歯止め | yariさんのブログ

歯止め

やっと公式に”デフレ”が発表されました。

販売を生業にする人間からしたら、遅きに失した感が否めませんが、それでも認めないよりはマシかな?と思います。

大体¥1,000を切って¥800程度のジーンズがどれほど必要なのでしょう?

「安い!」と言う勢いで購入したものの、余りの安っぽさに履かなくなるケースも多いのではないでしょうか?

それにこの度の”ボジョレー・ヌーヴォー”の一件でも、お店同士が意識しあって、自分で自分の首を絞めるかのような値下げ合戦です。

値下げ⇒利益の減少⇒経営の悪化⇒給与が下がるorリストラ⇒消費の減少⇒最初に戻る=デフレ・スパイラルの成立。

そんな他所での喧騒を人ごとに見てたら、我がタイヤ業界でも自分から”デフレ・スパイラル”に飛び込むメーカーが現れました。

それが恥ずかしい事に・・・

今までも自社ブランド以外にも、アメリカの子会社(立場的に)のタイヤを最廉価品として販売してたのが、それでもアジアのメーカーに歯が立たない!と見るや、全く聞いた事も無い「デイトン」とか言うメーカーのタイヤを、とある販売チャンネルで売り出しました。


私が以前所属していたお店では、お客様のクルマに最も良くフィットするであろうタイヤをお奨めしていました。

ですから、ブリヂストン・ブランド最高峰の「レグノ」シリーズや、新世代タイヤ「Playz(プレイズ)」シリーズが比較的高い装着率でした。(全販売チャンネル比で)

そうしたポリシーも、タイヤ業界全体のデフレ・スパイラルの波に呑まれたのか、今は廉価品が殆どの%を占めてしまってるようです。


タイヤは最低でも1年、平均的な利用では3~4年と言うスパンで使われます。

そして「安全」と言う大事な大事な”モノ”も一緒に運んでいるのです。

そのメーカー自身がうたい文句にしてた位ですから、メーカーもそんなタイヤは売りたく無い筈です。

それなのに、雪崩れ式に崩れてきている価格形態に、歯止めを利かす所か加速させる様な事を平気でしてしまう!

ホンと恐い世の中です。


黒くて丸くて、空気が抜けなければ良い!と言う人も中にはいらっしゃいます。

私が「安全性が!」とか、「快適性が!」と言っても、「わしゃ高速道路なんて滅多に走らんし、安全運転だから事故なんかせんわい!」と言い切るお客様の多い事!

それでも、”ヒヤッと!”した時にはタイヤの性能通りの動きしかしてくれないのです。クルマって。


安いだけのタイヤを履いてしまい、今まで通りの感覚でカーブに差し掛かったら、新品のタイヤにも関わらずタイヤが鳴いて肝を冷やした人。

タイヤが発するノイズが余りに大きくなって、同乗の子供が泣きやすくなってしまい困ってらっしゃる方。等色々な人を今まで見て、聞いて来ました。


良い品が安いのは本当に魅力的です。しかもそれを提供する為に、あらゆる無駄を排して会社自体の贅肉を削いだ!なんて聞くと「頑張ってるなぁ」と思います。

それでも必要な部分まで削って商品を販売しても、自身が痩せ細って行くだけです。

タイヤで言うと、業界全体を縮小させるだけです。


「タイヤは命の乗せている。」 余りにも有名なコピーですが、このポリシーに背いてまで販売本数の確保に走るのはどうかな?と思います。


最早や現場のスタッフだけの力では、どうにもならない所まで来ています。