妄想小説【If...!?】 40
『ねえ...』
『んー?』
『ミウってさ...夜何時に寝るの?』
僕に何か食事を作ると言ってキッチンに立っている彼女の背中に話しかけた。
『うーん...その日によって違うけど...ジェジュンが寝るのと同じ時間でしょ?』
『あっは!でしょ?ってなんだよ』
『ああ...その位なんじゃないの?のでしょでしょ』
『...でしょ、でしょ...』
『なんで?』
『だってさ...ミウ、夜は電話しても出ないし、メールの返事もないしさ....』
『痛っ...』
指を少し切った彼女がその指をくわえて僕の方に振り向いた。
少し怒ったような顔で指をくわえて、僕を見る彼女がなんとなく僕をどきどきさせた。
『ジェジュンが話しかけるから切れた...』
指をくわえたままそう訴える彼女の側まで行ってその手をとった。
『なんだよ...この位大丈夫でしょ?』
僕はその指を口に含むと、いつか彼女が僕の手のミュウに引っかかれた傷にキスをしたのを思い出して、少し笑った。
『ねえ、何で笑ってるの?私、痛いのに...』
『ん?...別に...ほら、絆創膏貼っておいで?もう続きは俺が作った方が早いと思うしね、あっは!』
彼女の作りかけの材料から、自分で出来そうな料理を適当に作ってふと気づくと、そういえば彼女が戻ってきていなかった。
『は?...まさかね...』
ソファーの前にまわると、やっぱり彼女はそこで眠っていた。
『まじか....』
僕はそこに立ったまま腕組みをして、眠る彼女をしばらくの間見下ろしていた。
見ているとなぜだか笑いがこみ上げてきて、僕は自分の口を両手で覆った。
何でこんなに良く眠るんだろう?僕がいようがいまいが、少しの隙にすぐに眠ってしまう。これでは夜も早く寝てしまうに決まっている。何時に寝るんだなんて聞いた僕が間違っていた。
『ミウ...起きて?』
『んん...起きてる...』
『じゃ、目開けて?』
僕が彼女の上に覆いかぶさる様にして顔を覗き込むと、彼女は何度かまばたきをして目を開けた。
『...羽根だ』
丁度彼女のくちびるの辺りに、僕の首から下がったペンダントのトップがゆらゆらしていた。
『羽根、かわいい...』
『...そう?じゃあ...あげよっか?』
『ほんと?』
起き上がった彼女の首に、僕はそのペンダントをかけた。
彼女は微笑みながらその羽根を手に握った。
『前からかわいいと思ってたんだ...』
『あれ?俺ミウと会う時これしてたことあった?』
『んー....あったんだ....うん、あった...ねえ、ジェジュン...来て?』
『ん?』
僕が顔を近づけると、彼女は僕の耳元にくちびるを近づけて囁いた。
『ジェジュン...私、ここにいるよ』