今週火曜日オンエアのユトリヒトは今週末20日に母親の生涯を綴った映画「レオニー」が公開となる
彫刻家の「イサム・ノグチ」にスポットをあててお送りしました。



原稿を書く為に色々と調べてみたのですが、波乱万丈の人生はもちろんのこと、
プロダクトはもちろんのこと、環境彫刻、商業デザインといった、
幅広い活動を展開し、遊具や公園等の設計もたくさんしているのですね。


リスナーのSalusLoverさんから頂いたメッセージで知りましたが、
サルースエリア近郊の横浜「こどもの国」にもデザインした滑り台などがあるようです。
ディレクターとも話していたのですがおそらく彫刻家の中でも遊具などを一番多く手掛けた人物ではないのかな、と。
これも、もしかすると幼少の家庭環境の影響で、幸せな子供の発育を願うことからなのかも知れませんね。

そして彫刻家の視点で作られた、今もなお、愛されるプロダクトは数多くあります。

まず、代表的なのは「あかり」。
光の彫刻 イサムノグチ AKARI ペンダントライト


「むき出しの電球がわしの魔術によって自然の光、太陽になる」と評価された作品です。
岐阜県で観た鵜飼いのちょうちんに触発されたといわれています。

次に曲線が美しい名作「ノグチ・テーブル」。
ノグチテーブル Noguchi Tableイサムノグチ デザイナーズ家具  リプロダクト


最初にデザインした家具で、オリジナルは1939年のものですが、
模倣品が多く出回った為、1948年にジョージ・ネルソンのディレクションのもと、
「イサムノグチのコーヒーテーブル」として新たにデザイン。
後にイサム曰く、「もっとも成功したインダストリアルアート」といったように、
曲線が美しい秀逸なテーブルです。

他にも親交のあった数学者、建築家のバックミンスター・フラーの強い影響がみられる「プロズマティック・テーブル」。
そして太鼓か鼓のように見えるスツールで、ゆらゆらと揺れる不思議な椅子「ロッキングスツール」。
イームズのWalnutStool同様、古代アフリカのイスの影響を受けています。

そして、私、一番好きで欲しいなと思うのは「フリーフォーム ソファ」。
「川石」をイメージしたソファで、小さな脚に支えられた座面が柔らかい曲線を描いています。
川の流れによって削られ、丸くなった石のように見え、またその水の流れにも見えます。
他にも名作は数多いのです。

札幌生まれの私にとってはマスタープランを策定した「モエレ沼公園」や大通公園にある「ブラックスライドマントラ」があったので、とても身近な芸術家でした。

英文学者で詩人の野口米次郎を父に、アメリカ人の作家レオニー・ギルモアを母に持つ日本が誇る世界的な彫刻家、イサム・ノグチ。

父の国日本と母の国アメリカとの狭間で大きく揺れ動いた人生。
日系アメリカ人としてどこにも帰属しない孤独に苦悩し続けた一方で彼の作品には東洋と西洋の精神が見事に息づいています。

多くのアーティストを生んだ20世紀アート界の中でも東洋と西洋の融合を追及した一人と言えるでしょう。

映画のラストシーンはモエレ沼公園で撮影したそうですよ。
是非とも見たい一作です。

映画「レオニー
11月20日(土)全国ロードショー