バイオーグ・トリニティ 11 大暮 維人・舞城 王太郎 感想 『物語の奔流に飲まれる』 | 墜落症候群

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墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 正直な所、バイオーグ・トリニティは数巻くらい前から、今一体どうなっているのか、言葉での説明が難しくなってきている。
 今はラストバトルの真っ只中であり、その中で主人公が自分の内面の世界から、過去の出来事を垣間見ているのだ、という大体の流れは把握しているつもりだが、一つ一つのシーンの繋がり、理屈を説明するのはもう自分には無理だ。
 ただ、読者を置いてきぼりにしてんじゃねーのか、という若干の危うさを感じつつも、大きな世界の謎を密室という言葉で連結し、そして主人公の推理がラスボスの思考を上回っていくかのような展開は、大きな物語の勢いを感じる。
 訳もわからないまま、続きが読みたいとページをめくってしまうこの感覚は、やはり舞城作品の長編に通じる。自分は舞城王太郎の小説作品はそこそこ読破しているので肌が合うというのもあるだろう。
 流行となる作品ではないとは思うが俺には好ましい。そろそろクライマックスだろう。次巻が楽しみ。

 あと、やっぱり大暮維人先生の描く裸体はエロいと思いました(笑)
 長編作品の中にはクライマックスの前置きみたいに主人公とメインヒロインのセックスシーンを配置するものがあり、バイオーグ・トリニティもその例に漏れなかった。
 さて、この愛の物語はどこに行き着くのだろうか。

 

バイオーグ・トリニティ 11 (ヤングジャンプコミックス)