監獄学園(23) 平本アキラ 感想 『ノイジーマイノリティの極み』 | 墜落症候群

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墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 この漫画が面白い事はAmazonでも上位に食い込むほど売れている事、部数が伸び続けている事で証明されていると思う。
 多くの人が惰性でも何でも続きを買いたいと思い、漫画を購入する。だから部数は伸びる。
 Amazonで☆1とか☆2を付ける人間は今現在20人以上いて、これからも増え続けるだろうけれど、だからといって多くの人を引きつける漫画の面白さが衰えたという事にはならないと俺は思う。
 騎馬戦が続いている事がかったるい、という人が一定数以上いるのは分かるが、今巻も引き延ばしと言われるのは違和感がある。
 女囚編の物語の核として、それが良いのか悪いのかはともかくとして、裏生徒会長と副会長の過去と絆があったと思う。副会長の復活は、単純に騎馬戦を優位に運ぶという意味合いだけではなくて、副会長が裏生徒会長との関係性を見つめ直し、それを取り戻す、という物語上の一種のクライマックスとなっている。それを丁寧にページ数を割いて描写して、何が悪いのだろうか? 物語上のカタルシスもあっさりとテンポよく流された方がいいのだろうか。個人的にはそっちの方が問題だと思う。
 取り合えずAmazonレビュー上では数の暴力で数十人が☆1・引き延ばし・つまらんと書けば十分に空気が形成されてしまうが、俺はそれを見て読むかどうかを決めるのは良くないと思う。
 俺は女囚編においては、花とキヨシがパンツ交換するアレコレの方がよっぽど話の進行には関係なかったと思っている。勿論、花は人気キャラだし、人気キャラと主人公が絡めば読者が盛り上がるのは当然の話だ。しかし、物語の進行上特に必要ないが、しかし人気キャラの絡みである為に盛り上がっていた読者達が、今はテンポを優先するあまりに、物語上しっかり描くべき盛り上がりすらもさっさと終わらせた方が望ましいと言うのでは本末転倒である。今巻が相変わらず引き延ばしと感じる人は落ち着いて監獄学園女囚編を引っ張り出して読んでみて欲しい。
 明らかに騒いでいるノイジーマイノリティの読み方の方に問題がある。と俺は思う。

 

監獄学園(23) (ヤングマガジンコミックス)