仕事の話。(ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ、バイアウトなど) | アッキーの雑談ブログ

皆様こんにちは。

私は大学生のときから今の職場で働いています。法律事務所です。田村先生(ボス、60代後半、弁護士、仮名)と市川先生(勤務弁護士、50代前半、弁護士、仮名)と私の3人で働いています。

現在私のやっている仕事は、破産したり会社の後処理です。かれこれ10年くらいやっています。会社が倒産すると経営者は裁判所(地裁)に破産の申し立てをします。(約200万円かかります)すると、裁判所は破産を認めます。破産決定通知を出します。


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こうなります。裁判所が破産管財人を任命します。田村先生か市川先生が任命された場合、業務は手下である私がやっている、そういう状況です。

会社の規模は従業員数十名程度で、資本金1億〜10億程度の小規模会社です。業種はさまざまです。

会社は破産していますが、財産があります。
✳︎未回収の売掛金
✳︎不動産
✳︎在庫
✳︎備品

など、です。私はこれらを全て売却し換金し債権者(破産した会社にお金を貸していた人たち)に分配します。それが仕事です。

換金が全て終了した時点で裁判所に報告します。すると裁判所は破産管財人報酬を決めます。その後振込まれます。

流れはざっとこんなかんじですが、ありとあらゆる財産がありいろいろな人が関わっていて複雑です。思うように換金できないことはたくさんあります。

私が売ろうとしているものはすべて不良債権です。値段は管財人が決めて良いのですが、相場を意識した価格で決めなければなりません。つまり勝手に激安にしてはいけないのです。なぜなら売却して得たお金は債権者のものだからです。売却の際には、裁判所に逐一売却許可申請をして許可を得る必要があります。不動産のような高額なものはもちろんパソコン1台売るにも許可が必要です。

それで私はさまざまな不良債権を売却してるのですが、不動産や売掛金などの債権は、専門の業種が買うことが多いです。専門の業種とは、

✳︎債権回収銀行
✳︎なんとかサービサー(不動産系)
✳︎ベンチャーキャピタル(外資系)
✳︎プライベートエクイティファンド(外資系)

などです。これらの会社はありとあらゆる債権を安く買って転売したり運用して利益を出しています。90年代後半にはハゲタカファンドと呼ばれていました。なんとかパートナーズ、とか、なんとかファンド、とか。そういう名前の外資系(アメリカ系)の会社です。20人位の小さな会社で、港区の小綺麗な雑居ビルにオフィスがあります。

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「なんとかパートナーズのアセットマネジメント部のコロガシと申します。そちらで管理なさってる○○の物件について・・」と電話がかかってきます。私は当該物件の詳細資料(謄本など)を郵送します。

外資系の金融の会社(プライベートエクイティ、バイアウト系)って最近は人気があるのでしょうか?大手のゴールドマンサックスとかでは無くて、中堅の会社でも人気があるみたいですね。

私は彼らに債権を買ってもらったことは何度もあります。契約書を作成し売買します。クロージングって言います。クロージングのときは対面するんですけど(うちの事務所で)昔は(90年代後半は)ファンドの人って不動産屋を少し上品にした感じで、インテリっぽくは無かったのですけど、最近は(ここ10年くらい)は
✳︎高学歴
✳︎英語ペラペラ
✳︎MBA(アメリカの資格)
✳︎高級なスーツを着てる
✳︎育ちの良さそうな穏やかなイケメン

が、来ます。笑。だいたいふたりで来ます。上司と部下でだいたい男性です。名刺にはシニアアナリスト(たぶん、普通の会社で言う部長みたいな役職)とか、書いてあります。

でね、数年前、うちの事務所でクロージングが終わって、私は、なんとかファンドの人と5〜10分談笑してたんですよ。美味しいコーヒーとチョコレートとかつまみながら。田村先生と市川先生はその場に居なくて。

そのクロージングで売却したのはふつうに有価証券か債券か、なんかだったのですけど、私、そのとき、大量冷凍鮭を売らなきゃならない状況にあって。というのは、破産管財人の仕事は1社じゃ無くて並行して3社くらいやっているのです。で、業種もさまざまです。たまたま、築地で魚を仕入れて寿司屋に売る仲買人の会社の破産をやっていて、冷凍鮭(切り身で真空パックになってる。それが冷凍倉庫に大量にある)の債権?を抱えてて、

冗談でそのなんとかファンドのパリッとしたエリート風の彼らに、
「冷凍鮭も大量にあるんですけど買ってもらえませんか?」言ったんですよ。

そしたら真面目な顔して「上司に確認してからお返事します」って言われて。笑。

債権回収銀行の人や不動産屋や弁護士なら
「やだなぁ、アッキーさん、僕、かっぱ寿司じゃありませんから!あはは」

とか返してくるところで。なんとかファンドの高学歴メンズには冗談通じなかったみたいです。

うちが会社の破産の仕事をやり始めたのは15年前くらいです。最初はやっていませんでした。田村先生は破産管財人は手間ばかりかかって報酬が良くないと思っていたようです。でもあるときたまたまやったら割と報酬が良くてそれからやるようになりました。

日常はひとり行動と外出が多いです。だから気楽と言えば気楽です。田村先生と市川先生は予定どおりお金が入れば細かいことはうるさく言いません。

そうそう!この仕事は営業がないのです。裁判も紹介でしか来ないですし、破産事件は裁判所から来ますし。弁護士の数が増えたとは言っても会社の破産をやる弁護士は増えてないみたいです。

ストレスは、公官庁に提出する書類作成がめんどうなこと。彼らは紙と印鑑命なので。あとコミュ障(弁護士)とヤクザとヤクザの一歩手前な人と毎日のように会うこと、かな。笑。そのおかげ?で、代わりが見つかりにくいのでなかなかクビにならないです。クビになったら個人投資家になる予定です。