日銀副総裁が「金融政策限界論」? | 空き地のブログ

空き地のブログ

受け売り上等 無知上等
どうせあらゆる知識は誰かからの受け売りだ
知らないことは人に聞け
納得できないことは問い質せ

そんなずうずうしい人間の戯れ言ブログ

ちょっと間が開いてしまいましたが、別に何かあったわけじゃないです。強いて言えば、やり始めたtwitterに少しハマってただけですw

twitter始める前からなんとなく危惧はしてたんですけど、「手軽に記事紹介」できちゃうと「あえてブログ記事にする」ハードルが上がっちゃうんじゃないかなぁ、と思っていたまんまのことが起きてしまいました。

まぁ、「サボり」と言われればそれまでなんですがw

***** ***** ***** ***** *****

「成長率を2%にするのは成長戦略の役目」 日銀・岩田副総裁が追加緩和頼みにクギ
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140526/fnc14052621170009-n1.htm
2014.5.26 21:17

日銀の岩田規久男副総裁は26日、東京都内で講演し、日銀の大規模な量的金融緩和策が日本経済の潜在成長率を引き上げたとの見解を示したうえで、現状では「(成長率は)実質1%ぐらいがせいぜい。政府が目指す2%に上げるのは成長戦略の役目だ」と話し、政府の取り組みに期待を示した。「金融政策にないものねだりをしてもらっては困る」とも述べ、“追加緩和頼み”にクギを刺した。

(後略)
(引用ここまで)

反リフレの人たちは「(成長率は)実質1%ぐらいがせいぜい」の部分でもって、「リフレ派の重鎮が金融政策の限界を認めた!」と喜色満面で触れ回るのでしょうけど、ちょっと冷静になってよく考えてみて下さい。金融政策の役割ってなんでしょう?

金融政策では、道路や橋は作れませんよね?
金融政策では、防衛力を強化することはできませんよね?
金融政策では、特定の規制構造を変革することはできませんよね?

金融政策でできるのは基本的には物価のコントロールです。日本銀行HPのトップにも「日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定を目的とする、日本の中央銀行です。」と書いてあります。

今現在の日本銀行の物価変動目標は「+2%」ですが、これは実質成長率とは何の関係もありません

実質GDPは名目GDPから価格変動の要素を取り除いた実質値ですから、単位は「円」であっても、表わしているのはその年に生産された財やサービスの“量”です。実質成長率に物価変動率を上乗せしたモノが名目成長率であり、現在の物価変動目標の「+2%」を達成されている場合、実質成長が1%ならば名目成長は3%に、実質成長が2%ならば名目成長は4%に、という具合になります。逆にデフレ率1%(=インフレ率-1%)だと、実質成長が1%でも負の物価変動によってキャンセルされてしまい、名目成長は0%になってしまいます。

金融政策によってデフレが緩和し、長らく続いたデフレ不況が改善する過程において短期的に実質成長することはあっても、潜在GDP(生産能力をフルに活かした時の生産量)が伸びるためのボトルネックは他にも存在する(例えば、基盤インフラの不足や行き過ぎた規制、など)ために、長期的な実質成長には限度があります。この限界を押し上げるために成長戦略は重要だ、と岩田氏は言っているのです。

もちろん、「成長戦略をしっかりやれば金融政策はいらない」などとは思っていないでしょう。金融政策には金融政策の、成長戦略には成長戦略の、それぞれにそれぞれの役割がある、ということです。



「○○万能論」を信奉している人間から見ると、リフレ政策はあたかも「金融政策万能論」に映るのかもしれませんが、実態はそうではなく、単に金融政策の持つ本来の役割をその政策担当者(この場合は日銀)にやらせる、というだけのお話。別に、金融政策で全ての問題に片が付く、だなんて微塵も思っていません。まさに「必要条件と十分条件」の違いですね。

自分たちの価値観(「○○万能論」信奉)を常に相手も持っているとは限りません。自分たちの「教祖様」が貶されたからと言って、(勝手に想像した)相手の「教祖様」を揶揄しても、揶揄の中身が的外れでは一切ダメージは入りません。議論するにせよ、批判するにせよ、まずは相手の主張を「自分の価値観という色眼鏡」を外して真っ直ぐ見る、ということをしないと自分自身が恥ずかしい思いをするだけでしょう。