　おもろいニュースをやっていたんで紹介しよう。
　関西空港の男性用小便器に直径３センチの「ダーツマーク」を貼ったところ、外にこぼす人が激減したというのだ。
　このアイデアは韓国の仁川（インチョン）空港から拝借した。仁川空港では小便器にテントウムシのマークがあるという。
　オランダの空港やドイツ・ライプチヒの鉄道の駅ではハエのマークを使っている。
　大手便器メーカーＴＯＴＯはハエや◎マークのほか、特注で「炎」や「サッカーゴール」などを焼きつけた便器も制作していて、とくに小中学校からのオーダーが多いらしい。
　７００万年にもおよぶ狩猟時代の名残なのか、ダーツやテントウムシやハエや炎やサッカーゴールを真剣に狙う男の性（さが）よ。

　「男って単純バカね」と笑う女子諸君、立ちションは男ばかりの特権ではない。
　ほんの６０年ほど前まで女の立ちションは常識だったのだ。
　２００４年２月１１日の日記で男子の座りションについて書いたが、今日は女子の立ちションについて書いてみよう。
　「トイレ文化誌」（山路茂則著）によると、朝顔形の小便器はもともと男女兼用で、口の広いタイプを生産していた信楽焼き（滋賀県）のお得意先は、北陸から山陰方面の農家であった。
　人間の糞尿は貴重な天然肥料であり、成分のちがう糞と尿を分別して、作物によってブレンドする。
　江戸時代の公衆トイレは道ばたにおかれている桶である。これで男も女も立ちながら用を足す。
　１８０３年に京都に旅した江戸っ子の曲亭馬琴は京女の立ちションを目の当たりにする。
「（街頭で）富家の女房も小便はことごとく立ったままする。従者を二、三人連れた女が、道端の小便桶に、立ちながら尻を向けて小便しても、恥ずかしそうな様子もなく、笑う人もない｣
「京の家々かはやの前に小便たごありて、女もそれへ小便する。故に富家の女房も小便はことごとく立ち居てするなり。ただし良賤とも紙を用ひず。妓女のみふところ紙を持ちて便所にゆくなり、。月々六斎ほどづつこの小便桶をくみに来るなり。或は供二三人つれたる女、道はたの小便たごへ立ちながら尻をむけて小便するに恥るいろなく笑ふ人なし｣
有名な「京女の立ちション」は川柳にも詠われている。
　「京女立ッてたれるがすこしきづ」（柳多留六）
　べつにいいじゃんねー、立ちションする京女ってかえって粋じゃん。
　谷崎潤一郎の「蓼食う虫」にも人形芝居小屋の桶が並ぶ仮設トイレの様子が書かれているし、石坂洋次郎「わが半生の記」で、教え子の女生徒が月夜の野道で立ションするさまをノスタルジックに描いている。
　1938年、ナイロン・ストッキングが開発されたアメリカでは、女性用の立ちション便器がヒット商品だった。当時のストッキングは伸びたり伝線しやすかったので、ひざを曲げないで用を足せる小便器が、女性の働く工場や女学校で人気だったのだ。
　1951年、日本でもアメリカ帰りの校長が静岡県の某私立女子高校に女性用立小便器設置したが、「娘に立ち小便など教えたら嫁にいけなくなる」とPTAから猛反対に合い撤去される。
　同じ年TOTOが女性用立小便器「サニスタンド」を発売するが、1971年に生産中止になる。
　現在でも東京の国立競技場のトイレに女性用立小便器があるそうだ（誰かチェックしにいって）。
　過去の話はおいといて、便利グッズを紹介しよう。
　たとえば野外イベントでトイレが汚かったり、女性用トイレが行列だったり、高速が渋滞だったり、困った経験をした女子も多いだろう。
　そんなときは、あるのよ。漏斗型のインスタント・トイレ「Magic Cone」が。
　値段は45個ーン (15個のセロファン袋つき）でUS $24.95。送料はUS $10.00だそうです。
　これフジロックや野外レイブで絶対売れると思うんだけどなあ。
　まあ、「早ラン（ランチ）、早ション、ジョブ（仕事）のうち」と言われる現代OL業界で「サニスタンド」が復活するやもしれんが、そんなせかせかしたことより人間肥料の復活を実用化する「便チャー企業」がもうかりまっせ。

★今一番おもしろいのが、mixiのタケちゃん日記である。
「文章は苦手ですから」とか言っていたのに、「こんなに文才あったのか！」と職業作家をも驚かすハジケぶりなのだ。わずか５回しか書いてないのに、５０人もファン獲得してるじゃん。（つーか、早く名古屋ライブの曲順決めようよ）

Photo by 井戸宙烈
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立ちション学