事件の真実



よくスーパー業界では出店の際に市場の商店会などと話し合

いを持つケースが多々ある。
その中で必ず出てくるフレーズは、お互い町の繁栄のために

共存共栄していきましょうというものである。
でも限られたパイの中で商売をしていくわけで、最初に店を出す

ときに反対運動をされたから言うのではないが、実際は仲良く

共存共栄などあり得ないのである。
出る方も多額の借金をして出店するわけで、当然社員の未来や

生活がかかっている。
お互い正々堂々と戦いましょうと言うことが本音であった。
M市に(大手のスーパー)の出店がきまったときに、私たちの店

の出店を反対した市場の人たちが店にやってきた。

「一緒に反対してくれ、あんな大きなスーパーができたら
あんたらも困るやろ。」

といってきたことだった。
私は
「あんた方は自分たちが困ったらやれ反対だと言うけど、

大手を誘致しないといつまでたってもM市の駅が良くならな

いじゃないですか。
それに今まで公設市場はどこもいい場所にありながらスー

パーにお客さんを取られていくのはあんた達の経営努力が

足りないだけじゃないですか。
今時一週間に一回ちゃんと休んで終わる時間も早い、盆や

正月もめいっぱい休むのはあんたらぐらいですよ。
そんなところばっかりだったら市民が困るんじゃないですか。
税金を払わない市場の商人よりも、払う大手の方がいいに

決まってる。
それに相手が大手でも商売で負けたんなら仕方ないじゃな

いですか、反対されてつぶされるよりはね」と言った。
市場の代表者は私が何というかはだいたいわかっていたようだ

った。
でも私もいつの間にか少し興奮していたようだった。
きっと最初の反対運動を思い出したからだろうと思った。
でもきれい事でも何でもなく、本当に町が良くなれば人口も増える。
町並みは整備され、住みやすくなることは誰でもわかることである。
不景気だと言う人が多くいてもはやっている店はたくさんあり、そ

んな店は必ず何らかの経営努力をしているものだ。
スーパーを見に行って参考になったものはたくさんあったが、市場

にいって感動したことは皆無だった。
最初に店をするときにみんなで茨木のニッショーに行き、いつか一

店でもこんな店をつくろうとみんなで誓ったものだった。
当時のニッショーの売り場には感動があった。
市場の人にはきっと目の前しか見えていなくて、「何とかちょっとで

も生き延びよう、反対してちょっとでも多くの賠償金をもらおう。」そん

な風にさえ思えた。

市場の人からどうしたらいいか見に来てほしいという声がかかること

も多々あった。
市場のそこそこ年輩の人からたのまれれば、金にならないことが好

きな私は出かけて行く。
何処が悪いかは見ればわかるが、市場はみんなが社長であって数

もいる。
結果はすべて一緒で、意見がまとまらない。
もともと私のような若造のいうことなんかは聞くとは思っていないが、

昔は人がはいったとか、景気が悪いからとかよそのせいにばかり

する。
でも根本的に市場などは体質が違うのである。
みんなが社長ならば当然給料も多くいる。
商品も高くしなくてはいけない。
一概には言えないが、私の知ってる限りでは出店する可能性がない

ので商品の仕入れは高い。
たしかに専門の業種は強いかも知れないが、グロッサリー、菓子、

日配関係はかなり差があるし、強く感じたことはない。
入ってる値段も商人達は知らなくてあたりまえだと思うが確実に高い。


実際に協力してほしいという声が聞こえれば、私も競合しなければ

できる限りの事はしたいがこのままではいつかだめになるとわかっ

ていても動かないものなのである。
私のところは後発なので柔軟だった。
ほとんどのチェーンストアのオーナーは一世代上ばっかりなので、

自分の会社だけで何でもしようとする。
たいがいは年商が100億円ぐらいのところが多いが、確か菱食で

シュミレーションで大手に負けないために自社物流、一括仕入れで

対等に戦うには年商がどれくらいないといけないかをやっていたが、

その時たしか300億円だったと思う。
どう考えても短期的には無理な数字だ。
ならば組めるところと組んでいくしかないんじゃないかと思ってしまう

のであった。
はなしはだいぶそれたが、年商も落ちて行くばっかりなのに組もうと

しない。
うまくいってる市場や市場の活性化は、ただ単に競合がきていない

だけに思えるのは私だけではないと思う。

それからよく市場は活性化をしてスーパー形式にするが、そのほとん

どは中にコンサルタントがはいってみんなをまとめ、市から大金を引っ

張る。
そしてほとんどがコンサルタントの言いなりになり、どう見てもそんなに

かからないようなものに大金を払い、コンサルタントを大もうけさせいな

くなられる。
ほんとはそんなにむずかしくないことでも市場の人たちでは無理だとい

う先入観を持ちすぎのように思える。

市も返ってこないに決まってるのに何故金を貸すのかとお思いだと思い

ますが普通は借金を負えば返せないと思われる商人も、昔のいい時代

の事が頭をよぎるに違いない。
そして実際はそんなに甘くなく返せない。
そして市は、普通ならば汚いままの市場や商人を借金を負わせることに

より追い出せるのである。
そしてその市場がした借金を市民が払っているのである。

わたしはいつも、誰かがちゃんと市場のことを考えて、成り立つよう

な金額で活性化をしてやれば、きっとたくさんの人たちが長く生活

していけると思う。
市場同士が組んで一括物流や一括仕入れをすればなおいい。

共存共栄はないといってるわたしがこんな事を言うのも変ですが、お互い

が切磋琢磨して競争することによって、もっと強くなっていくんじゃないか

と思うんですが・・・・・


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