チェックライターというのは小切手を切る機械の事ですが、
開店当初3ヶ月は買えば1万円ぐらいのチェックライターを
いとおしく思ったのか・・
まあ、そのわけを聞いてください。
いままでに述べたように、本当に開店までは苦労しました。
でも開店したからといって大丈夫だと言うことは全然ありま
せんでした。
開店一ヶ月で売り上げも悪く、社員が心配して「こんな売り
上げで大丈夫」と聞かれ、心配させるといけないので「これ
だけあれば何とかいけるよ。」とは言っていましたが
全く大丈夫ではなく、いつつぶれるのかも時間の問題でし
た。
何とかしようと売り上げを上げるために営業時間を夜7時ま
でを8時に変えて、なんとかいけるかもと思えるようにはな
りましたが、最初の月には店舗工事の支払い、電気工事の
支払いなどを売り上げで払ったために最初の支払いはでき
るんだろうかという不安は拭えませんでした。
でも会計事務所の所長のおかげで当座をもてたために、支
払いを小切手ですると振り込みよりは2~3日遅れるために
だいぶ助かったものでした。
でもたとえ1万ぐらいでも、小切手を切るチェックライターを買
うのは何となく怖くて小切手は漢数字を書いてわたしていま
した。
当初の売り上げは悪くても、最初の締めの支払いは工事代
金も含めれば3000万ぐらいはありました。
いままでそんな多くのお金をあつかったことがなかったので
精神的にも疲れました。
支払いを最初から遅れるのだけは避けたいと思っていました
が、小切手で払って2~3日遅れて回ってきてもむずかしい
ようでした。
何度計算しても微妙にむずかしそうでしたので、「業者のうち
数人でも集金に来ないことを祈っていました。
支払日前日
私は、以前車を売ったことがあるS市の中古車屋さんに行き、
乗っていた車を売りました。
車は鉄仮面という愛称で呼ばれていたスカイラインRSータ
ーボ、インタークーラー付きで3年間乗っていました。
月13~14万円の給料で10万のローンを組んでもらって
買った愛車でした。
大事にしていたので170万円で売れました。
売る理由などを話しながらその社長に会社まで送ってもら
いました。
売るのは当然のことでしたが、支払いができればすぐに買
い戻したいという思いでいっぱいでしたが、現実は当分きび
しいのでむりだろうなと思いました。
(実際は車は一日で売れてしまった。)
会社に帰ってからも何回も検算しました。
でもなるようにしかならないかと思ったら明日支払っても、
実際には2~3日後だし、悩むには日が多すぎるなと思うと
何となく「やるだけやって後は運に任せるか。」という気持ち
になってきました。
「まあ社員には申し訳ないが、そこで終われば私もそこまで
の人間だったと思って許してもらおうか。」と思うと逆に何と
なく楽になっていきました。
支払日
気持ちの切り替えができたので、何となく元気に支払いをし
ていくことができました。
でも小切手を漢数字で書いていったためになかなか支払い
がはかどりませんでした。
ですが、私が元気だったために支払い業者ともいい雰囲気
で支払いを行っていけました。
支払い業者の数が多かったために「もう一度夜に来ます。」
という2~3の業者がでてきました。
私は「元気な気持ちがいい方に向いてきたか」と思えてきま
した。
6時を過ぎたころ、ここまでいればもういいかと思い、社員に
「ちょっと用事があるので業者がきたら明日の朝またきてほ
しいと言ってくれ」といい会社を出ました。
少しは日を稼げたと思うと、気持ちもすこし楽になりました。
「漢数字バンザイ」と言う気持ちで、車もないので早上がり
の社員に送ってもらい、お気に入りの喫茶店で紅茶を飲み
ながら本を読んでのんびりさせていただきました。
2日後、支払いが回ってきてどうなっているかと、S銀行に
電話をして当座の状況を聞くと当座には6000円しか残っ
ていませんでした。
チェックライターを買っていたら6000円残らなかったなと思
うとそれから3ヶ月は怖くてチェックライターを買えませんで
した。
でも小切手に漢数字を書くのはつらいので暇があれば文房
具屋に行き、チェックライターを見ていました。
定員には、どれがいいか聞くのに買わない変なお客におも
えたでしょう。
3ヶ月後、なんとかやっていけるようになりチェックライターは
買いましたが、安心したとたんに十二指腸潰瘍で入院する
事になりました。