妄想小説【If...!?】 53 | たま~~にドーナッツ with JYJ

妄想小説【If...!?】 53

彼が立ち止まる。



いや、この青年達全員が私の前でたちどまって、それまでの会話が途切れた。



私は彼の家の入口の前のど真ん中に座って彼を見上げた。

彼は私に見覚えがあるから、少しすると



『ああ...』



と言って私を指さした。



『なんだよジェジュン、この猫知り合い?』


『知り合いって!ジュンス?猫だよ、猫!』


『うるさいないー、チャンミン!!』



その会話を彼が割って入り、彼は煙草を買いに行くと言ってみんなを家の中に入れた。





『前に会ったね?ミウの...ああ、ミュウの...友達かな?』



私が猫だから、もちろん彼はだいぶ年上のおじさんにそんな口調で話す。



『友達だったら...わかるかな?俺の事...なんか聞いてるかな?あっは!』



彼はしゃがみこんで私の顔を覗き込んだ。

あの子が人間に恋をしたと聞いた時、一体どんな男なんだろうか?と思ったが、あまりきちんと彼を見る機会もなかったので、今私は彼のその目を、肌を、声を、初めて間近で確認した。



猫が恋しても仕方ない美しい青年だ。




そして彼はあの子の事を私に話し出した。

全部知っている話だか、私は彼の話を黙って聞いた。



しかし結局は私がここで彼を待って聞きたかった話が出てこない。

彼は思慮深いのか...ただ話しが回りくどいのか...



私はしびれを切らした。



(それで...)


『えっ...え?』


(それで君は、一体どうしたいんだ?)


『...うっそ...俺、また猫と話してる...』


(普段はこんな事絶対にしないんだがね...特別だ。)


『あ...ああ、どうもありがとう。キミは男なんだね?あっは!話しやすいな』



彼はしばらく黙って下を向いて私への答えを、それはすなわち自分への答えを探している様だった。


何分経っただろうか。

彼はその綺麗な顔に少しだけ微笑みを浮かべて私を見た。



『キミを何て呼べばいいかな?』


(みんなは「大きいおじさん」と呼ぶから、おじさんでいい。)


『じゃあ、おじさん...おじさんはその...例の...神様と連絡できるんでしょ?』


(ああ...まあ、できるな)


『お願い...神様に伝えて?俺...俺は...ミウもミュウもどっちもいないと駄目なんだよ。どっちも欲しいんだよ...』


(・・・・・)


『だってさ...神様が俺のところに来させたんだよね?だったら...だったら...どっちも大切だって思わせておいてさ、そんなの...俺...俺に...不公平じゃない?』



そう言って彼はまた下を向いた。


その大きな目を彼が閉じると、地面に沢山の涙を落とした。




『ミウに会いたい...って言うか...俺も神様に会いたいよ...おじさん....』




そう言って自分の身体そその腕で抱きしめた。




もう今、会っているとも気づかずに。