こんにちは。アキラです。

この記事は回想録になっています。
参考にされるかもしれない方の為に、子宮頸がん関連事象や、病気の症状、治療内容などストレートな表現になっていますので、気が進まない方はスルーで読み飛ばして下さいね。



円錐切除結果から次は大きな開腹手術になるけれど、そのスピード感とドクターNへの信頼から、治療は継続して香港ですることに決めていた。

二週間後に子宮頸部が順調回復しているのを確認し、術式は広汎子宮全摘出に鼠蹊部リンパ節郭清という内容の話し合いをした。手術日は7月中旬。

ほぼIa期の想定からIb期になるのは確立的に低いと言われていただけに、相当ショックではあった。が、根治が可能なステージなだけ良かったとしなくては、と有りったけのポジティブ思考を寄せ集めて過ごした。

とは言っても、女性としての象徴的臓器と機能を失うということを受け止め、精神的に乗り越えるのは、太平洋の真っ只中でただ一人溺れている様な孤独感と窒息しまいともがくような苦しみで辛かった。
ズドーンと重く心が沈んだ。

命があるだけで幸せだ、という慰めにはそうだなと思う一方、お前なんかにワタシの気持ちが分かるもんか爆弾、と酷い悪態を心の中でついていた。ごめんなさいね。
そんな暗黒の時。

前向きになろうと色んな資料やブログを読み漁った。友人のソーシャルワーカーや外科医に相談もした。
そこで偶然目にした"トラケレクトミー"。
コレ!もしや新たな希望

トラケレクトミーは子宮頸がん初期ステージ患者に可能となりうる子宮頸部摘出術で、子宮頚部を部分的に残し子宮も温存出来る術式の事です。
沢山の条件適応が必要ですが、完全に生殖機能を失う子宮全摘(ヒステレクトミー)の一歩手前の術式と言えるかと思います。

ワタシだってまだ初期のはず。
この術式が良い!
俄か知識に勢い付いて、なんと手術予定日2日前の日曜にドクターNに直接電話をかけるというウルトラC級の禁じ手に出た。

ここでも医者の鏡としか思えない対応のドクターN。僕はヒステレクトミーが最適だと思っている。でも君自身が納得出来ない手術はすべきではない。取り敢えず中止して、セカンドオピニオンを取りに行っても良いんだよ、と。
怒られること覚悟でかけた休日の電話で有難くてまた泣いた。あ、今度は嬉し泣き

特に会いたい腫瘍科医が居るわけでもなく、今から日本に戻るわけにもいかず、なんと我儘ついでにトラケレクトミー適応を見てくれそうな医師まで紹介してもらった。

実はドクターN、大学の准教授で教鞭もとっています。外科医としての腕前も香港1、2を争うと他のドクターも口を揃えて言う程。人間ドック私立病院の昭和な女医さんも教え子でした。あんまり書くと素性バレするかと思いますが、素晴らしいドクターなのでイイかな、と。

そんな素晴らしいドクターの方針に楯突いたワタシ。今思えば大バカものです。
が、人間溺れるものは藁をも掴む気持ちになりますよね。納得するということは、この病気と闘う、背負って生きていくには、ワタシみたいな頭デッカチには特に、必要な事だったのだと思います。

セカンドオピニオンはドクターNの大学での上司に当たる婦人科女医。香港ではまだ試験的と言えるこの術式に対応してくれる医師は多くないとのこと。
ここも素性バレするかもしれませんが、こちらの方は知ったことではない!
もう結果から書きますが、この方の診察態度と内容は、とんでもなく酷かった!

何で来たの?お前誰?という上から目線からはじまり(恐らく彼女の地位から、診察に来る方はセレブちっくな方とか特別紹介状付きの限られた方達なのでしょう)、内診では円錐切除後の回復中と説明したにも関わらず、ごめんなさい刺激の強い表現をしますが、まるで犯されてるかのような乱暴な器具の扱い。内診台の上であまりのことに涙が溢れ暫く放心状態になる程だった。
その後の質問にはそんな重要でないことは余り覚えていないけどとか多分とか、答えるのが億劫だと言わんばかりの回答。
最後にしびれを切らしたのかこんな言葉を吐かれた。
"貴方、もう良い歳してまだ子どもが欲しいの?そんなに優柔不断なら、取り敢えずトラケレクトミーやって見てダメなら子宮取ればイイじゃない!"


命がけ、でも女性であり続けたいという選択肢が、間違いかもしれないけれど確認したいのです、という人間に、そんな無責任で適当な事を言う医者が、かつ女性がいるとは思わなかった。
有難う、医者失格大学教授、貴方のおかげで、キッパリ覚悟をきめました。
ドクターNにお願いします!FXXX YOU!!!
おっと失礼、取り乱しました…が、本当にこんな言葉を吐きたくなる様なとんでもないセカオピでした。

同じ女性であるということは必ずしもプラスにはならないことを感じぜざるを得ない様な、配慮も知見も全くなし!のコンサルティング。怒りより心底哀しくなる出来事でした。

気を取り直し、ドクターNには女医大学教授の治療は納得できなかったし絶対嫌なので、改めてお願いします、と頭を下げた。
何かあったのかと聞かれたけれど、詳細はお伝えしなかった。素晴らしい医師に聞かせるに耐えない。
その代わり、再確認として幾つか質問をぶつけて見た。
• ガンが2.5cmならトラケレクトミーがうけられないのか?
• 子宮までガンが達していないなら、開腹して見てから軌道修正して子宮温存が出来ないのか?

ドクターNはまたもや明快。
• 頚部は凡そ4cm。半分は残さないと妊娠出来る状況にはならない。2.5cmのガン組織であればマージンをとって切り取ることになり、頚部は残せない。また、2.5cmのガン細胞であれば、見えなくても子宮組織までもしくは周辺リンパや血管への侵襲が大きな懸念となる。子宮全摘が適当なのは、取り残しは命取りになるから。
• 子宮さえ残れば妊娠出来る、というわけではない。トラケレクトミーをしても通常妊娠はとても難しく、不妊治療の様な努力が必要になる。

そして最後の決めゼリフ!
"気持ちはとても分かるけれど…
僕は君の命を助けたいから、トラケレクトミーはオススメ出来ないんだよ。"
…ドクターN~~~感動の嵐です!

四の五の言わずに最初からお願いすべきでしたが、我儘患者、今度こそ広汎子宮全摘手術に完全同意し、またもやドクターNへの信頼を深めたのでした。


補足: セカンドオピニオンは、治療方針に悩んだ時には選択肢を増やす為の機会としてとても有用です。
その結果が期待通りになるとは限りませんし、新しい情報を得て更に悩む事もあります。
ただ、ガン治療全てにおいて、その時一度きりのチャンスを納得して進む為に、情報量と質は確保したいものだと思っています。
ワタシのこのセカンドオピニオンの経験が皆さんの機会を邪魔するものになったり、恐怖心を植え付けたりしない事を祈ってます。

















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