連合会が下記のような見解を示されたので紹介します。


1.孤独死については、原則として説明・告知の必要はないものとする


2.ただし、臭気等によって近隣から居住者に異変が生じている可能性が指摘された後に孤独死の事実が発覚した場合には、説明・告知をする必要があるものとする


3.2の場合であっても、次の借主が、通常想定される契約期間の満了まで当該物件の利用を継続した場合には、貸主は、その次の借主に対し説明告知する必要はないものとする


4.媒介業者は、業者として通常の注意に基づき2の事実を知った場合に限り、上記2・3と同等の取り扱いをするものとする


高齢者が賃貸物件に入所を希望しても、賃貸人から孤独死や事故を懸念され入所できないケースも多くあります。また、家賃の支払資力に問題がなくても、親族との付き合いがなく緊急連絡先がないこともあり、万一に孤独死に至った後の明渡なども賃貸人のリスクと言えます。


国も高齢者等の住宅確保策として民間賃貸住宅の活用を推進していますが、孤独死に関する上記の見解は活用促進につながるものと言えます。賃貸人のリスク軽減として、行政の保証や後見制度の活用も併用されるとなお効果があるでしょう。




売掛金や貸金、飲食代金等の債権は、債権者が一定期間請求をせず放置しておくと消滅時効により請求権が消滅します。令和2年4月1日施行の改正民法では、短期消滅時効が2年から原則として5年に長期化されました。


■消滅時効期間の統一

改正前民法では、債権の消滅時効を10年とし、短期消滅時効として製造業・小売業などの売掛債権を2年、宿泊料・飲食代金を1年、建築請負工事代金を3年等と規定していました。

改正民法では、これらの短期消滅時効の制度をすべて廃止し、併せて商法における商行為の時効5年についても廃止し、消滅時効を次のように統一して、いずれか早い方が経過したときに請求する権利が時効により消滅することとしました。


①債権者が権利を行使することができることを知ったとき(主観的起算点)から5年

②債権者が権利を行使することができるとき(客観的起算点)から10年


一般の商取引においては、債権者・債務者がお互いに契約内容を知っていることから、消滅時効期間は、主観的起算点から計算することが多くなります。


■時効の中断事由

時効期間が満了する可能性がある場合には、下記の規定により時効の中断(完成猶予・更新)がされます。


①債務者による債務承認

②債権者による裁判上の請求等

③債権者による催告


このうち、催告とは、裁判外の方法で債務者に対して履行を請求する債権者の意思の通知をいい、内容証明郵便などで催告書を送付する方法が一般的です。改正民法では、催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効の完成は猶予されます。


また、改正民法で「協議を行う旨の合意による時効の完成猶予」が新設されました。これは書面または電磁的記録(Eメール)により、当事者間において権利についての協議を行う旨の合意がなされた場合には、時効の完成が猶予される制度です。猶予される期間は、①合意時から1年経過時 ②合意において1年未満の協議機関を定めた場合はその期間の経過時 となります。


■改正民法の適用時期

消滅時効期間について、「施行日前に債権が生じた場合」または「施行日前に債権発生の原因である法律行為がされた場合」は原則として改正前の民法が適用されます。それ以外の場合は、改正民法が適用されます。





改正民法の施行も来月(令和2年4月1日)に迫ってきました…。民法制定以来120年ぶりの大改正となるため、債権法・相続法の改正事項や実務の注意点などを勉強していますが、なかなか大変です。


今回は債権法改正の中で不動産賃貸借に関わる事項のご紹介です。


〇賃借人の原状回復義務

不動産賃貸の契約終了時、賃借人が賃貸人に物件を明け渡すに際して従前の民法では原状回復の範囲について明文規定はありませんでした。そのため、判例の積み重ねや国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にして法的解決がされた経緯があります。

改正民法では、これまでの判例の考え方に基づき、原状回復義務の範囲等については、【借り手に原状回復義務がある、とした上で通常の使用によって生じた損耗や経年変化についてはその範囲ではない】と明文化しました。


また、賃貸人と賃借人が合意すれば、賃貸借契約において、「通常損耗や経年劣化の場合についても賃借人が原状回復の義務を負う」とする【補修特約を設けることも認められました。


〇敷金

最近の建物賃貸借契約では礼金(賃貸借契約終了時に賃借人に返還不要の一時金)の設定はしても、敷金を設定しないことも多いように感じますが、契約時に賃借人が賃貸人に支払った敷金についても従前民法では明文規定がありませんでしたが、改正民法では、敷金について「保証金などその名称にかかわらず、賃借人が家賃の不払いに備えて担保として賃貸人に交付する金銭」と明文化されました。


つまり、不動産賃貸の契約終了時には、賃貸人は敷金を賃借人に返還しなければなりませんが、未払家賃や原状回復費用を返還敷金から差し引くことができます。


〇債務保証(保証人)

*個人の根保証契約では極度額(保証人が支払いの責任を負う金額の上限額)の定めのないものは無効となります。一定範囲に引き直しされるのではなく契約自体が無効となる点に注意が必要です。

*主債務者の死亡、保証人の破産・死亡等があった場合、個人根保証契約における主債務の元本は確定します。そのため、それら事由が生じた後の主債務は保証の対象外となります。


施行日である令和2年4月1日前に締結された賃貸借契約については従前(現行)民法が適用されるので、契約書の再作成をする必要はありません。ただ。施行日以後に賃貸人と賃借人の合意により契約更新をした場合は改正民法が適用されるので、契約期間に注意が必要です。


また、保証人を設ける場合、賃貸借契約書の中に保証人の条項を入れることが通例ですが、賃貸借契約と保証契約は別の契約になるため、それぞれについて改正民法の適用を考えることが必要です。




改正民法の施行は4月1日となります。賃貸借契約に関しても色々と改正による対応が必要になりますが、今回は「賃料減額請求」についての内容です。


■改正民法611条第1項 / 賃借物の一部滅失による賃料の減額等

賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。


現行民法では、「減額を請求できる」とされていましたが、改正により、「当然に減額される」ことになりました。例えば、エアコンや給湯器など、本来使えるはずの設備が故障等で使用できなくなった場合、貸主は賃料を当然に減額しなければならなくなります。


とはいえ、設備故障のすべてについて該当するわけではなく、「通常の居住を妨げない」場合には賃料減額の対象外となります。


実際の減額程度については、日本賃貸住宅管理協会の発行するガイドラインが参考になります。

例えば、トイレが使えない場合の賃料減額割合は20%(免責日数1日)、風呂が使えない場合は同じく10%(免責日数3日)といったように事例に応じてのガイドラインが設定されています。


具体的には、賃料月額10万円の部屋で3日間トイレの設備故障で使えなかった場合は、

賃料10万円×賃料減額割合20%×(使用不可日数3日-1日)÷30日=1333円

となります。


設備不良は日常のメンテナンスが大切であるのは従前とおりですが、これからは賃料の減額につながることからも古い設備の交換が管理業務でより重要となりそうです。


令和2年分の所得税から、給与所得控除や基礎控除額の見直しが行われます。


■給与所得控除の引き下げと上限見直し

令和2年分の所得税から、サラリーマンなど給与所得者の給与収入から控除される【給与所得控除】の控除額が10万円引き下げられます。また、控除額の上限額が適用される給与収入が850万円(改正前1000万円)に、その上限額が195万円(改正前220万円)にそれぞれ引き下げられます。


■基礎控除の引き上げと所得制限

個人の合計所得から一律に控除される【基礎控除】の控除額が10万円引き上げられます(合計しょとくきんがく2400万円以下の場合は控除額48万円)。また、新たに所得制限が設けられ、合計所得金額が2400万円を超えると控除額が段階的に縮小し、2500万円を超えると控除の適用外になります。


実際どんな収入の人に影響があるの? を具体的に計算すると、給与所得者については上記の引き下げと引き上げが同時に行われることで、年収850万円以下の方については実質的な税負担は変わりません

逆に年収850万円超の方は税負担が増えることになります(但し、障害者や扶養親族がいる方については、新たに「所得金額調整控除」が設けられ、税負担の緩和が図られます)。


個人事業者、請負など給与所得者でない方で合計所得金額2400万円以下の方は基礎控除の引き上げにより税負担が軽減されることになります。

改正民法の施行が2020年4月1日に予定されています。

今回は、マンションやアパート等の賃貸契約に関係深い連帯保証人に関する改正ポイントの解説です。


★ポイント1

個人を連帯保証人とする賃貸借契約を締結するときは、支払う金額(保証する額)が「最大いくらまでなのか」を決めることが必要


・連帯保証人の保証する上限額(極度額といいます)を契約書に記載しなければ、保証契約は無効となります

・極度額の適正値は法律上規定されていませんが、例えば「極度額は1億円」としても、公序良俗違反により無効となると思われます。

・賃貸契約を締結する不動産会社では、おそらく賃料の2年分くらいの極度額とするのでは?と言われていますが、賃貸契約の期間や賃料額により個別に判断するものと思われます


★ポイント2

極度額の規制は改正民法施行後に締結された契約だけでなく、改正前に締結された契約が更新された場合にも適用される可能性

・賃貸借契約は1年や2年の期間で、最初に契約締結した後は自動更新となるのが一般的です。そのため、例えば2019年11月に締結した極度額のない保証契約は有効ですが、自動更新される(仮に)1年後になると改正民法施行後の更新契約となるため、極度額のない保証契約が無効とされると考えられます

※改正民法施行前の契約が無効となるか否かは条文に明記されておらず、施行後の判例等の判断を待つことになりますが、注意が必要です


★ポイント3

改正民法では借主が死亡した場合はその時点で連帯保証人の保証すべき額が確定して、それ以降に発生した損害等は保証対象外となる

・借主の死亡と同時に連帯保証の効力がなくなります。例えば、借主が亡くなり同居の配偶者が住み続ける場合、その後の配偶者の滞納については連帯保証人に責任を問えなくなります。


★ポイント4

店舗や事務所等の事業用物件の賃貸借契約の際に、借主が連帯保証人に対して自分の財産状況等を開示することが義務化

・これを怠った場合、連帯保証人に保証契約が取り消される場合があるため、賃貸人となる立場でも重要な項目です


以上が賃貸借契約に関わる主な改正ポイントです。改正後に実際の運用がされ、法的解釈も整備されると思いますので、施行後も引き続き注意が必要ですね。

不動産が亡くなった方の名義の場合、いったん相続人に名義を変更した後に売買による所有権移転登記を進めることが必要です。


当方で相続登記を行い、並行して不動産の売却についても不動産業者と相談しながら売却まで進めることができますので、いわゆる「空き家の相続と処分」も業務として対応していますが、この数年の傾向として、「亡くなった親が住んでいた不動産があるが、誰も住まないので売却したい」という内容が明らかに増えており、【空き家】問題を実感します。


2016年空き家問題を解消するべく、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」制度が創設されました。当方でも何度かこの特例を適用する案件がありましたが、今年度の税制改正でその適用対象の範囲が広げられ、より活用しやすくなりましたので、要件等をまとめてみます。


■「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用要件


 1人暮らしだった父や母などが死亡し、その居住していた家屋とその敷地を相続した相続人等が、相続の時から相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合、譲渡益から最大3000万円を控除できる制度です。


要件1:被相続人に同居者がいなかったこと

 この特例は空き家をなくすことが目的なので、適用は、亡くなられた時点で被相続人が1人暮らしだった場合に限られます。


要件2:昭和56年5月31日以前に建築された建物等であること

 対象となる家屋等は、被相続人が居住していた、昭和56年5月31日以前に建築された建物とその敷地に限られ、区分建物(マンション等)は除かれます

 耐震基準を満たしていない建物の場合、建物を壊して敷地のみを譲渡するか、耐震基準を満たすようにリフォームしてから譲渡が必要です


要件3:相続の時から譲渡の時まで空き家であること

 家屋は相続から譲渡まで引き続き空き家であることが必要です。

 相続した後、その家屋や家屋を取り壊した後の土地を、事業・貸付け・居住の用に供した場合、本特例の適用はできません。

 また、地方公共団体等から「相続開始から譲渡まで空き家であったこと等」について証明する書類等の交付を受け、確定申告書に添付する必要があります。


要件4:譲渡対価額が1億円超の場合を除く

 家屋とその敷地の合計譲渡対価額が1億円を超えるものには適用できません。

 2回以上に分けて売却した場合、対価額は通算して判定されます。売却日を数年空けたとしても通算して判定されます。


要件5:相続財産に係る譲渡所得の課税の特例との選択適用

 相続した土地等を相続税の申告期限から3年を経過する日までに譲渡した場合に、相続税額の一部を取得費に加算して譲渡所得を計算できる特例がありますが、本特例は、この特例との選択適用です。


■平成31年4月1日以後の譲渡からの改正点 「老人ホームへの入所」が対象に!

 

 老人ホーム等に入所したことにより被相続人が居住しなくなった家屋等は、従来、本特例の適用対象となりませんでした。

 しかし、今年度の税制改正により、平成31年4月1日以後の譲渡から、次の要件等を満たす場合に限り、本特例を適用できることになりました。


1.被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと

…老人ホーム等とは、グループホーム・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・サービス付き高齢者向け住宅・障害者支援施設・障害者共同生活援助を行う住居をいいます


2.被相続人が老人ホーム等に入所した時から相続開始直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用、又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと

…一定の使用とは、被相続人居住用家屋が、被相続人が居住しなくなった時から相続開始直前まで、引き続きその被相続人の物品の保管等の用に供されていたことをいう



空き家を相続した後に相続人がその不動産を売却した場合、譲渡所得が発生しなければそもそもこの制度を使う必要はありませんが、取得費が不明である場合や取得費が判明しても譲渡所得が発生する場合にはこの特例を検討する価値はあります。


今回改正で、老人ホームに入所していた際の適用もされることになったため、特例を適用できる可能性も広がりましたので、ご自身の相続で対象となるかを今一度見直されるとよいと思います。




平成30年7月成立の改正民法において、遺言制度の見直しがされました。

1.自筆証書遺言の作成要件の緩和 → 平成31年1月13日より施行されます

2.法務局での自筆証書遺言の保管制度 →公布日(平成30年7月13日)から2年内に施行予定


■自筆証書遺言の作成要件緩和は来年早々にスタート(施行)されます。


遺言とは、人が自分の死後、その効力を発生させる目的で、あらかじめ書き残しておく意思表示です。

方法は、①自筆証書遺言(全文・日付・氏名を自署し押印して作成)、②公正証書遺言(公証役場において証人2名の立会のもと、公証人が作成)、③秘密証書遺言(遺言者が署名押印の上、封印した遺言書の存在のみを公証人が証明した遺言)の3種類があり、いずれも民法で定める一定の方式に従って作成する必要があります。


自筆証書遺言は言葉通り、遺言者が自分で作成する遺言です。

公証役場に行かずとも、紙とペンと印鑑があれば簡単に作成できるため、広く一般的に利用されていますが、遺言書の紛失や相続人によって遺言書が廃棄、隠匿、改ざんされる恐れもあり、また記載事項に不備があって有効な遺言とならないデメリットもあります。


遺言書に財産の詳細を記載することは法律上の要件ではない(財産の特定ができていればよい)のですが、銀行名や不動産の詳細を記載することが通常であり、それらが複数ある場合には詳細を記載するだけでも大変な作業で、かつ、誤記が生じて正確な財産の特定ができなくなる場合もあります。


このような問題に対応する改正として、自筆証書遺言に添付する相続財産の目録については、パソコンで作成した目録や通帳のコピー、登記簿(法務局で発行したもの)など、全文を自筆で記載する必要がなくなりました。ただし、目録等のすべてのページに署名押印が必要となる点に注意が必要です。


…改正後の自筆証書遺言でも、本文は従前とおり全文を自署し署名押印と日付が必要である点は変わらず、あくまで【財産目録】について除外されている点がポイントです。


■法務局での遺言書保管制度

自筆証書遺言を作成しても紛失した場合には効力が生じようがなくなります。

そのため、新たな遺言書保管法が創設され、封をしていない自筆証書遺言を法務局で保管する制度が整備されました。

遺言者本人が遺言書を法務局に持参し、本人確認を受けた後、法務局において遺言書とともに画像データとして保管されます。

・保管後に、遺言者本人は、いつでもこの遺言の内容を確認したり、新たな遺言を預け直したりすることができます

・遺言者の死亡後は、相続人や受遺者は、遺言書の閲覧、データ保管された遺言書の画像情報等を証明する書面の交付を請求することができます

・遺言書の閲覧がなされた場合、又は遺言書の画像情報等を証明する書面が交付された場合、遺言書が保管されている旨が他の相続人に通知されます


※この遺言書保管法は、公布日(平成30年7月13日)から2年以内に施行予定です。施行日は政令で公布されるため、今の時点では分かりません。




2019年10月1日から消費税率が10%に引き上げられます。同時に軽減税率制度が導入されるため、10%(標準税率)と8%(軽減税率)の複数税率となります。


軽減税率制度は、飲食料品を販売する事業者だけでなく、すべての事業者において、日々の取引や経理に影響があるため注意が必要です。


■軽減税率の対象となる品目は次の2つ

1.飲食料品 

食品表示法に規定する食品(酒類を除く)をいい、テイクアウトや宅配は含まれるが外食やケータリングは含まれない

2.新聞

定期購読契約に基づく週2回以上発行のもの


■「全」事業者への影響

軽減税率は、飲食業や小売業、食品卸や食品製造業など飲食料品を販売する事業者だけではなく、ほぼ、すべての事業者に影響します。事業者は、飲食料品・新聞に適用される8%の軽減税率とそれ以外に適用される10%の標準税率とに分けて商品管理や経理処理を行う必要があります。


1)飲食料品を販売する事業者

税率ごとに区分した請求書・領収書の発行が必要となります。

経理処理では、請求書等に基づいて、売上や仕入(経費)を税率ごとに区分して帳簿等に記帳が必要です。


2)食料品の販売がない事業者

飲食料品の販売がない事業者の場合は、商品の仕入・販売のいずれも10%の税率のため、軽減税率の影響がないように思いますが、顧客や社員のためのコーヒーやお茶等の購入費、会議のお弁当代、新聞の購読費などには軽減税率が適用されるため、これらを経費として計上する際に、税率ごとに区分経理する必要があります


3)免税事業者

免税事業者は、軽減税率の導入後もこれまで通り消費税が課税されないため、消費税の申告や納税を行う必要はありません。しかし、取引先・納品先が課税事業者の場合、区分記載された請求書の発行を求められる場合があるため、免税事業者でも対応を検討しなければなりません。


軽減税率の適用となる飲食料品も実際に適切に運用されるのか(テイクアウトは軽減税率だがケータリングは標準税率等)、税率ごとに区分した請求書・領収書の発行や経理等も最初は混乱が生じると思います。


税率改定が近くなれば、より具体的な対応(経理ソフト等を含む)も出てくると思いますが、飲食料品業ではないからウチは関係ない、という誤解は解いておくべきと思います。





今年は台風、大雨、地震による災害被害が相次いでいます(尋常ではなかった猛暑も災害に入れるべきかもです)。


このような自然災害により賃貸物件に被害が生じ、入居者の個人財産や身体に損害が発生した場合には賃貸人に責任が生じるでしょうか?


原則的には自然災害による損害は人為的なミスや過失ではないため、誰も損害賠償責任を問われません。しかしながら、例外的に賃貸人が損害賠償責任を問われる場合もあります。


■民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって、他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。


つまりは、占有者(=入居者)が共用部等に荷物を置いていて、強風でそれが飛ばされ通行者にケガをさせた、となれば共用部に荷物を置いてはいけない前提があれば占有者が損害賠償責任を負います。


しかし、占有者が注意を払って部屋のベランダに設置した洗濯機(洗濯機置き場がベランダに置く設定とされている物件)の一部が強風で飛んで同様に損害を与えた場合には占有者の賠償責任は免除されます。ですが、所有者はこの責任を免れることはできず、無過失責任を負うことになります。


過去の判例では、平成7年の阪神大震災当時に賃貸人である所有者に1億円を超える賠償責任を命じたものもあります。建物倒壊により亡くなった賃借人の遺族らが原告となり争われたのですが、この建物は旧耐震基準時代に建てられたものでしたが、手抜き工事からその旧耐震基準さえ満たせていない状態であり、賃貸人である建物所有者の賠償責任が認定されました。


先日の大阪北部地震でも高槻市で小学生が倒れてきたブロック塀で死亡する痛ましい事件がありました。

建築基準法施行令で定められた基準(ブロック塀の高さを2.2メートル以下とすること、鉄筋を使用し一定間隔で控壁を設置すること等)を満たしておらず、自治体の責任が問われています。


「大丈夫だと思ってた」結果、建物の所有者に大きな賠償責任が生じることがあります。

人が住む建物に被害があれば、人命にかかわります。


今一度建物やその周囲の構造物の安全点検をして、賃借人に安心してもらえるような賃貸物件にする意識が重要と言えます。