野菊の墓。。。伊藤佐千夫著
 
後の月という時分が来ると、どうも思わずには居られない。幼い

 

とは思うが何分にも忘れることが出来ない。もはや十年

 

も過去った昔のことであるから、細かい事実は多くは覚えて居ないけれど、心持だけは今なお昨日の如く、その時の事を考えてると、全く当時の心持に立ち返って、涙が留めどなく湧くのである。悲しくもあり楽しくもありというような状態で、忘れようと思うこともないではないが、ろ繰返し繰返し考えては、夢幻的の興味をって居る事が多い。そんな訣から一寸物に書いて置こうかという気になったのである。

 

。。。。中略。。。。

 

 
「僕はもとから野菊がだい好き。民さんも野菊が好き……」
「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど
もしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」
「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」
 民子は分けてやった半分の野菊を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩きだす。
「政夫さん……私野菊の様だってどうしてですか」
「さアどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」
「それで政夫さんは野菊が好きだって……」
「僕大好きさ」
。。。あとは省略。。。。。
 
「タミさんは野菊のような人だ」という映画にもなった名シーンはフィフティーズなら、誰でも知っている。名作と言われる文芸作品だ。
これを今日母さんは他の名作と一緒に、つらつらと思いはせていた。
 
野糞の姫  母さん著
こういう時分が来ると、どうも思わずには居られない。幼い訳とは思うが何分にも忘れることが出来ない。もはや過去った昔のことであるから、細かい事実は多くは覚えて居ないけれど、心持だけは今なお昨日の如く、その時の事を考えてると、全く当時の心持に立ち返って、涙と嗚咽が留めどなく湧くのである。悲しくもありわびしくもありというような状態で、忘れようと思うこともないではないが、ろ繰返し繰返し考えては、夢幻的の興味をって居る事が多い。そんな訣からちょっと物に書いて置こうかという気になったのである。
。。。。中略。。。。
「レウス君ももとから野糞がだい好き。二コラさんも野糞が好きだったとは……」
「私なんでも野糞の生れ返りよ。野糞を見ると身振いの出るほど

 

 

もしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」

「二コラさんはそんなに野糞が好き……道理でどうやらく二コラさんは野糞をつける犬だ」

 二コラは分けてやった半分の野糞を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩きだす。ひとりは悲しそうに。
「母さん……私野糞の様だってどうしてですか?」
「さアどうしてということはないけど、二コラさんは何がなし野糞をつけてる風だからさ」
「それで母さんは野糞が好きだって……」
「嫌いに決まってんじゃん‼‼‼」

。。。後は省略。。。。

 

うちの犬のお約束もいい加減にして欲しかった。
亡きレウス君も牛糞を体中に付けて「うっへへへ」と嬉しそうにしていたことがあった。
ただ、ニコちゃんは彼より小さいけど、やる事は大きい。
いつも、何をやるにも。
 
二コラを久しぶりに運動させに行った天罰なのかもしれない。
草の上でゴロンと顔からのダイブを見た時、母さんは青ざめた。
そして、100%に近い呼び戻しを命じた。
ますます母さんの血の気が引く音がした。
二コラの顔は母さんとは対照的に茶色かったからだ。
「まだ、犬のフンを拾わない奴がいる!!」と憤慨しながら、確かめに行った。
「大型犬のじゃないか!!!」と余計頭に来た。
こういう大型犬の飼い主がいると、母さんたちの肩身が狭くなるのに!と思いつつ、二コラの身体で押し広げられたべっちゃりしたものをにらんだ。
だが、そこでティッシュを見つけてしまった。
この時の気分は
「まって~!」とようやく捕まえた彼氏の腕が、ボロッと取れて、振り返った彼の顔がゾンビになっていた時の、彼女の気持ちと同じだろう。
『こんな現実は受け入れられない!』だ。
母さんは、二コラは目に入れても痛くないほど可愛がっている。
でも、二コラについた人糞は可愛くないから触りたくないのだ。
 
慌てて、レウス牛糞事件の目撃者だった王子のママに電話した。
気をまぎ笑わないと死んでしまう病にかかりそうだったから。
川で洗うこともできない。
体感温度はすでにマイナスだ。
川まで歩いて5分くらいかかるし。
手で触って人糞を落とすなんて。
牛ふんでさえ、オエオエ言いながら、涙で手元が見えなかったのに。
天罰を与えたもうた神に「KJ君が学校から帰っていますように」と祈った。
二コラを車に乗せて「右をつけない様に座っててね」と命令する。
極寒の中、まどを前回にする。
家に着くまでは「なにか別なことで気を紛らわさないと」
と、ハリーポッターのお気に入りの究極の選択を考えていた。
『うんち味のチョコとチョコ味のうんこ』のことだ。結局ハリーはどちらを選んだのだろう?と。
 
家に帰るとKJ君の自転車を見つける。
天罰は落ちるものの、まだ母さんにはパンドラの箱がいくつも残ってるんだな。
「KJ君!助けて~!」と玄関に入れずに叫ぶ。
KJ君は深夜のバイト空けで学校に行ったため、お昼寝をしていた。
チャンスだ!
「ゴメン、ニコチャンがうんち付けちゃったから洗って!」
「お母さん、車の荷物出さなきゃだし、洗濯物干さなきゃだし。。」
通常なら言い訳にもならないのだが、今の奴の脳みそはまだ寝ている。
ボーっとしたKJ君を急き立てて「タオルの用意しておいたから!」「アタシ、洗濯干してくる!」と逃げ出した。
 
洗濯を干してるとニコちゃんが外に出されてやって来た。
首は白くなっている。
KJ君はまた夢の中に戻っている。
「寝ぼけて洗って本当にきれいになったの?」という疑問はあるが、確かめる勇気がなかった。
もし確認し、臭かったらオエッとなるし、自分で洗い直さないといけないからだ。
KJ君には、「人糞です」とは言ったものの、洗い始めてからだ。(母さんなら拒否するから)
KJ君にはお礼を言っておいた。たとえ、夢の中で聞いていなくても。
看護師を進めておいた自分をほめてあげた。たとえ声に出さなくても。
 
それから現在。
夕食には起きなかったKJ君を責めることもなく、優しい母親を演じている。
一応、寝ている間に、ラインしておいた。ニコチャンの茶色い写真を添えて。
意識もうろうの人にさせておいて、真実を告げないなんて卑怯なことはしたくなかった。の?
面倒だけど、KJ君のために二度手間な夕食を用意しておく。
洗ってもらって、入れるのはKJ君だけど、風呂の残り湯は抜いておいた。
それに、ニコチャンを拭いたであろうタオルの残骸の始末はやっておこう。
 
こうしてめでたしめでたし。。。。ではない。
母さんはハムレットのように苦悩している。
「二コラの首が本当にきれいに洗えているのか?」の確認をいつするかということを。
こんな夜中に確認して、自分が風呂に入る時に洗い直すのか?
それとも匂いが消えるまでニコちゃんと距離を置くのか?
ハリーならなんて答えるんだろうか?

目に入れても痛くなかったレウス君と、触りたくなかったレウス君の牛ふん。
耳の下にちょっとだけついたイヌのフン。これは洗えた。
母さんは自分をほめて生きているようだ。自分以外にはどうだかな。
さすが、ニコちゃんは野糞の姫だ。
お風呂の用意ができるまで玄関には入らないでいただいた。
犬でも牛でも人よりはましに思える!

にほんブログ村 犬ブログ ホワイトシェパードへかわいそうなニコちゃんとKjに、ぽちっとお願いします。
にほんブログ村
.

AD