フランス暴動に見るメディア論(1) | 王様の耳はロバの耳

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■フランス暴動にみるメディア論

この話題はとあるMLで盛り上がって議論をしたものの再編なのですが
フランスと言っても広いのでぜひとも皆さんの意見を聞いてみたくも思います。

以下、私の周辺に関する見解は、西フランスの地方都市に住む個人の意見、
メディア経由ではない情報が中心になっています。
長いので記事を分割しています。
コメント、トラックバックなどはこちらの「その1」のほうにお寄せ頂ければ幸いです。
http://akihiko.ameblo.jp/

その2

その3

その4



「フランスで暴動」という報道がされて、約2週間になりました。

西フランスのLavalでは、
基本的に現実のほうがウソみたいに平和です。
暴力のボの字もありません。
先週、夜中に車が3台ぐらい壊されたみたいですが、
それは日常茶飯事レベルと思われます。

テレビや新聞社のネット報道も差異はありません。
実際に何も起きてないので。
例えばニュースのversion OuestとOuest France社のニュースサイト。
http://www.ouest.france3.fr/info/
http://www.laval.maville.com/
ためしに「violence」で検索してみてもナントとかレンヌとか大都市の一部でしか出てきません。

NHKをはじめ、結構なメディアでフランスの暴動を扱っているようです。
フランス国内に住んでいる日本人をもつ家族の皆さんはさぞ心配していることでしょう。


もちろんフランス国内でもこれらのニュースは時々報道されますが、
「フランス=暴動」とされる多くの報道には若干恣意的な選択を感じます。
簡単に言えば、米英系メディアが恣意的にフランスをネタにしているのではないでしょうか?
ゲーム感覚で火炎瓶を投げる若者や、焼き討ちされたカフェの跡などは、取材もしやすいし見た人の印象も大きいからです。
他国に比べて挑戦的な発言をするフランスの政治家もいいネタになります。

特に市場では最近の上がりに上がったユーロを一時的に下げて、
フランスの印象を悪くして観光収入を減らすにはいいネタだと思います。
そうでないと、狂牛病と鳥インフルエンザの話ばかりになってしまいますから。


ただネット文化や民主主義と絡ませて考えるといくつかの注目すべき記事もあります。

「仏検察、暴動を扇動した疑いでブロガー数人を逮捕」
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20051110202.html

これだって別にフランス警察がブロガーを中心的に取り締まっているわけじゃなくて、
暴動を扇動している人物がブロガーだった、もしくは普通に若者がブロガーだった、
ということで、同じhotwiredにはこういう記事もあります。

「フランス人はブログが大好き」
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050427205.html
というわけで激しい活動家ブロガーが逮捕されるのも、今回に限ったことではないわけです。
また激しいブロガーが取り締まられてるわけでもないです。
(そんな状況だと私も危険人物ですかね??)

なおウチの研究室にはブログを専門に研究してる博士学生もいます。
フランステレコムの研究員でもありますが…けっこう思想的には偏った学生です。
自由平等博愛+革命の国で、メディアリテラシーも高度に進んでますから、
博士の学生ともなれば、偏執でブロガーなのは当然といえば当然かもしれない。


それにしても暴動ですが一言で言えば「騒ぎすぎ」です。
外国メディアが火炎瓶に油を注いでいる状況を否定できません。

FPSばかりやっている血の気の多い学生と
外国人貧民層に対する内政事情を巧みに絡ませた「思想のない暴力」であり、
無意味に被害者を増やすような拡大を狙うべきものではありません。

ためしに日本で「中学生が爆弾作って靖国神社に投げ込んだ」という記事を、
ロイターあたりに投稿してみると似たようなことが起きるのかもしれません。
逆に日本国内・中国韓国のゲームキッズたちが学生運動起こすきっかけになるかも。


(つづきます)