博士論文を公開しました | 王様の耳はロバの耳

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ゆがんだかがくしゃのたのしいにっきだよ

長年寝かせてきたのですが、思うところあって公開します。
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【博士論文】床面提示型触覚エンタテイメントシステムの提案と開発

本PDFは白井暁彦の東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻における博士(工学)【第1535076号・平成16年3月26日】取得時の学位論文「床面提示型触覚エンタテイメントシステムの提案と開発」をインターネット上で公開するためのPDF版として再度TeX原稿より改訂なしで作成したものである。


【概要】

本論文『床面提示型触覚エンタテイメントシステムの提案と開発』は,没入感の高い大画面映像提示や触覚提示,3次元位置入力可能なインタフェイス技術といった,バーチャルリアリティ技術を応用することにより,子供向けの新しい遊びを提供するエンタテイメントシステムを提案し,その開発,評価について述べるものである.
第1章は序論として,研究背景として理解するべき遊びの科学的研究,エンタテイメントシステム,バーチャルリアリティについて,その歴史,基本概念,技術動向,関連研究について概説を述べている.まず「遊び」の科学的研究とその歴史に注目し,中世,近代,現代の関連研究を紹介している.遊びを研究する上での問題点,その分類,現代心理学や知能システム科学との接点から,本論文で述べる「遊び」について定義を行っている.続いて,本論文の基盤技術である「バーチャルリアリティ」について,その基本概念と歴史を述べ,近年の半導体技術の進歩による影響を踏まえた,リアルタイムイシミュレーション技術,没入型映像提示技術,ヒューマンインタフェイス技術について技術動向,本論文と関連のある応用例を紹介している.序論の結びとして,本論文の中心である「エンタテイメントシステム」についてその定義を行い,近年の技術動向や関連研究を紹介し,本論文における研究の目的を定義している.
第2章においては,本論文の中心である「床面提示型触覚エンタテイメントシステム」について,その提案を行っている.まず,子供とエンタテイメントシステムの関係について,幼稚園における観察や,提案システムと似たシステム構成である過去の研究事例である「バーチャルバスケットボール」を子供に適用させた場合における検討を行い.次いで本研究において重視する要素を「日常的な遊びの空間で体験できること」,「身体的・直接的なインタラクションの実現」,「法則性のある世界構築」の3点とし,他の研究事例を通して比較検討した.最終的に,この注目する3つの要素から,実装上の特徴として床面への映像投影,触覚提示可能な直接的インタフェイス,物理とキャラクタの運動シミュレータを利用した,部屋空間全体を遊戯空間としたエンタテイメントシステムを提案した.また提案システムの呼称を「タンジブル・プレイルーム」とし,その外観想定図とともに,提案システムのねらいを解説している.
第3章は「提案システムの開発」とし,前章で提案したシステムの特徴に対する開発の詳細を述べている.まず床面への映像投影方式として試作をおこなった4方式,「マルチプロジェクション方式」,「天井鏡方式」,「モバイルフレーム方式」,「デスクトップ方式」のそれぞれについて,その再現可能な技術情報と構築のための材料等について述べている.次いで,触覚提示可能な直接的インタフェイスの実装として,糸張力式力覚提示装置SPIDARを部屋空間に応用するための技術情報について述べている.また物理とキャラクタの運動シミュレータ,処理の流れについて述べた上で,実際に提案システムを再現する上での,注意すべき技術情報について記載されている.次いで,代表的なコンテンツである「ペンギンホッケー」開発の詳細な技術情報について,特に,剛体の運動方程式と,ペナルティ法を用いたリアルタイム物理シミュレーション,触覚のエンタテイメントシステムへの利用についての詳細について述べられている.
 第4章は「提案システムの評価」について述べている.まず,小児医療の現場におけるVRを用いた臨床例の評価に関するレポートを引用し,子供を対象としたVRを評価するための一般的な手法が確立されていないことを述べた上で,提案システムが対象としている子供の自然な遊びの状態を測定する方針について,本論文が採用した手法について述べられている.評価は,実験室による基礎特性実験に加え,7回にわたる展示発表を通して行った実験者による観察,アンケート,遊戯中の体験者の動作軌跡による解析について報告されている.アンケートによる主観評価は特に,被験者の年齢層の違いに対する触覚の感想の違い,テレビゲームシステムとの比較が報告されている.動作軌跡による解析は,触覚提示用グリップの把持状態から自動抽出した体験開始から体験終了までの時間測定と,動作軌跡を用いた分析を行っている.特に,提案要素の中で重要な要素である,触覚をコントロールした場合における被験者の振る舞いの変化について,その速度と移動範囲について変化が表れることを報告している.
 第5章は「結論」として,本論文をまとめるとともに,提案システムの開発について,展示発表を通した総合的な考察と,評価のより詳細な手法に関するより考察を述べ,将来的な研究の可能性とともに,提案システムの特色を積極的に利用した,想定されるコンテンツ例を2例紹介している.


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(追記)2009/1/25

公開リクエストいただいた研究者からは、嬉しいメッセージをいただきました。

これからも頑張ってください、

ってゆーか貴方の「役に立ったよ」というメッセージが私を救います。