48ノベルズ

48ノベルズ

AKB48を題材とした創作小説を書いています。
のんびり更新していきます。
このブログに掲載されている作品はフィクションです。
実在の個人・団体とは一切関係ありません。

*作品集








・チームK昇格メンバー争奪バトル 全61話 完結








・AKB48×BLACK LAGOON-"A name in the old days" 全77話 完結








手紙 全46話 完結








・クロノス・ジョウンターの伝説 指原莉乃の軌跡 全43話 完結








・手をつなぎながら 全23話 完結








・蕾たち 全27話 完結








・マジすか学園 -next stage- 全61話 完結








*休載




・Flower 


・AKB/SKE/NMB/HKT バトルロワイヤル選抜 










































それぞれテーマ別記事一覧からご覧下さい。







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「栄ちゃん…」
川栄が顔を上げた先に不安そうな田野の姿があった。

私には見つけられなかった、と首を振ると、田野はへたりこむようにしゃがみこんでしまった。

「横山さん…」
涙声で呟く田野の頬を拭う。

どうしてもっとはやく、横山さんの気持ちに気付いてあげられなかったのだろう。
横山さんならきっと大丈夫、と心の中で思ってしまっていたのかもしれない。
誰にだって限界はあるものだ。
自分だってそうだったじゃないか。

“後悔”が川栄の頭の中をぐるぐると回っている。

横山さん、変なことしないで下さい。
帰ってきて…

川栄はすがるような気持ちで両目を瞑った。


「あれ…」
か細い声に顔を上げると、佐々木がどこかを指差している。

「横山さん!」
気が付いた田野が一目散にそちらへかけていく。

その方向に目をやると、咲子と手を握った横山の姿があった。

「優花もうわがまま言わないです、良い子にしてます。だからもうどこも行っちゃやだ」
一番に抱き付いた田野はわんわん泣きながら横山の胸に顔を埋めている。

「ごめんな、田野ちゃん。もうどこにも行かへんよ」
横山は田野を抱えるようにして背中をぽんぽんと叩く。

皆次々に横山の周りに駆け寄っていった。
川栄は安堵から腰が抜けたのか立ち上がれなくなっていたようだ。

「良かった…」
ホッとした気持ちで川栄は両手で顔を覆った。
手のひらに涙が落ちてくるのがわかる。

「りっちゃん」
優しい声に顔を上げた。

「心配かけてごめんな」
首を振って答える。

「ありがとう」
「何もしてないっす」
とまた首を振った。

「って、りっちゃん何か鼻水すごいねんけど」
川栄を指差して、横山は笑いだした。

「ほんとだ。りっちゃんきたなーい」
咲子まで笑顔で覗きこんできた。

「えっ、ちょっ、まじっすか」
急いで顔を拭ったが、涙で濡れた手のひらで余計にぐちゃぐちゃになってしまったようだ。

「もっとひどなってるやん」
あはは、といつもの高い声で横山が笑う。
久しぶりに心から笑っている横山さんを見た、と川栄は思った。

良かった、もう大丈夫だ。
これでみんなで…
みんなで一緒に帰れる…

そう思った。




























まだ続きます。