やさしい笑顔の奥に熱い想いを秘めている男である。

インタビューを終えた後、手島さんが編集した本「明るいほうへ」を読む。

那須にある雲巌寺61代住職の原宗明(そうみょう)さんが連載していたエッセイを書籍化したものである。
平易な文章で奥深いものが語られている。
手島さんが問題定義をし、住職がそれに答える禅問答のようなところがおもしろい。
一例を紹介しよう。
「われわれは何のために、生まれてきたのでしょうか。
何のために生きているのだろうか」
この質問に住職は答える。
「それはあなた自身のこと。
神様にでも聞くことですね。」
がっはっは、いいねえ、この答え。
さらに住職は言う。
「死に至るまで、生きつくすことです」
ラストはこう結んである。
「天の高さが100メートルと思ってる人は、100メートルの海の底までもぐって、そして言います。おれも底を見たと。
天の高さは1万メートルと思ってる人は、1万メートルの海の底までもぐって、おれも底を見たと。
天の高さは目標、理想、海の深さは、それへの努力、いずれも海の底には違いありませんが、100メートルと1万メートルでは歴然としたものがあります。人生の味わいは別物です。
より高く、より深く、たまわったこの命。
向上心を奮い起こして、この生を生き尽くさん。
快い響きではございませんか」
おおっ、ブッダが説いた中道ではなく、
「なにごともやりすぎが肝心 Dancing Buddha」なのね。