銀行に強盗に行こう! | 銀行員のぶっちゃけ話

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銀行員が銀行員の目線で銀行の秘密をぶっちゃけます。

「そうだ、銀行に強盗しに行こう!」

とお考えの方、この記事をお読みいただきその参考にしていただければと思います。

銀行強盗する際に注意すべきこと、ポイントですが、これはいくつかあります。
まず服装についてですが、これはそれほど重要ではありません。
銀行の支店内にはそれこそ無数に監視カメラが設置してあります。
しかしその精度は高いものではありません。
よくドラマなどで見かける黒タイツに目と鼻と口の部分をくりぬいたようなマスク、あれで顔を隠せば、後でカメラで見たときにその露出した部分から人相を割り出したりはできません(よほど特徴のある歯並びとかでなければ)。
極端な話、
『何年何組○○』
という名札をつけていても、監視カメラからその文字を識別はできません。
目撃者が後からその名札の名前を証言しないでいてくれることを祈りましょう。
ブランド品でかためたりしないで、ありふれた服装で行けばそこから特定されたりは多分しません。
しかし、銀行員は強盗が来た際の対処方法についてはある程度シミュレーションをしています。
犯人の特徴については、銀行員の誰がどの部分を記憶しておくということが決まっています。
○▽さんは犯人の上半身に着ているものを覚える
×□さんは犯人の靴を覚える
という感じです。
そのため、犯人の顔担当の人は銀行強盗であるあなたの顔をじ~と観察してくるはずです。
恋に落ちないよう注意しましょう。

次にお気を付けいただきたいのは、これが一番重要なことなのですが
銀行の支店にはそんなにお金ないよ
ということです。
お金というか現金のことですが、通帳上といいますか、数字の上では銀行の支店には支店の規模にもよりますが数百億円くらいのお金があることになっています。
中には個人で数億円持っているVIPなお客様もいらっしゃいますからね。
VIPなお客様については別の記事でご紹介します。
しかし実際の現金は置いてはありません。
なぜなら、支店でのお金のやり取りはお客様の要望に応じて支払うこともありますが預かることもあります。
給料支給日が多い20日や25日は支払いのほうが多くなることが多いですが、月末などは企業が取引の締日としてお金を送金することが多いため預かるお金の方が多い、というように日によって異なるものの、要はその日必要となるお金を支店に置いておけば事足りるからです。
ですので、もし銀行に2億くらい預けていらっしゃる方、突然窓口に行って2億おろしたいと言ってみてください。
大抵の場合その日はお金を受け取ることができないと思います。
だって支店にお金ないんだもの。
金庫の中にあるんだろ、とおっしゃられるかもしれませんが、ありません。
銀行の金庫には基本書類とかしかありません。
銀行の金庫については別の記事で紹介します。
ちなみに、2億おろしたい場合は事前にご連絡いただければその分の現金を別途取り寄せておくので、いきなりその日にはおろせないものの、銀行では責任をもってお支払できますのでご心配なく。
・・・まぁ2億もおろされたら困るので、多分支店の偉い人が出てきてあたふた説得してくるでしょう。余談ですが。
そんなわけで、銀行の支店にはそんなにお金が置いてありません。

また、これもよくドラマなどでは、強盗が空のバックを窓口に置いてこれにお金をいれろ、などというシーンがありますが、ドラマのように窓口に座っている担当者の机からお金がわんさか出てくることはありません。
というか窓口の銀行員の机の中にはお金は入っていません。
せいぜい文房具が入っているくらいです。
お金は全て、機械の中に入っています。
それもバラで機械の中に入っているため、窓口で「金を出せ!!」と言われた場合、その機械から出金作業をして、お金が出てくるのを待ちます。
束になってポンポコ出てくるわけではないので結構時間がかかります。
散々時間がかかった挙句、多分数百万円とかせいぜい数千万円くらいしか出ないでしょう。
機械の中にもその程度しかお金入っていないので。
これでは一生贅沢して暮らすには足りませんね。
更に番号もきっちり控えられたお札であるため、簡単には買い物にも使えません。
これも余談ですが、融資グループの担当者の机に強盗しに行くと、そのわずかなお金すら出てきません。
融資グループはお客様とは基本書類のやり取りしかしないため、その近辺にお金は置いてありません。
現金を触らないという日も珍しくないからです。

その他のポイントとしては、持っていくべき武器についてでしょうか。
日本ですので銃はなかなか入手しにくいですね、そうするとナイフとかかな?
基本的に銀行員は抵抗しないようにと指導を受けています。
大抵の場合、強盗の指示に従うものです。
ケガなどしないように、というのが基本方針だからです。
しかし気を付けいただきたいのは、窓口の男性行員の机の近くにはほとんどの場合武器が置いてあります。
私の机の脇には木刀がありました。
木刀を持った2,3人の成人男性に対抗できる武器は欲しいですね。
1人で強盗に入って武器がナイフだとちょっと心もとないかもしれません。
逃走に際しては、男性行員はある程度追ってくるものと思ってください。
逃走方向、経路の確認ということで犯人追跡係という担当が追ってきて、カラーボール(割れると落ちない蛍光塗料がべっとりつくやつ)をぶつけてきます。
足元に投げつけてボールを割るように指導されていますので、足元要注意です。

ところで、強盗に際して
「警察に連絡するな」
と脅すのは基本的に無意味です。
金融機関ごとに、非常事態であることを支店全体に伝える合言葉がありますので、異常があれば気づいた人がその合言葉で支店の行員全員に非常事態を知らせます。
警察への通報ボタンは、銀行員がいる側のカウンター内には至る所にあります。
全ての机についているといっても過言ではないため、誰かがその通報ボタンを押すでしょう。
すると、警察に連絡が行ったことがわかる合図がつきます。
大抵支店内にあるとあるランプが灯ります。
そのため、割と早急に警察はやってきます。

ということで色々書きましたが、私個人としては銀行の支店に強盗に入るのは中々リスクが高い割に実入りが少ないと考えます。
というか、銀行には意外にお金(現金)ないよ、ということをもっとおおっぴらにすれば強盗はなくなると思うのですが・・・
まぁそれでも、勤務していると狙い目である日程とか、襲うべきポイントが分かってくるものです。
それについては別の記事で・・・書けるかどうかは分かりませんね。
書いていいものかってのもあるし。

ただ結論としては、私が勤務している支店にはこないでね。
怖いから。